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歌枠を続けていると、「配信中にBGMだけすぐ下げたい」「マイクに軽くエコーをかけたい」「ゲーム音と歌を別々に扱いたい」といった要求が出てきます。こうした操作を、ソフトの画面ではなく手元のつまみとフェーダーでこなすための機材が配信用ミキサーです。
ただ、配信用ミキサーはオーディオインターフェースと見た目も接続方法も似ていて、どちらを買えばいいのか分かりにくいところがあります。実際、歌枠だけならインターフェース1台で足りる人もいます。逆に、雑談・ゲーム・歌を1つの配信に混ぜる人ほど、ミキサーを入れたほうが操作が減りやすいです。
この記事では、2026年9月時点でメーカー公式サイトに現行製品として掲載されている機種にしぼって、歌枠向けのミキサーの選び方と候補をまとめました。「買わなくていい人」の条件も最後に書いています。
結論:歌枠用ミキサーは「使い方」で3択+1
先に全体像を出しておきます。配信用ミキサーは価格帯で選ぶより、同時に扱う音の数で選んだほうが外しにくくなります。
| こんな使い方 | 候補 | 理由 |
|---|---|---|
| マイク1本+BGMで歌枠だけ | YAMAHA AG03MK2(3チャンネル) | 歌枠に必要な機能がひと通り入っていて情報も多い |
| マイク2本、または楽器も鳴らす | YAMAHA AG06MK2(6チャンネル) | 入力が増え、弾き語り配信やゲスト同席に対応しやすい |
| サウンドパッドやボイスチェンジャーも使いたい | YAMAHA AG08(8チャンネル) | リアルタイム演出の機能を本体に内蔵 |
| ゲーム配信と歌枠を両方やる | Roland BRIDGE CAST | 配信用と自分用でミックスを2系統に分けられる |
この記事の選定基準は次の4つです。① 2026年9月時点でメーカー公式サイトに現行製品として掲載されていること、② XLRのマイク入力とファンタム電源(+48V)があり、コンデンサーマイクを使えること、③ ループバック(PCで再生している音と自分の声をまとめて配信へ送る機能)があること、④ 日本語の設定情報が見つけやすい定番であること。歌枠は「トラブったその日に自力で直せるか」が続けやすさに直結するため、④を重めに見ています。
オーディオインターフェースとミキサーは何が違うのか
ざっくり言うと、オーディオインターフェースは「変換器」、ミキサーは「混ぜる機械」です。インターフェースはマイクの音をパソコンが扱えるデジタルデータに変え、パソコンの音をヘッドホンに返すのが主な仕事で、つまみは必要最小限です。
一方ミキサーは、複数の音源(マイク・パソコン・スマホ・楽器)を1つにまとめ、それぞれの音量バランスをフェーダーで調整します。配信用として売られているミキサーは、ここにUSBオーディオインターフェースの機能が組み込まれているので、実質「ミキサー操作ができるインターフェース」と考えると分かりやすくなります。
歌枠でよく名前が挙がるヤマハAGシリーズも、公式サイト上の分類はオーディオインターフェースではなく、プロオーディオの「ライブ配信/ゲーミング」カテゴリのライブストリーミングミキサーです。純粋に録音用のインターフェースを探している場合は、オーディオインターフェースの選び方のほうが近い内容になります。
歌枠でミキサーを入れるとできるようになること
- 配信中に手元でバランスを変えられる:曲間のトークでBGMを下げる、盛り上がる曲で声を前に出すといった操作を、マウスを触らずに行えます
- ループバックで「声+BGM」をまとめて送れる:カラオケ音源をパソコンで再生しながら歌う歌枠と相性がよい機能です
- 本体のエフェクトで声を整えやすい:軽いリバーブやコンプが内蔵されていて、パソコンの処理を増やさずに歌いやすい返しを作りやすくなります
- 入力を増やせる:スマホの音、楽器、ゲーム機の音などを足していけます
