歌う人のための楽譜の読み方|音符・休符・記号を歌に使う最低限

歌う人のための楽譜の読み方|音符・休符・記号を歌に使う最低限

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合唱の練習や歌のレッスン、バンドスコアや配布されたメロディ譜など、歌っていると楽譜を渡される場面がときどきあります。耳で覚えて歌うことには慣れていても、楽譜を前にすると「どこを見ればいいのか分からない」「おたまじゃくしが並んでいるだけに見える」と感じる方は多いのではないでしょうか。

楽器を演奏するための楽譜の読み方をすべて覚える必要はありません。歌う人がまず使えるようになりたいのは、リズム(音の長さ)、音の高さの動き、歌う順番、表情の指示の4つです。この4つが読めるだけでも、耳で覚えた歌を確かめたり、知らない曲を覚える手がかりにしたりできます。

この記事では、歌う人のための楽譜の読み方を、音符と休符の長さ、五線とドレミ、繰り返しの記号、強弱などの記号の順に、歌の練習で使う場面と合わせて解説します。

結論早見表:歌う人が楽譜で見る場所

見る場所分かること歌での使い方
拍子記号(4/4など)1小節に何拍あるか手拍子や足踏みでカウントを取る基準にする
テンポの表示曲の速さメトロノームの速さを合わせる
音符・休符の形音を出す長さ、休む長さ言葉を伸ばす長さ、ブレスのタイミングを確かめる
五線上の位置音の高さメロディが上がるか下がるか、どれくらい跳ぶかをつかむ
シャープ・フラットなど半音上げる・下げる音音程を外しやすい場所の目印にする
繰り返しの記号歌う順番2番やサビの繰り返しで迷わないようにする
強弱・表情の記号声の大きさや歌い方の指示盛り上げる場所、抑える場所を決める

楽譜は上から下まで一度に読もうとすると混乱しやすいものです。最初は「リズムだけ」「高さだけ」と、見る場所を一つに絞って読むのがコツです。

楽譜の全体像:歌の楽譜はどう並んでいるか

歌の楽譜では、横に引かれた5本の線(五線)の上に音符が並び、そのすぐ下に歌詞が書かれているのが一般的です。音符一つにつき、歌詞の一文字(または一音)が対応しています。1つの音符に2文字以上が割り当てられていたり、1文字を複数の音符にまたがって伸ばしたりする部分もあります。言葉と音の割り当て方は譜割りを理解して歌うコツで詳しく解説しています。

五線は縦の線(小節線)で区切られていて、区切られた1つ分を「小節」と呼びます。各段の左端には、次のような記号が書かれています。

  • ト音記号:五線のどの位置がどの音の高さかを決める記号。歌のメロディ譜では、ほとんどがこの記号です。男声のパートでは、ヘ音記号が使われることもあります
  • 調号:ト音記号のすぐ右に並ぶシャープやフラット。曲全体で、その位置の音を半音上げたり下げたりすることを表します
  • 拍子記号:最初の段だけに書かれる分数のような数字。4/4なら「4分音符を1拍として、1小節に4拍」という意味です

楽譜の上のほうに「♩=120」のような表示があれば、それがテンポです。1分間に4分音符を120回打つ速さを表しています。

リズムを読む:音符と休符の長さ

歌の練習で楽譜が特に役立つのは、実はリズムの部分です。耳で覚えたつもりでも、「ここは何拍伸ばすのか」「どこで休むのか」があいまいなまま歌っていることはよくあります。

音符と休符の長さの関係

音符の長さは、基本の長さを半分ずつに分けていく決まりになっています。4分音符を1拍とする拍子(4/4、3/4、2/4など)では、次のようになります。休符は、同じ長さだけ音を出さずに休む記号です。

音符形の特徴長さ(4分音符=1拍のとき)同じ長さの休符
全音符白い玉だけで棒がない4拍全休符
2分音符白い玉に棒2拍2分休符
4分音符黒い玉に棒1拍4分休符
8分音符黒い玉に棒と旗1本(または連桁1本)半拍8分休符
16分音符黒い玉に棒と旗2本(または連桁2本)4分の1拍16分休符

8分音符や16分音符が続くときは、旗の代わりに横の太い線(連桁)でまとめて書かれます。線の本数が増えるほど、1つの音が短くなると覚えておくと読みやすくなります。

付点・タイ・3連符

  • 付点:音符の右に付いた小さな点。元の長さの1.5倍になります。付点4分音符なら1拍半です
  • タイ:同じ高さの音符どうしを弧線でつないだもの。2つの長さを足して、1つの音として伸ばします。歌詞は最初の音符にだけ付いています
  • スラー:違う高さの音符をまたぐ弧線。音を切らずになめらかにつなげて歌う指示です。タイと形が似ているので、つないでいる音の高さが同じかどうかで見分けます
  • 3連符:「3」と書かれた音符のまとまり。本来2つ分の長さを3つに等しく分けて歌います

リズムを体で読む手順

  1. 拍子記号を見て、「1、2、3、4」と拍を声に出して数える
  2. 拍を数えながら、音符のところだけ手を叩く。休符では叩かない
  3. 慣れたら、手拍子の代わりに歌詞を一定の高さで読む(リズム読み)
  4. 最後に音の高さを付けて歌う

