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ボイトレ教室に通い始めて数回、「この先生、なんとなく合わないかもしれない」と感じたとき。多くの人はそこで言い出せず、そのまま数か月通って、成果が出ないまま退会します。実際に動くべきなのは、辞めるかどうかを決める前に、担当を変えてみる段階です。
この記事は、すでに入会していて講師との相性に詰まっている人に向けて書いています。入会前に「講師を変更できるか確認しましょう」という話ではなく、いま担当がついている状態から、どう切り分けて、どう申し出るかを扱います。言い方のテンプレも載せました。
最初に大事なことを書いておくと、「合わない」と感じたからといって、その講師の指導が間違っているとは限りません。逆に、我慢して続ければそのうち合うようになる、というものでもありません。合わなさの中身を3つに分けると、変えるべきか、伝え方を変えれば済むかが判断できます。
結論|「合わない」を3種類に分けると、やることが決まる
相性の問題を一語でまとめてしまうと、対処のしようがありません。実際には次の3つが混ざっています。
| 合わなさの種類 | 出てくる症状 | まずやること |
| 指導の型が合わない | 説明の言葉がピンとこない。感覚的な表現ばかり/理屈ばかりで動けない | 伝え方を変えてもらえるか一度相談する |
| 目標がずれている | 投稿用の歌を習いたいのに、カラオケ採点や発表会の方向に進む | 目的をもう一度言語化して伝える |
| 進め方・人柄が合わない | 質問しづらい。指摘の仕方がきつい/ゆるすぎて課題が出ない | 担当の変更を申し出る |
ポイントは、上2つは伝え方で解決することがあり、3つ目は伝えても変わりにくいという点です。指導の型や目標のズレは、生徒側が「何を直したいか」を言っていないせいで起きているケースがかなりあります。逆に、質問しづらい・萎縮するといった感覚は、本人の性質に根ざすので話し合いでは埋まりません。
効果が出ないと感じる原因は講師との相性だけではないので、そもそも教室の使い方がずれていないかは「ボイトレ教室は意味ない」は本当かもあわせて確認してみてください。
まず切り分ける|伝えれば直るか、伝えても直らないか
担当を変える前に、1回だけ試す価値がある手順があります。レッスンの冒頭で、自分の目的と、いま困っている症状を具体的に言い直すことです。
たとえばこう伝えます。
- 「歌ってみたを投稿していて、マイクに近づいて録る前提の声を作りたいです」
- 「サビの高い音で毎回のどが締まります。そこを重点的にやりたいです」
- 「感覚の説明だと再現できないので、体のどこをどうするかで言ってもらえると助かります」
3つ目のような「説明の仕方のリクエスト」は、言っていい範囲です。講師は複数の伝え方を持っていることが多く、生徒に合わせて切り替えます。言わないかぎり、講師側は今の説明が通じていると思ったまま進みます。
これを1〜2回やっても変化がないなら、伝え方の問題ではありません。そこから先が、担当変更を検討する段階です。
変えたほうがいいサイン
- レッスン中に質問ができない、聞き返すのが気まずい
- 何を練習すればいいか、帰り道で説明できない状態が3回以上続いている
- 目的を伝え直しても、次のレッスンでまた別の方向に進む
- レッスンの日が近づくと気が重い
もう少し続けたほうがいいサイン
- 指摘の内容自体は納得できる。ただ地味で、面白くないだけ
- 課題ははっきりしているが、自分が自主練をやれていない
- まだ2〜3回しか受けていない(講師側も現状把握の途中)
- 他の生徒の成果は出ているように見える
「つまらない」と「合わない」は別物です。発声の土台を作る時期はどの講師についても地味になります。ここで講師を変え続けると、毎回スタート地点に戻ることになります。自主練が回っていないだけの場合は、通う回数の設計を見直すほうが効きます(ボイトレに通う頻度は月何回か)。
担当変更をお願いするときの言い方
いちばんの障壁は制度ではなく、気まずさです。ここは「講師が悪い」ではなく「自分の目的と講師の得意分野がずれている」という形にすると、伝える側も受ける側も角が立ちません。実際、講師によって得意なジャンルや専門は本当に違います。
伝える相手は、担当講師本人ではなく受付・スクールの窓口(または問い合わせフォーム)にしてください。多くのスクールでは受付やカウンセラーが担当調整の窓口になっており、講師本人に直接言う必要はありません。
そのまま使える言い方
受付で口頭の場合
「いまの先生にはとてもよくしていただいているのですが、私がやりたいのが歌ってみたの録音向けの発声で、そちらを専門にされている先生のレッスンも一度受けてみたいです。次回から別の先生でお願いすることはできますか」
メール・フォームの場合
「いつもお世話になっております。〇〇校で受講している△△です。現在は□□先生に担当いただいておりますが、私の目標が〈マイク録音前提の声づくり/高音の脱力〉にあり、その分野を得意とされる講師の方のレッスンも受けてみたいと考えています。次回以降、別の講師でのご予約は可能でしょうか。可能であれば候補の方を教えていただけると助かります」
この言い方には3つ仕込んであります。(1)今の講師を否定しない、(2)変更理由を「目的と専門の不一致」に置く、(3)候補を出してもらう。3つ目が地味に重要で、こちらが誰を指名するか決めなくて済みます。
