ボーカルはモノラルで録る?ステレオとの違いとMIXでの扱い

ボーカルはモノラルで録る?ステレオとの違いとMIXでの扱い

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DAWで新しいトラックを作ろうとすると、「モノラル」と「ステレオ」の選択肢が出てきます。せっかくなら広がりのあるステレオのほうが良さそうに思えますが、録ってみたら声が左のヘッドホンからしか聞こえない、MIX師さんに「ステレオで来ていますが中身はモノラルですね」と言われた、という声もよく聞きます。

結論から言うと、歌ってみたのボーカルはモノラルのトラックで録るのが基本です。ただ、完成した音源はステレオで仕上げますし、伴奏やリバーブはステレオで扱います。どこまでがモノラルで、どこからステレオになるのかを知っておくと、設定で迷うことも、片側だけ聞こえるトラブルも減らせます。

この記事では、モノラルとステレオの違い、ボーカルをモノラルで録る理由、DAWでのトラックの作り方、片側からしか聞こえないときの直し方、MIXや書き出しでの扱いまでを順番に解説します。

結論:ボーカルはモノラル、仕上がりはステレオ

まずは、歌ってみたの制作でよく出てくる素材ごとに、モノラルとステレオのどちらで扱うかをまとめます。

素材・場面扱いポイント
メインボーカルの録音モノラルマイク1本=1チャンネルの音
ハモリ・ダブリングの録音モノラル(1テイクずつ)左右の広がりはMIXでパンを振って作る
オケ(オフボーカル音源)ステレオ元からステレオの音源なのでそのまま読み込む
リバーブ・ディレイステレオ(センドで使う)声はモノラルのまま、響きを左右に広げる
完成音源の書き出しステレオ投稿・配信はステレオが前提
MIX師さんへの提出依頼先の指定に合わせる指定がなければモノラルが無難

ポイントは、「声そのもの」はモノラル、「声を置く空間」はステレオと分けて考えることです。

モノラルとステレオの違いと、ボーカルをモノラルで録る理由

モノラルは、1つの音源から来た1チャンネルの音です。ステレオは、左と右の2チャンネルに別々の音が入っていて、聴いたときに左右の広がりや位置を感じられる音のことです。

オーディオインターフェースメーカーのFocusriteの解説では、特別に設計されたステレオマイクでない限り、マイクはモノラルの機器だとされています。つまり、マイク1本で歌を録るなら、入ってくる音はもともとモノラルです。ステレオのトラックを選んでも、1本のマイクの音が2チャンネル分に化けるわけではありません。

「ステレオ録音」と「ステレオで聞こえる」は別の話

市販の曲を聴くと、ボーカルが真ん中にいながら、周りに響きが広がって聞こえます。これは多くの場合、声をモノラルで真ん中に置き、リバーブなどの響きや伴奏をステレオで左右に広げて作られています。声そのものをステレオで録っているから広がって聞こえる、というわけではないのです。

そのうえで、歌ってみたのボーカルをモノラルで録る理由は、主に次の3つです。

1. 真ん中にしっかり定位させやすい

モノラルのトラックは、パンを動かさなければ左右に同じ音量で出力され、真ん中から聞こえます。歌ってみたではメインボーカルを真ん中に置くのが出発点なので、モノラルで録っておけば何もしなくても狙った位置に収まります。パンの決め方は歌ってみたMIXの定位(パン)の決め方で詳しく解説しています。

2. MIXでの処理がシンプルになる

EQやコンプレッサーは、モノラルのトラックに挿せば1チャンネル分の処理で済みます。ステレオのトラックに1本のマイクの音が入っていると、左右の片方が無音だったり、左右が同じ音だったりして、処理や確認の手間が増えます。

3. 容量が半分で済む

同じ長さ・同じ設定のWAVなら、モノラルの容量はステレオのおよそ半分です。テイクを何本も録る歌ってみたでは、この差が積み重なります。容量の計算方法はサンプリングレートとビット深度の解説で紹介しています。

DAWでのトラックの作り方と入力の選び方

録音するときに設定するのは、「トラックの種類」と「入力の番号」の2つです。

  1. オーディオトラックを追加するときに「モノラル(Mono)」を選ぶ:DAWによっては、トラック作成画面でチャンネル構成を選ぶ項目があります
  2. 入力を、マイクを挿した端子の番号にする:入力1にマイクを挿したなら「入力1」(Mono)を選ぶ
  3. 録音待機にしてメーターが振れるか確認する:声を出したときに、そのトラックのメーターが動けばOK
  4. オケは別のステレオトラックに読み込む:オケのファイルはステレオのまま扱います

Focusriteのセットアップ解説でも、マイク1本で録るときはチャンネル構成をMono(モノラル)に、ステレオペアのマイクやキーボードなどを録るときはStereoに設定する、という使い分けが案内されています。

入力が「1-2(ステレオ)」になっていないか

2つの入力端子があるオーディオインターフェースでは、入力の選択肢に「入力1」「入力2」「入力1-2」のように並ぶことがあります。マイクが入力1だけに挿さっているのに「入力1-2」をステレオで選ぶと、左チャンネルには声が、右チャンネルには何も入っていない(またはノイズだけの)トラックになります。これが「声が左からしか聞こえない」の典型的な原因です。

