高音になると声量が落ちる原因|細くならずに張れる声を作る

高音になると声量が落ちる原因|細くならずに張れる声を作る

※記事内で紹介している商品の価格・在庫状況は変動します。最新の情報は各リンク先(Amazon・楽天市場)でご確認ください。


中音域までは気持ちよく鳴っているのに、サビで音程が上がったとたんに声がスッと細くなる。録音を聴き返すと、オケに埋もれて高音だけ存在感が消えている。歌ってみたを録っている人からよく出る悩みです。

先に結論を書くと、音域が上がるにつれて声量が落ちること自体は、ある程度は自然な現象だと言われています。高い音では声帯が伸びて薄くなり、鳴らせる面積が減るためです。ただし「サビだけ別人のように痩せる」レベルの落ち方は、たいてい3つの原因のどれかが重なっています。息の使い方、喉の位置、声帯の閉じ具合です。

この記事では、その3つを見分ける方法と、タイプごとの練習、そして本番で細くなってしまったときの応急処置までまとめます。音域を限定しない全般的な声量不足については声量が足りない原因はどれ?タイプ別診断と練習法【息・声帯・共鳴】で扱っているので、あわせて読むと整理しやすくなります。

結論:落ちるのは自然、ただし「落ちすぎ」は減らせる

まず前提として、地声で鳴りやすい音域と同じ音量を高音でも出そうとするのは、かなり無理のある目標です。プロの歌唱でも高音部は音量そのものより、音色の密度やマイク・ミックスの助けで存在感を作っていることが珍しくありません。

そのうえで、自分の落ち方が「自然な範囲」か「直せる範囲」かを分ける目安が次の表です。

状態自然な範囲直せる可能性が高い
音量の変化上に行くほどゆるやかに小さくなるある音を境に急に落ちる
音色明るさは保たれている息もれ音が急に増える、スカスカになる
体感軽いが苦しくはない喉が詰まる、締まる感じがある
持続伸ばせる伸ばすと途中で消える

右側に当てはまるものがあれば、以下の3つの原因を順に確認してみてください。ここで大事なのは、「音量が足りない」と「響きが足りない」を最初から分けて考えることです。前者は出力の問題、後者は音色の問題で、対処が逆方向になることもあります。

原因1:息の量を増やして押している

相談として多いのがこの型です。高音が細く感じる→もっと息を吐く→声帯が息に押し負けて余計に鳴らなくなる、という悪循環です。

自分が押しているかどうかは、手のひらを口の前10センチほどに置いて高音を伸ばすと分かりやすいと言われます。手にはっきり風を感じるのに音量が出ていないなら、息が音に変換されずに素通りしている可能性があります。

もう一つの目安は、同じ高音を「大きく出そうとしたとき」と「半分の音量で出したとき」を録って比べることです。押しているタイプは、半分の音量で出したほうが録音では立派に聞こえるという逆転が起きがちです。自分の耳では大きいほうが良く感じているので、この逆転に気づけると練習の方向が一気に決まります。

この状態の人は、息を増やすのではなく減らす方向で練習したほうが結果的に鳴ることが多いです。具体的には、ストローをくわえたつもりの細い息で高音のロングトーンを出し、「これ以上減らすと声が消える」ギリギリの量を探します。そこが自分にとっての効率のいい息量の目安になります。

張り上げる癖そのものについては【カラオケ好き必見】歌声を張り上げずに歌う方法を徹底解説で詳しく扱っています。

原因2:喉が上がって共鳴の空間が狭くなっている

高い音程を取りにいくとき、喉仏ごと持ち上がってしまう人は多いです。喉仏が上がると舌の奥も一緒に持ち上がり、口の奥から喉にかけての空間が狭くなると説明されます。空間が狭くなれば響きは減り、声は「軽い」「薄い」と感じられる方向に寄ります。

確認は簡単で、喉仏に指を軽く添えたまま低音から高音へサイレンのように上げていきます。指の下で喉仏がグッと上に動くようなら、この原因に当てはまる可能性があります。

対策としてよく紹介されるのは、あくびをしかけた状態(喉の奥が広がる感じ)を保ったまま音を上げる練習です。ただし広げすぎるとこもった声になるので、「開ける」より「上がらないように留める」くらいの感覚がちょうどいいとされます。鼻の奥の響きを併用すると、空間を広げすぎずに明るさを保ちやすくなります。この感覚は良い歌声になる「鼻腔共鳴」のコツと感覚が参考になります。