逆に言うと、これらが不要なら急いで買う必要はありません。判断材料は後半にまとめています。
選び方の4つの基準
① チャンネル数は「今の音の数+1」で考える
チャンネル数は、同時につなぐ音源の数の目安です。マイク1本とパソコンのBGMだけなら3チャンネル機で足ります。弾き語りをする、ゲストのマイクをもう1本挿す、ゲーム機の音も入れる——といった予定があるなら6チャンネル以上を見ておくと、買い直しになりにくいです。
② ファンタム電源(+48V)があるか
コンデンサーマイクは+48Vのファンタム電源がないと動きません。歌枠で音質を上げたい人はコンデンサーマイクに進むことが多いので、いま持っていなくても付いている機種を選んでおくと後で困りにくくなります。マイク側の選び方はコンデンサーマイクの選び方とおすすめにまとめてあります。
③ ループバックの有無と「切れるかどうか」
ループバックは歌枠でほぼ必須ですが、オフにできることも同じくらい大事です。オンのまま通話アプリを使うと、相手の声がそのまま相手に返って二重に聞こえることがあります。物理スイッチやアプリで簡単に切り替えられる機種だと扱いやすいです。
④ フェーダーかノブか、OBSとの相性
縦に動くフェーダーは、配信中でも今どのくらいの位置かを目で確認しやすい操作子です。つまみ(ノブ)は省スペースですが、暗い部屋だと位置が読み取りにくいことがあります。歌枠のようにリアルタイムで動かす用途ならフェーダー付きが扱いやすいでしょう。
なお、ヤマハのAG01・AG03MK2・AG06MK2は公式サイト上で「OBS Studio」の機器認証を取得したデバイスとして案内されています(AG01は2026年9月時点で生産完了品)。OBSで配信する人にとっては安心材料のひとつになります。
用途別おすすめ機種【2026年9月時点で現行のもの】
価格はいずれもオープンプライスで、実売は販売店と時期によって動きます。最新の価格は各リンク先で確認してください。
まず1台:YAMAHA AG03MK2(3チャンネルライブストリーミングミキサー)
マイク1本+パソコンのBGMという、歌枠の基本になる構成に合わせた機種です。60mmフェーダーでマイクの音量を手元で動かせ、ループバックとDSPエフェクトを内蔵しています。スマホ配信向けの4極ミニ(TRRS)入出力も備えます。日本語の解説や設定例が探しやすいため、最初の1台としてつまずきにくい選択肢です。
マイク2本・楽器も使う:YAMAHA AG06MK2(6チャンネル)
AG03MK2の上位にあたる6チャンネル機で、コンデンサーマイクを2本同時に使えます。ゲストを招いてのコラボ歌枠、弾き語り、シンセや外部プレーヤーの接続まで見据えるならこちらです。操作の考え方はAG03MK2と共通なので、情報を探すときも困りにくいです。
演出まで本体で:YAMAHA AG08(8チャンネル)
サウンドパッドやボイスチェンジャーなど、配信中のリアルタイム演出機能を内蔵したオールインワン機です。効果音の再生をパソコンのソフトに頼らず本体で完結させたい人、入出力の自由度を上げたい人向けで、AGシリーズの中では上位に位置します。歌枠に加えて雑談や企画配信もやるなら選択肢に入ります。
ゲーム配信も本気でやる:Roland BRIDGE CAST
ゲーム配信向けに作られたミキサーで、独立した2系統のミックスバスを持つのが特徴です。「配信に流す音」と「自分のヘッドホンで聴く音」を別々に組めるため、ゲーム音は自分だけ大きく、配信では歌を前に——といった作り分けがしやすくなります。ボイスチェンジャーやBGM再生、効果音の機能も備え、XLRマイクにも対応します。歌枠専用機として見ると機能が広いぶん設定項目も多いので、ゲームと歌の両立が前提の人向けです。
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複数人コラボや収録まで広げるなら