声が片側からしか聞こえないときの直し方

録音中や再生時に、自分の声が左耳だけ(または右耳だけ)から聞こえる場合は、どの段階で片側になっているかを順に確かめます。

症状考えられる原因対処
録ったトラックを再生すると片側だけステレオトラック・入力1-2で録った次からモノラルトラックで録る。録ったものは片側だけを取り出してモノラルにする
録音中のモニター音が片側だけ(DAWを止めても同じ)インターフェースのダイレクトモニターがステレオ設定機種のモノラル/ステレオ切り替えを確認する
パンが端に寄っているパンのつまみを動かしてしまったパンを真ん中(C)に戻す
オケも含めて全部片側だけヘッドホンのプラグや変換アダプターの接触差し直す・別のヘッドホンで試す

ダイレクトモニターの「モノ/ステレオ」切り替えに注意

オーディオインターフェースには、DAWを通さずに自分の声をヘッドホンへ返すダイレクトモニターの機能があります。機種によっては、このダイレクトモニターにモノラルとステレオの切り替えがあります。たとえばFocusriteのScarlett 2i2(第3世代)では、ダイレクトモニターボタンでオフ・モノ・ステレオの3つを切り替えられると案内されています。

ステレオに設定すると、入力1が左、入力2が右に振り分けられるため、入力1に挿したマイクの声は左耳からだけ聞こえることになります。マイク1本で歌うならモノラル側にしておくと、両耳に声が返る設定になります。切り替えの方法や表示は機種ごとに違うので、お使いの機材の取扱説明書で確認してください。

録ってしまった片側だけのトラックを救う

すでに片側だけに声が入ったステレオのテイクがある場合も、録り直す必要はありません。多くのDAWには、ステレオのファイルを左右に分ける機能や、片方のチャンネルだけを取り出してモノラルとして書き出す機能があります。声が入っている側だけを取り出し、モノラルのトラックに置き直せば、通常のテイクと同じように扱えます。メニューの名前はDAWごとに違うので、マニュアルで「ステレオを分割」「チャンネルを抽出」などの項目を探してみてください。

MIXと書き出しでの扱い

ハモリやダブリングもモノラルで1本ずつ

声を重ねて厚みや広がりを出すときも、録るのはモノラルのテイクを1本ずつです。左右に広げたい場合は、2本のテイクをそれぞれ左寄り・右寄りにパンで振ります。ステレオで録って広げるのではなく、モノラルを並べて広げるイメージです。重ね方は歌ってみたのダブリングのやり方で紹介しています。

リバーブはステレオのセンドで

リバーブやディレイは、ボーカルのトラックに直接挿すより、別に作ったステレオのトラック(センド/リターンやFXトラックと呼ばれます)にまとめて挿し、そこへ声を送る使い方が一般的です。声はモノラルのまま真ん中に残り、響きだけが左右に広がるので、芯のある声と空間の広がりを両立しやすくなります。

MIX師さんに送るときは指定を確認

MIXを依頼する場合、ボーカル素材をモノラルで送るかステレオで送るかは、依頼先の指定に合わせます。指定がなければ、録ったときと同じモノラルで書き出すのが無難です。DAWによっては、モノラルのトラックでも書き出し時にステレオのファイルになることがあります。その場合でも、左右に同じ音が入っていて片側が無音になっていなければ、実用上の問題は少ないとされています。書き出しの手順はMIX依頼の準備ガイドを参考にしてください。

完成音源はステレオで書き出す

オケと声を混ぜた完成音源は、ステレオで書き出します。YouTubeのヘルプでも、アップロードする動画の音声チャンネルはステレオなどが推奨されています。書き出したあとは、スマホのスピーカーなど左右が混ざって再生される環境でも一度聴いて、声やハモリが痩せて聞こえないか確かめておくと安心です。

よくある質問

Q. USBマイクで録ったらステレオのファイルになりました

USBマイクの中には、パソコンからステレオの機器として認識されるものがあり、左右に同じ声が入ったステレオファイルになることがあります。中身はモノラルと同じなので、そのまま使っても大きな問題はありませんが、MIXで扱いやすくするなら、片側を取り出してモノラルにしておくと整理しやすくなります。

Q. マイクを2本使ってステレオで歌を録るのはあり?

部屋の響きごと録りたいときなど、目的があれば選択肢になります。ただ、自宅の部屋は響きが整っていないことが多く、歌ってみたではマイク1本のモノラルで録り、響きはMIXで足すほうが扱いやすいのが一般的です。

Q. モノラルで録ると音が小さく聞こえます

モノラルかステレオかで、声の大きさが極端に変わることは基本的にありません。小さく感じるときは、録音レベル(ゲイン)が低いか、パンやフェーダーの設定を確認してみてください。DAWの設定によっては、パンを真ん中にしたときに音量を少し下げる仕組み(パンの法則)が働くこともあります。

まとめ

歌ってみたのボーカルは、マイク1本・モノラルのトラック・入力はマイクを挿した番号、が基本の組み合わせです。広がりは、ハモリやダブリングのパン、ステレオのリバーブ、ステレオのオケで作ります。声が片側からしか聞こえないときは、トラックの種類、入力の選び方、ダイレクトモニターの設定の順に確認すれば、たいていは原因にたどり着けます。

Windowsで録音している人は、DAWと機材をつなぐドライバーの設定も一度見直しておくと、録音中のトラブルを減らしやすくなります。ASIOドライバーとはで、選び方と注意点をまとめています。



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