歌ってみた録音のノイズ除去【無料のやり方・2026年版】

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歌ってみたを録音して再生してみたら、声の後ろで「サーーー」という音がずっと鳴っている……。ヘッドホンで聴くとよく分かるこのノイズ、放置したままMIXすると、静かなAメロやアウトロで意外なほど目立ってしまいます。

この記事では、録音した歌の「サー」というホワイトノイズや、エアコンなどの環境音を減らす方法を、無料でできる手順を中心にまとめました。定番のAudacityの具体的な操作、その他の無料ツール、本気でやりたい人向けの定番有料ソフト(iZotope RX)まで、2026年9月時点の最新情報で解説します。

先に大事なことを言うと、ノイズ対策は「ソフトで消す」より「録りの段階で減らす」ほうが先です。その理由から順番に見ていきましょう。

やること方法費用
まず予防(最重要)ゲイン設定の見直し+部屋の環境音を止める0円
無料で除去Audacityの「ノイズの低減」(プロファイル型)0円
その他の無料手段DAW付属機能、Adobe Podcast Enhance(トーク向け)0円〜
本気でやるならiZotope RX 12(Voice De-noiseはStandard以上)$99〜

そもそも「サー」の正体は?ノイズの種類を知る

ホワイトノイズ(機材由来)と環境音(部屋由来)

録音に入るノイズは、大きく2種類に分けると対処しやすくなります。

  • ホワイトノイズ: マイクやオーディオインターフェース自体が発する「サー」という電気的なノイズ。ゲインを上げるほど大きくなります
  • 環境音: エアコン・PCのファン・冷蔵庫・外の車の音など、部屋で鳴っている音。マイクは思った以上に拾っています

どちらも「ずっと一定で鳴り続ける音(定常ノイズ)」である点が共通で、この後紹介するノイズ低減ツールが得意とするタイプです。

ノイズ低減で消えるもの・消えないもの

一方で、ブレスノイズ(息継ぎの音)やリップノイズ(口の「ペチャ」という音)は、ここで紹介するノイズ低減では消えません。これらは一瞬だけ鳴る突発的な音で、一定のノイズを狙って減らすプロファイル型の処理とは相性が悪いためです。椅子のきしみやマウスのクリック音も同様です。

息やリップ音が気になる場合は、それぞれ専用の対処法をまとめた「ブレスノイズを消す・整える方法」「リップノイズの原因と対策」をあわせてどうぞ。この記事では「サー」と環境音に絞って解説します。

先にやるべきは「除去」より「予防」【録り音で減らす】

ノイズ除去ソフトは「ノイズだけを選んで消す」魔法ではなく、ノイズと一緒に声の成分も少し削れる処理です。深くかけるほど声が不自然になるので、そもそものノイズが小さいほど仕上がりは良くなります。録り直せるなら、まず次の3つを見直してみてください。

ゲイン設定を見直す(小さく録って後から上げない)

録り音が小さいと、MIXで音量を持ち上げたときにノイズも一緒に持ち上がってしまいます。逆に適正な大きさで録れていれば、同じ機材でもノイズは目立ちにくくなります。ピークが-12〜-6dBあたりに収まるゲインの合わせ方は「録音レベル・ゲイン設定のやり方」で詳しく解説しています。

部屋の音を止める(録音中だけでOK)

エアコン・PCのファン・冷蔵庫・加湿器は、録音中だけでも止める(または距離を取る)のが効果的です。0円でできる部屋側の対策は「宅録の防音対策」の吸音・静音パートにまとめています。

マイクとの距離・指向性で環境音を拾わない

マイクに近づいて歌うほど、声に対して環境音は相対的に小さくなります(近づきすぎは低音がこもるので、こぶし1つ〜1.5個分が目安)。単一指向性マイクなら、PCなどのノイズ源をマイクの背面側に置くだけでも拾う量を減らせます。

無料でできるノイズ除去①: Audacityの「ノイズの低減」【定番】

無料ツールの定番が、フリーの波形編集ソフトAudacity(公式サイト)に入っている「ノイズの低減」です。「ノイズだけの部分をお手本として覚えさせ、同じ成分を全体から減らす」という2段階の仕組みです。

手順は3ステップ

  1. 録音ファイルを読み込み、歌っていない「サー」だけの区間(歌い出し前の数秒など)をドラッグで選択する
  2. メニューの「エフェクト」→「ノイズの低減」を開き、「ノイズプロファイルの取得」をクリック(ここで一度ダイアログが閉じます)
  3. 今度はトラック全体を選択し、もう一度「ノイズの低減」を開いて「OK」で適用する

録音するときに、歌い出しの前に2〜3秒「無音(ノイズだけ)」を録っておくと、このお手本作りがスムーズです。

パラメータの目安と、かけすぎのサイン

設定項目は3つあります。まずはノイズ低減(dB)=12、感度=6、周波数平滑化=3あたりの控えめな値から始めて、プレビューを聴きながら少しずつ調整するのがおすすめです。

強くかけすぎると、声が「水っぽく」「ロボットのように」不自然になります。シュワシュワとした加工感が出てきたら、かけすぎのサインです。ノイズが完全に消える設定より、「声が自然なまま、ノイズが気にならなくなる設定」を探してください。