ゲストを複数人まねいてのトーク配信や、配信とは別に収録物を作ることまで視野に入るなら、RODECaster DuoやTASCAM Mixcast 4といった制作寄りの上位カテゴリもあります。ただし歌枠単体の用途では機能が余りやすく、価格も上がります。まずは上の4機種で足りるかを考えてからで遅くありません。
OBSとの接続パターン3種
ミキサーを買ったあとに迷いやすいのが、配信ソフトとのつなぎ方です。歌枠で使われるのは主に次の3パターンです。
| パターン | やり方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| A:ループバックで一本化 | BGMも声もミキサー側で混ぜ、OBSは「マイク音声」としてミキサーだけを取り込む | 設定の手数が少ない。歌枠を始めたばかりの人 |
| B:声とBGMを分ける | OBSでマイク=ミキサー、BGM=デスクトップ音声として別々に取り込む | あとでアーカイブを編集する、配信中に個別調整したい |
| C:スマホ配信 | ミキサーの4極ミニ(TRRS)端子でスマホと接続 | スマホアプリで歌枠を配信する場合 |
Aは手軽ですが、ミキサーで混ざった音がそのまま配信に乗るため、配信側だけBGMを下げるといった後からの調整はできません。Bは項目が増えるかわりに、音のトラブルの原因を切り分けやすくなるのが利点です。慣れてきたらBに移行する人が多い印象です。なお、AとBを同時にやるとBGMが二重に乗るので、どちらか一方に決めてください。
ミキサーが要らない人・インターフェースで足りる人
次に当てはまるなら、ミキサーを買わないほうが配信は安定しやすいです。
- 録音(歌ってみた)がメインで、配信はたまに:録音用途ではミキサーの機能はほとんど使いません
- USBマイク1本で完結している:多くのUSBマイクにはモニター端子とミュートが付いており、歌枠なら当面これで回ります
- 机が狭い・配線を増やしたくない:ミキサーは設置面積とケーブルが確実に増えます
- 今すでに音のトラブルを抱えている:機材を足すと原因の切り分けが難しくなるので、先に設定を整えるほうが早いです
「機材より先に設定を見直したい」という段階の人は、歌枠の機材と音声設定を先に読んでみてください。プラットフォーム選びや著作権も含めた全体像は歌枠(歌配信)の始め方にまとめています。
買ったあとにやる初期設定チェックリスト
ミキサーは箱から出してつなぐだけでは本領を発揮しません。次の順番で進めると、原因不明の不調を抱え込みにくくなります。
| 順番 | やること | 確認の目安 |
|---|---|---|
| ① | メーカー公式サイトのドライバー・専用アプリを入れる | パソコンが機種名で認識している |
| ② | ファンタム電源(+48V)の要否を確認 | コンデンサーマイクならオン、ダイナミックマイクならオフ |
| ③ | 入力レベル(ゲイン)を合わせる | いちばん大きく歌ってもメーターが振り切らない |
| ④ | ヘッドホンで返る音を作る | 伴奏と自分の声が両方聞こえて歌いやすい |
| ⑤ | ループバックのオン/オフを決める | 通話に使うときは切る |
| ⑥ | OBS側の音声入力を設定する | 上のA〜Cのどれか一つに統一する |
| ⑦ | テスト配信をアーカイブで聴き返す | 声とBGMの大きさ、ノイズの有無 |
特に⑦は省略されがちですが、自分のヘッドホンで聞こえている音とリスナーに届く音は別物です。別の端末やアーカイブで一度確認しておくと、本番での事故を減らしやすくなります。返しの音づくりに使うヘッドホン自体の選び方はモニターヘッドホンの選び方を参考にしてください。
まとめると、歌枠用のミキサーは「同時に扱う音の数」で決め、迷ったらAG03MK2から始めて、ゲームや演出まで広げたくなったら上位機やBRIDGE CASTを検討する——という順序が現実的です。そして、いま音のトラブルが起きているなら、先に設定を整えるほうが結果的に近道になります。



