拍を一定に保つには、メトロノームを使うと練習しやすくなります。使い方はメトロノームを使った歌の練習方法を参考にしてください。

音の高さを読む:五線とドレミ

五線は下から順に第1線、第2線…と数え、線の上と、線と線の間(間)の両方に音符が置かれます。上にあるほど高い音です。

ト音記号の場合、記号の渦巻きの中心がある第2線が「ソ」です。そこから一つ上の間が「ラ」、一つ下の間が「ファ」というように、線と間を一段ずつ進むたびに音が一つずつ変わります。五線の下に短い線を1本足した位置(下第1線)が「ド」で、ピアノの鍵盤の真ん中あたりにある「ド」にあたります。

シャープ・フラット・ナチュラル

  • シャープ(#):半音上げる
  • フラット(♭):半音下げる
  • ナチュラル(♮):シャープやフラットを取り消して、元の高さに戻す

段の左端の調号は曲全体に、曲の途中で音符の直前に付いたもの(臨時記号)は、原則としてその小節の中だけで有効です。臨時記号が付いた音は、メロディの中で音程を外しやすい場所になりやすいので、歌う前に印を付けておくと便利です。

歌う人は「音名」より「動き」を見る

一つずつ「これはミ、これはソ」と読めなくても、歌うときには困らない場面が多くあります。まずは、音符が上がっているか下がっているか、隣の音に進むのか、大きく跳ぶのかという動きを見る習慣を付けます。高さが分からない部分は、鍵盤アプリなどで鳴らして確かめれば十分です。耳で聴き取る力と組み合わせると、楽譜の情報がさらに使いやすくなります。音の高さの聴き取り方は音感をつけるトレーニング方法、楽譜がない曲のメロディの取り方はメロディの耳コピのやり方で紹介しています。

なお、カラオケや歌ってみたでキーを変えて歌う場合、楽譜に書かれた音名と実際に歌う高さはずれます。楽譜はメロディの形とリズムを確かめるために使い、高さは変えたキーの伴奏に合わせて取ります。

歌う順番を読む:繰り返しの記号

歌の楽譜は、同じメロディを何度も書かずに済むように、繰り返しの記号で順番が指示されていることがよくあります。ここを読み違えると、2番の途中でどこを歌っているか分からなくなります。

記号意味
反復記号(太い線と2つの点)点が付いた2本の線ではさまれた部分を繰り返す。戻る先の記号がなければ曲の最初に戻る
1番カッコ・2番カッコ1回目は1番カッコを歌い、繰り返したあとは1番カッコを飛ばして2番カッコへ進む
D.C.(ダ・カーポ)曲の最初に戻る
D.S.(ダル・セーニョ)セーニョの記号(Sに斜線と点が付いた形)まで戻る
To Coda と Coda戻ったあとの2回目に「To Coda」まで来たら、「Coda」の記号の場所へ飛ぶ
Fine(フィーネ)D.C.やD.S.で戻ったあと、ここで終わる

よくある読み違いは、1回目なのに「To Coda」で飛んでしまうことと、繰り返しのあとで1番カッコをもう一度歌ってしまうことです。初めての楽譜では、歌う前に指で順番どおりにたどり、戻る場所や飛ぶ場所に鉛筆で丸を付けておくと迷いにくくなります。

歌詞が段の下に2行、3行と重ねて書かれている場合は、1行目が1番、2行目が2番の歌詞です。繰り返しの記号と歌詞の行を組み合わせて読みます。

表情を読む:強弱や歌い方の記号

音の長さと高さが読めたら、次は歌い方の指示です。歌の楽譜でよく見かけるものをまとめました。

  • 強弱記号:p(ピアノ)は弱く、f(フォルテ)は強く。mp・mfはその中間で、ppやffはさらに弱く・強くを表します
  • クレッシェンド・デクレッシェンド:横に開いていく記号やcresc.はだんだん強く、閉じていく記号やdecresc.・dim.はだんだん弱く
  • スタッカート:音符の上や下の小さな点。音を短く切って歌います。歌い方はスタッカートの解説記事で紹介しています
  • アクセント:音符に付いた「>」の形。その音を目立たせます
  • フェルマータ:半円に点が付いた記号。その音や休符をほどよく長く伸ばします。どれくらい伸ばすかは、伴奏や指揮に合わせます
  • ブレス記号:五線の上の「V」やカンマの形。ここで息を吸う、という目印です

強弱の記号は、どれくらいの音量かを決めるものではなく、前後と比べてどう変えるかの指示です。fだからといって全力で歌う必要はありません。曲の中での変化を表すものとして読むと、歌い方を組み立てやすくなります。

楽譜を使った歌の練習の進め方

最後に、楽譜を歌の練習に取り入れる流れをまとめます。

  1. 拍子記号とテンポを確認し、繰り返しの記号を見て歌う順番に印を付ける
  2. 休符とブレス記号の場所に印を付け、息を吸うタイミングを決める
  3. メトロノームに合わせて、リズムだけを手拍子かリズム読みで確かめる
  4. 音符の動き(上がる・下がる・跳ぶ)を見ながら、鍵盤アプリで高さを確かめる
  5. リズムと高さを合わせて、短い区切りごとに歌う
  6. 強弱や表情の記号を加え、通して歌って録音し、楽譜と聴き比べる

楽譜は、一度で全部を読めるようになるものではありません。よく歌う曲の楽譜を一つ用意して、「今日はリズムだけ」「今日は繰り返しの順番だけ」と見る場所を決めて付き合っていくと、少しずつ読めるところが増えていきます。耳で覚えた歌を楽譜で確かめる、という使い方から始めてみてください。



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