録ったのに投稿できない|歌ってみたがお蔵入りする理由と対策

録ったのに投稿できない|歌ってみたがお蔵入りする理由と対策

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録音までは終わっている。データはパソコンの中にある。それなのに投稿できないまま数か月が経ち、いつの間にか「あの曲はもういいか」になってしまった——歌ってみたを作っていると、この形で止まることがよくあります。

結論を先に書きます。お蔵入りは意志の弱さではなく、工程のどこかに終わりの条件が書かれていないことで起きます。「納得いくまで直す」は、いつ終わるかが決まっていない作業です。終わりの条件がない作業は、うまくいかないのではなく、そもそも終われません。

この記事では、止まりやすい工程を特定し、そこに合格ラインと締切を入れて公開まで運ぶ方法を扱います。あわせて、すでにお蔵入りしている音源の使い道についても触れます。

結論:止まる場所は、工程で決まっている

お蔵入りを「気持ちの問題」としてひとくくりにすると、打つ手がなくなります。実際には、止まる場所はだいたい決まっています。

止まる工程止まり方終わりの条件がない箇所
録り直し何十テイクも録って、どれを使うか決められない「どこまで直すか」
MIX自分でやって仕上がらない/依頼に踏み切れない「誰がやるか」
動画絵や字幕を用意できないまま放置「何を用意すれば完成か」

自分がどこで止まっているかを1つ特定してください。3つ全部に手を付ける必要はありません。詰まっている工程はたいてい1つで、そこさえ通れば残りは動きます。

「怖くて出せない」とは、別の詰まり方

ここで区別しておきたいことがあります。お蔵入りには、性質の違う2つの状態があります。

1つめは、完成しているのに公開ボタンが押せない状態です。データは書き出し済みで、動画もできている。あとは公開日時を決めるだけなのに、人に見られることを考えると手が止まる。これは公開そのものへの抵抗で、歌ってみたを投稿するのが恥ずかしい・怖い人へで扱っている内容が近いです。

2つめが、この記事で扱う完成しないまま止まる状態です。公開が怖いのではなく、そもそも「完成した」と言える地点にたどり着いていない。録り直しを続けている、MIXが途中、動画に手が付いていない。押すべきボタンがまだ目の前にないという点が、1つめとの違いです。

自分がどちらかを見分けるには、「いま公開して」と言われたら出せる状態かを考えてみてください。出せるなら前者、出せないなら後者です。後者なら、気持ちの問題として扱う前に工程を見ます。

止まりやすい3つの工程で、何が起きているか

録り直し:良くなっているのか判断できなくなる

同じ箇所を何度も録ると、テイク同士の差が小さくなっていき、どれが良いのか判断できなくなります。耳も疲れるので、後半のテイクほど冷静に聴けません。テイクが増えるほど決めにくくなるという性質があるので、量を増やすことが解決にならない工程です。

MIX:どこまでやれば普通なのかがわからない

自分でMIXをしていると、比較対象が自分の音しかないので、仕上がりの位置がわかりません。触るほど元の感覚から離れていき、最初のほうが良かった気もしてくる。ここは知識より基準の問題なので、時間をかけても抜けにくい場所です。

動画:作業の種類がまるごと違う

歌の作業と動画の作業は、使う技能が別物です。イラストの準備、素材の権利確認、編集ソフトの操作と、覚えることがまとめてやってきます。歌のつもりで始めた活動の途中に、別分野の作業が挟まる形になるので、ここで一気に重くなるのは自然なことです。

合格ラインと締切を、先に決める

「納得いかない」を分解して、合格ラインに変える

止まっているとき、頭の中にあるのは「まだ納得いかない」という一言です。これを分解すると、たいてい次のどれかに当てはまります。

「納得いかない」の中身実際に必要な作業
音程・リズムが気になる箇所がある場所を書き出して、そこだけ録り直す
全体がなんとなく物足りない原因が特定できていない。人に聴いてもらう段階
他の人の投稿と比べて見劣りするこの1本では解決しない。次の本数で詰める
自分の声そのものが気に入らない録音で解決する問題ではない

上の2つは作業に落とせますが、下の2つはこの1本を直しても終わらない種類のものです。ここを分けずに「納得いくまで」と決めると、終わらない作業に時間を使い続けることになります。

