歌ってみた動画を作るとき、意外と困るのが「動画に映す画像・映像をどうするか」。適当にネットで拾った画像を使うと著作権侵害になり、動画削除やチャンネルへの悪影響のリスクがあります。
この記事では、歌ってみた動画に使う画像・素材を著作権的に安全に集める方法を解説します。お金をかけずに、堂々と使える素材を揃えましょう。
まず大原則:拾い画像はNG
検索で出てきた画像、本家MVのスクショ、他人のイラスト、アニメ・ゲームのキャラ——これらを無断で使うのは著作権侵害です。「みんなやってるから」は通用しません。動画が削除されるだけでなく、積み上げた信用を失います。権利の基本は著作権まとめで確認を。
安全に使える素材の5つの入手先
① 自分で用意する(確認する項目がいちばん少ない)
- 自分の立ち絵・イラスト:絵師さんに依頼した立ち絵は、利用範囲内で自由に使えます(→立ち絵の依頼)。歌ってみた動画の「顔」になる素材です
- 自分で撮った写真:風景・小物など、自分で撮影したものは著作権の心配が少なくなります(ただし人物・ロゴ・キャラクター商品・他人の作品が写り込んでいないかは確認が必要です。詳しくは後述します)
- 自分で描いた絵:イラストが描けるなら、権利の確認がいちばん少なくてすみます
② 著作権フリー・フリー素材サイト
「フリー素材」として配布されている画像・イラスト・背景を使う方法。ただし「フリー」の中身は必ず確認してください。
- 商用利用の可否:収益化する動画なら商用利用OKの素材を
- クレジット表記の要否:表記が必要な素材は概要欄に記載
- 加工の可否:サイズ変更・文字入れなどが許可されているか
③ アバターメーカー・キャラ作成ツール
無料のアバターメーカーで作ったキャラを使う方法。利用規約で「作った画像の利用範囲」を必ず確認しましょう(SNSアイコンはOKでも動画はNG、などの制限があることも)。
④ 公式が配布している素材
ボカロ曲によっては、本家や作者が「動画に使ってOKな画像」を配布していることがあります。配布ページの条件に従えば安全に使えます。
⑤ AI生成画像(慎重に)
AI画像生成で背景などを作る方法もありますが、プラットフォームや企画によっては制限があり、権利関係もまだ発展途上です。使う場合は生成ツールの規約を確認し、リスクを理解したうえで。人物の立ち絵はやはり絵師さんへの依頼が確実です。
素材が集まったら:動画にする
集めた素材で動画を作ります。最もシンプルなのは「静止画1枚+音声」。
- スマホアプリで作れる:CapCutやiMovieなどで、画像に音源を乗せるだけ
- 曲名・歌詞を載せるとリッチに:歌詞テロップは、著作権管理の観点から扱いに注意(表示できる範囲を確認)
- 凝りすぎない:1本目は静止画+音声で十分。まず完成・投稿を優先(→ロードマップ)
- サムネイルも同じ素材で:動画とサムネの素材を揃えると統一感が出ます(→サムネの作り方)
クレジット表記を忘れずに
素材を使ったら、概要欄に提供元を明記するのがマナーであり、多くのフリー素材の利用条件でもあります。イラスト・素材・音源すべてのクレジットを書きましょう(→概要欄の書き方)。
