歌枠で声に少しリバーブをかけたい。でもOBSのフィルタ一覧を見ても、リバーブという項目が見当たらない。調べると「VSTプラグインを入れればできる」と出てくるものの、ダウンロードしたプラグインがOBSの一覧に出てこない、入れたら音が途切れるようになった、という声もよく聞きます。
OBS Studioの標準の音声フィルタには、ノイズ抑制やコンプレッサー、リミッターなどはありますが、リバーブは含まれていません(2026年10月時点)。その代わりに「VST 2.x プラグイン」というフィルタがあり、外部のエフェクトを読み込んで使えます。ただし、読み込めるプラグインには条件があり、DAWで使っているものがそのまま使えるとは限りません。
この記事では、OBSで使えるプラグインの条件、インストールの場所、マイクへの追加手順、一覧に出ないときの確認、そして歌枠でリバーブをかけるときの量とモニターの考え方をまとめました。項目名・フォルダの場所は、2026年10月時点のOBS Studio日本語版(32.2系)の表記と、OBS公式のナレッジベース・ソースコードで確認したものです。
結論早見表:OBSで読み込めるプラグインの条件
プラグインを探す前に、OBSが読み込める条件を押さえておきましょう。ここを外すと、どれだけ手順どおりに入れても一覧に出てきません。
| 確認すること | OBSでの条件(2026年10月時点) |
|---|---|
| プラグインの形式 | VST 2.x のみ。公式のナレッジベースでは、VST 1.x・VST 3.x・シェル型のVST・プラグインへのMIDI入力は非対応とされています |
| ファイルの拡張子 | Windowsは「.dll」、macOSは「.vst」(VST3の「.vst3」は不可) |
| ビット数・CPU | OBSと同じ種類が必要。Windowsで現在配布されているOBSは64bit版なので、64bit版のプラグインを使う |
| 置き場所 | OBSが探しに行く決まったフォルダ(次の章で紹介) |
| 動作の保証 | 公式は「すべてのプラグインを試したわけではなく、落ちる原因になるものもある」としている |
最近はVST3形式だけで配られるプラグインも増えています。配布ページで「VST2」「VST 2.4」「VST(.dll)」といった表記があるかを先に確かめてください。DAW向けの無料プラグインの紹介は歌ってみたMIXで使える無料プラグインにまとめていますが、OBSで使う場合は、それぞれVST2版が用意されているかを個別に確認する必要があります。なお、ほかの開発者が作った拡張機能でOBSをVST3に対応させる方法も紹介されていますが、この記事ではOBS標準の機能だけを扱います。
プラグインを決まったフォルダに入れる
OBSは、決まったフォルダの中だけを探してプラグインの一覧を作ります。公式のナレッジベースとソースコードで確認できた場所は次のとおりです。
Windowsの場合
- C:\Program Files\VSTPlugins\
- C:\Program Files\Steinberg\VstPlugins\
- C:\Program Files\Common Files\VST2\
- C:\Program Files\Common Files\Steinberg\VST2\
- C:\Program Files\Common Files\VSTPlugins\
- C:\Program Files\Common Files\Steinberg\Shared Components\
これらのフォルダの中にあるサブフォルダも探されます(ソースコード上の動き)。インストーラー形式のプラグインなら、インストール先を聞かれたときにVST2(64bit)の入れ先としてこのどれかを選びます。zipなどで配られている場合は、展開した中にある64bit用の「.dll」ファイルを、このどれかのフォルダにコピーします。フォルダがなければ自分で作ってかまいません。
macOSの場合
- /Library/Audio/Plug-Ins/VST/
- ~/Library/Audio/Plug-ins/VST/(ホームフォルダの中)
macOSでは、Apple シリコン用とIntel用など、OBSとプラグインが同じCPUの種類に対応している必要があります。配布ページの対応環境を確認しておきましょう。
プラグインを入れる・入れ替えるときは、OBSを閉じた状態で作業し、終わってから起動し直すと迷いにくくなります。OBS公式のナレッジベースでは、開発時に動作を確かめたものとして、REAPERの「ReaPlugs」とMeldaProductionのプラグインが挙げられています(リバーブが含まれるかどうかは、それぞれの配布元で確認してください)。
マイクにVSTフィルタを追加する手順
- OBSの音声ミキサーで、マイクのソースの右にあるメニューボタン(歯車や縦の点のアイコン)から「フィルタ」を開く
- 左下の「+」から「VST 2.x プラグイン」を選び、わかりやすい名前(例:リバーブ)を付ける
- 右側のプルダウンから、入れたプラグインを選ぶ
- 「プラグインインターフェイスを開く」を押すと、プラグイン本体の画面が開くので、ここで設定する
- 設定が終わったら「プラグインインターフェイスを閉じる」で閉じる