そのうえで、合格ラインを文にします。たとえば「Aメロ2箇所とサビの最後の伸ばし、この3箇所が直っていれば出す」。直す箇所を数で決めて、そこ以外は触らないのがこつです。完璧に仕上げてから出すという考え方の落とし穴については完璧主義と上達の関係でも触れています。

締切を自分で作る

歌ってみたには締切がありません。誰にも迷惑がかからないので、延ばしても何も起きない。だから締切のほうを自分で作ります。

いちばん効くのは、公開日を先に告知してしまうことです。SNSに「○月○日に投稿します」と書く、あるいは動画の公開予約を先に入れる。予約を入れておけば、当日には公開されます。触れる時間が有限になると、直す箇所の優先順位が自然に決まります。

告知が重いなら、もっと軽い形でもかまいません。

締切の作り方向いている人
SNSで公開日を告知する見てくれる人がすでにいる
公開予約を先に入れる一人で進めたい
友人に日付だけ伝える告知はしたくないが一人だと延びる
次の曲の録音日を先に決める1曲に長く留まる癖がある

最後の方法は、間接的ですが効きます。次の録音日が決まっていると、それまでに前の曲を畳む必要が出てくるからです。

締切を置くときは、いまの進み具合から逆算して、少しだけ余裕のある日を選んでください。明日に設定すると守れずに終わり、3か月後に設定すると2か月間は手が動きません。残っている作業が1工程なら2週間、2工程なら1か月あたりが目安になります。

工程別の抜け出し方

録り直しは、回数を先に決めてから録る

「3テイク録って、その中から選ぶ」と先に決めます。3テイクで決められないのは、テイクが足りないからではなく、選ぶ基準がないからです。基準は事前にメモしておきます——たとえば「語尾が切れていないもの」「リズムが走っていないもの」のように、聴けば判定できるものにします。

録り直しの回数を減らす準備については歌ってみたを一発撮りするコツが具体的です。録る前の準備で決まる部分が大きい工程なので、録りながら考えるのをやめるだけでも進み方が変わります。

MIX・動画で止まるなら、外注に切り替える

自分でやると決めていた工程でも、止まっているならその工程を手放す選択があります。MIXを依頼すれば、音の仕上がりの基準を持っている人が引き受けてくれますし、自分は歌の部分に集中できます。

依頼の準備はMIX依頼の準備ガイドにまとめてあります。書き出し方と要望の伝え方さえ押さえれば、初めてでも進められます。依頼先の探し方はMIX師の探し方のほうを見てください。

なお、外注は「自分でできないから負け」ではありません。工程を分担するのは、公開まで運ぶための普通の手段です。1本目を人に任せて完成させ、流れを一度通してから自分でやる、という順番でも問題ありません。

お蔵入りした音源は、捨てない

すでに止まっている音源がある場合、消さずに残しておくことをおすすめします。使い道がいくつかあります。

データを消してしまうと、その曲にかけた時間がまるごと手元から消えます。逆に残しておけば、いまは使えない音源でも、あとから別の役割を持つことがあります。

1つは、過去の記録としてです。半年後に聴き返すと、当時の自分がどこで詰まっていたのかがわかります。録音の変化を確認する材料にもなります。もう1つは、録り直しの土台としてです。同じ曲をもう一度録るとき、以前のデータがあれば比較しながら進められます。

そして、時間を置いてから「いまの基準で」判断し直す手もあります。当時は納得できなかった音源が、数か月後に聴くと悪くないということはよくあります。そのまま出せる状態なら、過去の1本として公開してしまうのも選択肢です。全体の工程を見直したいときは歌ってみた制作の流れで、どこを省略できるかを確認してみてください。

まとめ

録ったのに投稿できないときは、気持ちではなく工程を見ます。止まっているのは録り直し・MIX・動画のどれか1つで、そこに終わりの条件が書かれていないだけ、ということが多いです。

やることは3つです。直す箇所を数で決める。公開日を先に置く。止まっている工程は手放す。この3つを入れると、同じ音源でも公開まで運べるようになります。お蔵入りした音源も消さずに置いておけば、次の1本の材料になります。



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