やってはいけないこと
- 検索で出た画像をそのまま使う:ほぼ全て誰かの著作物です
- 本家MVの映像・スクショを使う:権利侵害の典型例
- アニメ・ゲームのキャラ画像を使う:二次創作の範囲を超えると問題に
- 「フリー素材」を条件確認せず使う:商用不可・クレジット必須の素材を無断で使うとトラブルに
よくある質問
Q. お金をかけずに動画の見た目を良くしたい
フリー素材の背景+無料アバターメーカーのキャラ、で十分作れます。続けられそうなら立ち絵に投資すると一気にレベルアップします。
Q. 歌詞を動画に載せてもいい?
歌詞にも著作権があり、扱いには注意が必要です。管理団体や配信先のルールを確認し、不安なら歌詞テロップは入れないのが安全です。
Q. フリー素材でも収益化して大丈夫?
その素材が「商用利用OK」であれば、収益化した動画でも使える場合が多いです。利用条件を必ず確認しましょう。収益化全体の話は収益化ガイドへ。
素材の「出所」を記録しておく
素材を集めていて後から困るのは、条件そのものよりその素材をどこから持ってきたか思い出せなくなることです。半年後に「この背景はどこの素材だったか」がわからないと、概要欄に何を書けばよいのか確認しようがありません。ダウンロードした瞬間に一行だけ書き残す習慣をつけておくと、後の自分がとても助かります。
特別な道具は不要で、表計算ソフトでもメモアプリでも構いません。記録しておく項目は次のとおりです。
| 記録する項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| 自分でつけたファイル名 | 保存したときの名前(あとで検索する手がかりになる) |
| 入手した日 | 年月日。条件がいつ時点のものかを示す目印になる |
| 入手元のページ | トップページではなく、その素材の配布ページのURL |
| 配布している名義 | 概要欄に書く際の表記のもとになる |
| 表記の要否 | 配布ページに書かれていた指示を、そのまま写して残す |
| 使った動画 | どの投稿で使ったか(後から見直すときに追える) |
「表記の要否」の欄は、自分の言葉で要約せず、書かれていた文をそのまま写すのがおすすめです。要約すると、意味が変わってしまうことがあります。判断ではなく記録として残しておけば、後で読み返したときに確認し直せます。
記録は「使うとき」ではなく「入手したとき」に書く
動画を作りながらまとめて記録しようとすると、たいてい後回しになります。制作中は完成させることに気持ちが向いているので、記録の優先度がどうしても下がるためです。ダウンロードしたその場で一行だけ書くと決めておくと、負担を感じにくくなります。
「使った動画」の欄は、あとから効いてくる項目です。ここが埋まっていれば、ある素材の扱いについて確認が必要になったとき、どの投稿を見直せばよいかがすぐに分かります。逆にこの欄がないと、過去の動画を一本ずつ開いて探すことになります。動画を出すたびに追記しておきましょう。
配布ページ自体も残しておく
配布が終了したり、ページの内容が更新されたりすると、後から条件を確認できなくなることがあります。入手した時点のページを、印刷機能でPDFにするか画面を保存する形で残しておくと、確認の手がかりになります。ただし保存したページの内容が、いつまでも有効であるとは限りません。使い続ける場合は、あらためて配布元の最新の記載を確認してください。
ファイル名とフォルダで、後から辿れるようにする
記録を残しても、実際のファイルと結びつかなければ意味がありません。素材の数が増えるほど、保存の仕方そのものが管理の一部になります。
フォルダは素材の種類で分ける
曲ごとにすべてを混ぜて入れると、同じ素材を何度もダウンロードすることになります。種類で分けたうえで、曲ごとの作業フォルダにはコピーを置く形にすると、元の素材が壊れにくくなります。
- 立ち絵・イラスト
- 背景・テクスチャ
- フォント
- 効果音・ジングル
- 曲ごとの作業フォルダ(上から必要なものをコピーして置く)
ファイル名に出所の手がかりを入れる
ダウンロードしたままの英数字の羅列だと、中身が開くまでわかりません。「背景_夜空_◯◯配布_2026-09」のように、種類・内容・配布元・入手時期を含めておくと、記録表と突き合わせやすくなります。日本語のファイル名が扱いにくい環境では、ローマ字や記号に置き換えて、規則だけ揃えておけば十分です。
録音データや書き出したファイルまで含めた保存の考え方は録音データの管理方法にまとめているので、素材とあわせて整理しておくと動画制作全体が進めやすくなります。
使う前に、その都度確認する
一度確認した素材でも、時間が経てば配布元の記載が変わっていることがあります。前に使えたから今回も同じとは限りません。特に、次のような場面では使う前に配布元のページを見直してください。
| 見直したい場面 | 確認する理由 |
|---|---|
| 以前の素材を別の動画で使い回すとき | 配布条件の記載が更新されている場合がある |
| 収益化を始めるとき | 使い方の前提が変わるため、条件の再確認が必要になる |
| 投稿先を増やすとき | プラットフォームごとに扱いが異なる場合がある |
| グッズや配信画面に転用するとき | 動画とは別の用途にあたる可能性がある |
確認した結果、記載が見当たらなかったり、自分の使い方が当てはまるのか判断できなかったりした場合は、その素材は使わないという選択が一番確実です。配布元に問い合わせられるならそれが最善ですし、返事を待てないなら別の素材を探すほうが早いこともあります。
権利まわりの基本的な考え方は歌ってみたと著作権で扱っています。ここでの判断はあくまで配布元が示している条件が優先ですので、必ず一次情報を確認してください。集めた素材のクレジットをどう書くかは概要欄の書き方、イラストを人に依頼する際の伝え方は絵師へのイラスト依頼文テンプレートを参考にしてください。
規約でよく出てくる言葉の読み方
素材サイトの利用条件には、見慣れない言葉が並んでいることがあります。意味を知らないまま「フリーだから大丈夫」と判断してしまうのが、いちばん危ない使い方です。