プラグインの画面で変えた設定は、OBSのフィルタの設定として保存されます。「アクティブ時にインターフェイスを開く」にチェックを入れると、OBSの起動時などにプラグインの画面が自動で開くようになるので、普段は外しておいてかまいません。
プルダウンに出てこないときの確認
- 入れたのがVST3(.vst3)だけになっていないか。VST2版を別に選べる配布もあります
- 32bit版の.dllを入れていないか(Windows)。フォルダ名に「x64」「64bit」とあるほうを使う
- 上で紹介したフォルダ以外(デスクトップや独自のフォルダ)に置いていないか
- zipを展開せずに置いていないか、ショートカットだけを置いていないか
- OBSを起動し直したか
歌枠のリバーブ:並び順と量の決め方
フィルタの並び順
OBSのフィルタは、一覧の上から順に処理されます。リバーブは、ノイズを減らす処理と音量を整える処理のあとに置き、音割れを防ぐリミッターの手前に入れるのが考えやすい並びです。
- ノイズ抑制
- ノイズゲート(使う場合)
- コンプレッサー
- VST 2.x プラグイン(リバーブ)
- リミッター(最後)
リバーブをノイズ抑制やゲートより前に置くと、響きの余韻がノイズとして削られたり、ゲートで途中から切られたりして、不自然な消え方になりやすくなります。ノイズ処理の設定そのものは歌枠のノイズ対策を、リミッターの数値の決め方は歌枠の音割れ対策を参考にしてください。
量は録音のMIXより控えめから
多くのリバーブには、元の声と響きの割合を決める「Mix」や「Dry/Wet」といったつまみがあります。歌枠では、まず響きを少なめにして、元の声がはっきり聞こえる状態から足していくのが失敗しにくい進め方です。配信は、リスナーがスマホのスピーカーやイヤホンなど、さまざまな環境で聞いています。自分のヘッドホンでちょうどよく感じる量は、ほかの環境では多めに聞こえることがあります。
- 響きの長さ(残響時間)は短めから。テンポの速い曲で長いと、言葉が聞き取りにくくなります
- Mixを100%にすると、元の声がなくなり響きだけになる設定のプラグインもあります。声が遠く・薄くなったら、まずここを確認
- 雑談に戻ったとき、話し声にリバーブがかかったままだと聞き取りにくくなります。フィルタ一覧の目のアイコンで、オン・オフを切り替えられます
残響時間やプリディレイといったつまみの意味と、曲ごとの考え方はリバーブとディレイの違いで詳しく扱っています。録音のMIXと違い、配信ではあとから量を直せないので、決めたら録画で聞き返し、少し物足りないくらいで止めておくと安心です。
自分の耳にもリバーブを返したいとき
OBSのフィルタでかけたリバーブは、配信と録画に乗る音にかかります。自分のヘッドホンで聞くには、OBSの「音声モニタリング」をオンにする必要がありますが、OBSを通った返しは遅れて聞こえるため、歌いにくくなることがあります。また、オーディオインターフェースの直接モニターと両方で聞くと、声が二重に聞こえます。
歌うときの返しは遅れのない直接モニターにして、リバーブは配信の音にだけかける、という分け方が基本です。どうしても響きを聞きながら歌いたい場合は、機種によっては本体にリバーブなどのエフェクトを持つインターフェースや配信ミキサーもあるので、手持ちの機材の取扱説明書を確認してみてください。
ループバックで伴奏と声をまとめてOBSに入れている場合は、マイクのソースに伴奏も含まれているため、リバーブが伴奏にもかかります。声だけにかけたいときは、伴奏をOBSのデスクトップ音声などで別に取り込む構成にします。
重い・落ちる・音がずれるときの対処
VSTプラグインは、OBSの標準フィルタよりPCへの負荷が大きいことがあります。公式のナレッジベースでも、CPU使用率に気を配るよう案内されています。
- 音が「プチプチ」と途切れる:メニュー「表示」→「統計」でCPU使用率を見ながら、プラグインの数を減らすか、プラグイン側の品質設定を下げて比べます
- OBSが落ちる・固まる:そのプラグインを外して起動できるかを確かめます。試す前に、メニュー「シーンコレクション」→「シーンコレクションをエクスポート」で設定を書き出しておくと、元に戻しやすくなります
- 声が伴奏や映像より遅れる:プラグインによっては処理に時間がかかり、声だけが遅れることがあります。ずれの測り方と合わせ方は歌枠の音ズレの直し方にまとめています
プラグインを足したあとは、本番前に毎回30秒ほど録画して、声が出ているか、響きの量が変わっていないかを聞いておくと、事故を減らしやすくなります。
標準フィルタのコンプレッサーの項目と、歌枠で声の大小をならす数値の決め方、かけすぎのサインは、OBSのコンプレッサー設定の解説でまとめています。
まとめ:条件を確かめてから入れ、少なめから足す
- OBSで使えるのはVST 2.xのプラグインだけ。VST3・32bit版は一覧に出ない
- プラグインは、OBSが探しに行く決まったフォルダに入れる
- マイクのフィルタに「VST 2.x プラグイン」を追加し、ノイズ処理のあと・リミッターの前に置く
- 響きは録音のMIXより控えめから。Mixのつまみと雑談中のオン・オフに注意
- 自分への返しは直接モニターにして、リバーブは配信の音にだけかける
- 重い・落ちる・ずれるときは、プラグインを減らして録画で比べる
リバーブは、少しかけるだけで歌枠の雰囲気を変えられる一方、かけすぎると声が遠くなります。録画で聞き返しながら、自分の声に合う量を探してみてください。



