言いにくければ、予約の取り方で変える手もある
担任制を採っていない教室なら、そもそも申し出が要りません。たとえばシアーミュージックは公式FAQで「シアーは担任制を取っていません。レッスン毎に講師を変えていただいても結構です」と明記しています。この形式の教室では、次の予約を別の講師の枠で取るだけで実質的に変更が完了します。
ボーカルレッスンMyUも公式FAQで「レッスンごとに違う講師のレッスン受けている生徒さんもいます。最初の数ヶ月は発声の基礎に強い講師のレッスンを受け、よりジャンルが近く気が合う講師に変更することもできます」と案内しています(いずれも2026年9月時点)。講師を固定しない使い方が、そもそも想定内として設計されているわけです。
講師を変えやすい教室・変えにくい教室の違い
制度の形は、大きく3つに分かれます。どれが優れているという話ではなく、変更のしやすさと、継続して見てもらえることはトレードオフです。
| 制度の形 | 変更のしやすさ | 代わりに失うもの |
| 担任制なし(毎回選べる) | 予約を取り直すだけ。申し出が不要 | 前回の課題の引き継ぎが弱くなることがある |
| 担当制+変更可 | 窓口に申し出れば変更できる | 申し出る手間と気まずさ |
| 担当制・原則変更なし | 難しい。教室ごと変えることになる | ― |
また、変更とは別に「指名料」がかかる場合がある点にも注意してください。シアーミュージックは公式に「一部の講師はレッスン受講時にお月謝とは別で指名料をお支払い頂きます」と記載しています。特定の講師を固定で受けたい場合、月謝以外の費用が乗る可能性があるということです。
NAYUTASとアバロンミュージックスクールについては、公式サイト上で講師の指名・変更制度に関する明示的な記載を確認できませんでした(2026年9月時点)。記載がない=できない、ではありません。運用でできる教室は多いので、通っている人は受付で、これから通う人は体験の場で確認してください。教室ごとの制度の全体像は歌い手向けボイトレ教室10校の比較に表でまとめています。
変更しても合わないときの選択肢
2人目でも噛み合わない場合、原因が講師側にない可能性を疑う段階です。次の順で確認してみてください。
- 目標が言語化できているか。「うまくなりたい」だけだと、誰が担当しても指導は散ります。直したい症状を1つに絞れているか
- レッスンの守備範囲を超えていないか。録音が細く聞こえる、ミックスで埋もれるといった問題は、発声ではなく録音・編集側の課題であることがあります
- 教室の方向性自体がずれていないか。ボーカル発表会や採点を中心に据えている教室と、投稿用の録音を想定している教室では、講師個人の問題ではなくカリキュラムの前提が違います
3に当てはまるなら、教室を移ったほうが早いです。そのときはいきなり退会せず、他校の無料体験を1〜2校受けてから決めるほうが安全です。比較対象がない状態で辞めると、次も同じ選び方をしてしまいます。体験で何を聞くかは体験レッスンの流れと質問リストにまとめてあります。
退会の前に休会制度を使う手もあります。たとえばシアーミュージックは「変更したい月の前月5日までに所定の手続きが必要」「休会手続き後、最長3か月まで」としています。いったん止めて、他校を見てから戻る/移るを決めるという使い方ができます。
次に入会するときに、相性リスクを下げておく
移籍するにせよ、これから入るにせよ、同じ詰まり方を繰り返さないために確認しておきたいのは2点だけです。
- 担任制かどうか、変更の手続きはどこに言うのか(受付か、講師本人か)
- 指名や固定に追加費用がかかるか
契約前に見るべき項目はほかにもあり、ボイトレ教室選びでよくある5つの失敗にチェックリストの形で載せています。ただ、相性については「合う講師を一発で引く」ことを目指すより、「合わなかったときに動けるか」を確保するほうが現実的です。何回か受けてみないと分からない領域だからです。
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伝え方を変えるだけで噛み合うこともある
担当変更を申し出る前の「目的と症状を言い直す」段階で、何をどう伝えればいいか迷う場合は、講師への要望の伝え方と例文を見てみてください。要望を「曲名・箇所・症状」の形にそろえる3ステップと、レッスンの冒頭で課題を出すとき・方針そのものを相談したいとき・やり方が合わないと感じたときに使える言い方の例をまとめています。要望を出しても変わらないときの見極めにも触れています。
まとめ|辞める前に、担当を1回変えてみる
講師と合わないと感じたとき、順番はこうです。まず合わなさの正体を3つに切り分ける。目的と症状を言い直して1〜2回試す。それでも変わらなければ、受付に「目的と専門のずれ」という形で変更を申し出る。2人目でも噛み合わなければ、教室の方向性そのものを疑い、他校の体験を受けてから決める。
担任制を採っていない教室なら、そもそも予約の取り方を変えるだけで済みます。シアーミュージックやボーカルレッスンMyUのように、講師を固定しない受け方を公式に案内している教室もあります(2026年9月時点)。制度は使うために用意されているので、遠慮して使わないままやめるのがいちばんもったいない選択です。
これから教室を選ぶ段階なら、講師変更の可否と指名料の有無を最初の確認項目に入れておいてください。各校の制度は10校の比較記事で一覧にしています。



