| よく見る項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 商用利用 | 収益化した動画で使えるか。個人利用のみと分ける配布元もある |
| クレジット表記 | 必要か不要か、書く場所や書き方の指定があるか |
| 改変・加工 | トリミング、色調整、文字入れがどこまで認められるか |
| 再配布 | 素材そのものを他の人に渡す行為。禁止されていることが多い項目 |
特に再配布は見落としやすい項目です。動画に使うこと自体は問題なくても、素材ファイルをそのまま配ったり、加工したものを別の素材として公開したりする行為は、別のルールで扱われる場合があります。
また「CC0」「パブリックドメイン」といったライセンス名が添えられていることもありますが、同じ名前でも配布元が独自の条件を追加していることがあります。ライセンス名だけで判断せず、そのサイトが書いている説明文まで読むのが確実です。
そして大前提として、規約は変わります。使う前に必ず各サイトの最新の規約を確認してください。過去に確認したから大丈夫、という判断は通用しません。
自分で撮った写真にも権利が写り込む
「自分で用意すれば安心」は基本的には正しいのですが、写真には自分以外のものが写り込みます。ここは意外と抜けやすいポイントです。
人物が写っていれば肖像権の問題が出ますし、友人に写ってもらった場合でも公開の了承は取っておきたいところです。背景にポスターやイラスト、キャラクターグッズ、店の看板などが入っていれば、それぞれに別の権利があります。背景をぼかす、画角を変えて撮り直すといった対応で避けられることも多いので、撮影の段階で気をつけておくと後が楽になります。
権利まわりの考え方は歌ってみたと著作権まとめに全体像をまとめています。
解像度は「あとから足せない」
条件を確認して集めた素材でも、サイズが小さいと動画にしたときに粗く見えてしまいます。引き伸ばした画質は元に戻せないので、集める段階で見ておきたい項目です。
横向きの動画なら1920×1080ピクセル、サムネイルは1280×720ピクセルが目安としてよく使われます。どちらも16対9の比率です。背景として全画面に使う素材は、この数字以上のものを選んでおくと安心できます。反対に、画面の一部にしか置かない小さなイラストなら、それほど大きくなくても問題ありません。
ショート動画に流用する予定があるなら、縦向きに切っても主役が収まる余白のある素材を選んでおくと使い回しがききます。サムネイルの作り方は歌ってみた・ショートのサムネイルの作り方、動画への組み込み方は歌ってみた動画(MV)の作り方で解説しています。
なお、AI生成の素材については、使ったツールの利用条件や投稿先の方針が整理されている途中の分野です。扱いが変わる可能性があるものとして、その時点のルールを確認しながら使うのが無難でしょう。
動画素材(動く背景)を使うときに見ておくこと
静止画1枚でも歌ってみた動画は作れますが、背景をゆっくり動かしたい、光や粒子を重ねたいというときは、配布されている動画素材を使う方法もあります。権利の考え方は画像と同じで、配布元の条件に従うのが前提です。そのうえで、動画素材には画像にはない確認点があります。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 尺とつなぎ目 | 曲は数分あるのに対し、素材は数秒から数十秒のものが多くあります。繰り返したときにつなぎ目が目立たない「ループ素材」かどうかを、配布ページの説明やプレビューで確かめます |
| 解像度とフレームレート | 編集ソフトの設定(例:1920×1080・30fps)と素材が違うと、書き出しのときに変換され、動きがカクついて見えることがあります。素材をそろえるか、設定を素材に合わせます |
| 重ねて使う素材の背景色 | 光や粒子のように重ねて使う素材は、背景が黒やグリーンの状態で配布されることがあります。編集ソフトの合成モード(スクリーンなど)やクロマキーの機能できれいに抜けるかを、先に試しておくと安心です |
| ファイルの重さ | 高解像度の動画を曲の長さぶん並べると、プレビューが止まりやすくなります。軽い仮ファイルで編集する機能(プロキシなど)が編集ソフトにあれば、使うと作業しやすくなります |
人物が映る素材は「歌っている本人」に見せない
動画素材には、人が歌ったり楽器を弾いたりしている映像もあります。ただ、映っているのは歌い手本人ではありません。口元のアップなどを使うと、見る人が本人の映像だと受け取ってしまうおそれがあります。人物の映像を使うなら、顔が分からない後ろ姿や手元にとどめるか、自分の立ち絵を主役にして背景として添える形が無難です。
例として、写真・動画素材サイトのPexelsのライセンスページ(2026年10月29日時点で確認)では、写真や動画を使うことも編集することも認めたうえで、写っている人物やブランドが製品を推奨しているように見せる使い方や、他の素材サイト・壁紙サイトでの再配布や販売が、禁止事項として挙げられています。出典表示は不要とされていますが、条件は変わることがあるので、使う前に公式ページで最新の内容を確認してください。
素材そのものが主役にならないようにする
配布元によっては、素材をほとんど加工せずに並べただけの動画を、素材の再配布に近い使い方として制限していることがあります。立ち絵や曲名のテロップと組み合わせ、動画素材は背景や演出として使うと、利用条件に沿いやすく、動画としてのまとまりも出ます。動画素材のクレジットを概要欄にどう書くかは歌ってみたのクレジット表記の書き方、素材を並べて動画にする手順は歌ってみた動画(MV)の作り方で解説しています。
ピアプロで見つけたイラストを動画に使いたいときは、作品ページのライセンス表示を確かめてから使いましょう。表示の見方とクレジットの書き方はピアプロのライセンス条件の見方にまとめています。
まとめ
歌ってみた動画の素材は「①自作 ②条件を確認したフリー素材 ③公式配布 ④アバターメーカー ⑤(慎重に)AI」から、著作権をクリアして集めましょう。拾い画像は使わないでください。安全な素材で作った動画は、削除の心配なく、あなたの資産として積み上がっていきます。



