原因3:声帯の閉鎖が抜けている

3つ目は、高音域に入った瞬間に声帯の合わさりが緩んで、息もれた裏声寄りの音に変わってしまうパターンです。音程は出ているのに芯がなく、録音すると「聞こえるけど届かない」声になります。

見分け方の目安は次のとおりです。

  • 高音を伸ばすと、息が先になくなる(音を出し続けられない)
  • 小さい音で出すと成立するが、少し強めるとひっくり返る
  • マイクに近づけばそれなりに録れるが、離すと急に痩せる

この場合は音量を上げようとせず、小さい音のまま芯を足す練習が向いていると言われます。「エッジのかかったような軽いきしみ音」から母音につなげるアプローチや、弱い裏声から少しずつ密度を上げていくアプローチがよく紹介されます。いずれも喉に負担を感じたらすぐ中断してください。

タイプ別の練習メニュー

ここまでの3タイプを、1日10分程度で回せる形にまとめます。全部やろうとせず、当てはまった1つから始めるほうが変化が見えやすいです。

タイプやること目安
押しているタイプ細い息でのロングトーン/リップロールで同じ音階各3分
喉が上がるタイプ喉仏に指を添えたサイレン/ハミングで上下各3分
閉鎖が抜けるタイプ小音量で芯を足す練習/弱い裏声から密度を上げる各3分
共通実際の曲のサビ2小節だけ録音3分

3タイプのうち2つ以上に当てはまる、という人も珍しくありません。その場合は「押しているタイプ」から先に着手するのがおすすめです。息を押している状態は他の2つを悪化させる方向に働きやすく、ここが軽くなると喉の上がり方も閉鎖の抜け方も変わって見えることがあるためです。逆に、閉鎖の練習から入ると力みが増えて判断しづらくなる場合があります。

期間の目安としては、2週間ほど同じメニューを続けてから判断するくらいがよいと言われます。数日で変化が出ないからといってメニューを次々変えると、何が効いたのか分からなくなります。

なお「高音が出ないわけではないが続かない」という悩みが強い場合は、原因の切り分け方が少し違います。【カラオケ好き必見】高音が続かない原因と対策を徹底解説のほうが近い内容です。

録音で「音量」と「音圧」を分けて確認する

ここが歌ってみた勢にとって実用度の高い部分かもしれません。声量の悩みには、本当に音量が小さい場合と、音量はあるのに埋もれる場合の2種類があります。この2つは対策がまったく違うので、録音で分けて確認しておく価値があります。

手順1:マイクから同じ距離で録る

中音域のフレーズと高音のフレーズを、同じ距離・同じ設定で続けて録ります。距離が変わると比較になりません。

手順2:波形の高さを見る

編集ソフトの波形で、高音部だけ明らかに小さいなら「音量」の問題です。ゲインを上げれば一応そろいますが、同時にノイズも上がるので、根本は発声側で直したほうが仕上がりはよくなります。

手順3:オケと重ねて聴く

波形の高さはそう変わらないのにオケに埋もれるなら、「音圧」や音色の密度の問題です。倍音が少なく、伴奏と同じ帯域で混ざってしまっている状態と説明されます。この場合は音量を上げるより、響きを足して音色の成分を増やすほうが効きやすいです。

録音時のマイク距離や強弱の付け方そのものは歌ってみた録音での声量コントロール|マイク距離と強弱の付け方にまとめてあります。

本番で高音が細くなるときの応急処置とまとめ

ライブやカラオケ、録音の締め切り前など、練習で直している時間がないときの現実的な手段も挙げておきます。

  • キーを半音〜1音下げる……効果が読みやすい手段です。原曲キーにこだわって痩せた高音を出すより、下げて鳴っているほうが聴き心地はよくなります。
  • 高音部だけマイクを少し近づける……録音なら有効です。ただし近づけすぎると低域が膨らむので、数センチ単位で。
  • 高音の直前のフレーズで息を使い切らない……直前が苦しいと高音はほぼ確実に痩せます。ブレス位置を1か所増やすだけで変わることがあります。
  • フレーズの入りを少し弱く始める……最初から全力で入ると、伸ばす余力が残りません。

まとめると、高音で声量が落ちる悩みは「もっと大きく出す」方向ではなく、息を無駄にせず、空間を潰さず、芯を残すという3点の整理で考えるのが近道です。声量づくりの土台をもう一度確認したい方は声量を上げる方法【大きい声・よく通る声の出し方】もどうぞ。喉に痛みや違和感があるときは練習を止めて休み、長引くようなら専門家に相談してください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です