かける順番は「一番最初」

ノイズ低減は、ノーマライズ(音量調整)やエフェクトをかける前の、録ったままの素材に最初にかけるのが基本です。先に音量を上げるとノイズも増幅されてしまい、除去の効きが悪くなります。処理後の音源をMIXに進める流れは「歌ってみたMIXのやり方」で解説しています。

無料でできるノイズ除去②: DAW付属機能・その他の手段

使っているDAWの付属機能を確認する

すでにDAWで録音しているなら、追加ソフトなしで対処できる場合があります。たとえばREAPERのReaFir(subtractモード)やGarageBandのNoise Gateなど、多くのDAWにノイズ対策系の機能が付属しています。使い方は各DAWの公式マニュアルを確認してください。

なお、OBSのノイズ抑制のような配信向けのリアルタイム除去を、歌の録音にかけるのはおすすめしません。録りは素のまま録って、後から処理するのが原則です。かけた状態で録ると、後から取り消せません。

Adobe Podcast Enhance(トーク動画向け)

Adobe Podcast「Enhance Speech」(公式サイト)は、ブラウザに音声ファイルを上げるだけでノイズと部屋鳴りをまとめてAI処理してくれるツールです。ただしこれは話し声向けのAIで、歌にかけると加工感が出やすいため、歌ってみた本編には不向きです。雑談動画やラジオ企画のトーク音声には便利なので、用途を分けて使うとよいでしょう。無料で使える範囲の条件は変更されることがあるため、公式サイトで確認してください。

【注意】無料の「GOYO」は有料のSupertone Clearに移行済み

「無料AIノイズ除去プラグインならGOYO」と紹介している記事を今でも見かけますが、GOYOは有料のSupertone Clear(公式サイト)に移行済みです(2026年9月時点で$69の買い切り)。声・環境音・声のリバーブを3つのノブで分離できるプラグインで、無料トライアルはありますが、トライアル版は処理音声に定期的にノイズが混入する制限があるため、実用は有料版からになります。

本気でやるなら: iZotope RX【定番有料】

RX 12のエディションと価格

ノイズ除去の定番として広く使われているのがiZotope RX(公式サイト)です。2026年9月時点の現行バージョンはRX 12で、エディションは3つあります(価格は公式のUSD表記。円建て価格は公式・正規代理店で確認してください)。

エディション価格ボーカル関連の主な内容
RX 12 Elements$99De-click / De-clip / De-hum / De-reverb
RX 12 Standard$399上記+Voice De-noise、Breath Control、De-plosive など
RX 12 Advanced$1,399上記+Dialogue Isolate、Mouth De-click など50超モジュール

歌のノイズ除去でよく使われるVoice De-noiseは、公式のエディション比較ではStandard以上に含まれています。購入前に公式の比較表で収録モジュールを確認してください。

Voice De-noiseの使い方ざっくり

基本は、モードをAdaptive(自動追従)にして、Reduction(低減量)を聴きながら調整するだけです。歌素材ならDialogue/Musicの設定はMusic側を選びます。Audacityと同じく、かけすぎれば声は不自然になるので、控えめから詰めていく考え方は変わりません。

セール時が買い時

RXは頻繁にセールが行われることで知られています。急ぎでなければ、公式やプラグインストアのセール情報をチェックしてからの購入がおすすめです。

ノイズ除去の「やりすぎ」を防ぐコツとよくある質問

オケに混ぜて判断する(完全消去を目指さない)

ソロで聴くと気になる「サー」も、オケに混ざるとほとんど聞こえなくなることが多いです。ノイズ除去の強さは、ボーカル単体ではなくオケと混ぜた状態で判断しましょう。「完全に消す」より「混ぜて気にならない」が実務的なゴールです。

消した成分を試聴する(Residue)

Audacityのノイズ低減には、除去した成分だけを聴ける「Residue(残余)」オプションがあります。ここに声の成分(母音の響きなど)が混ざって聞こえたら、声まで削っている証拠なので設定を弱めてください。

よくある質問

Q. スマホ録音のノイズも減らせる?
録音ファイルをPCに移せば、Audacityで同じ手順が使えます。ただしスマホ録音は環境音が大きくなりがちなので、録る場所と時間帯の見直しのほうが効果的なことも多いです。

Q. MIX師に依頼する場合、ノイズ除去してから渡すべき?
基本は何も処理していない録ったままのデータを渡すのがマナーです。除去済みのデータは後から調整できないため、MIX師さん側で最適な処理をしてもらいましょう(気になる場合は依頼時に一言相談を)。

まとめ: 予防→弱めに除去→オケで判断

歌ってみたのノイズ対策は、この順番で考えるとうまくいきやすいです。

  • まず予防: 適正ゲインで録る(録音レベル設定)+部屋の音を止める(防音対策)
  • 無料で除去: Audacityのノイズ低減を、MIXの一番最初に弱めからかける
  • オケで判断: 完全消去を目指さず、混ぜて気にならなければOK

ブレスやリップ音など「サー」以外のノイズは別の対処が必要です。「ブレスノイズの消し方」もあわせてチェックしてみてください。



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