多重録音のやり方|スマホで一人アカペラやハモリを重ねる手順

多重録音のやり方|スマホで一人アカペラやハモリを重ねる手順

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伴奏を使わずに、自分の声だけを何本も重ねて一人アカペラを作ってみたい。主旋律の上にハモリを足して、合唱のような厚みを出したい。そんなときに使うのが多重録音です。スマホのアプリでもパートを1本ずつ録って重ねられるので、パソコンや機材がなくても始められます。

ただ、やってみると「2本目から少しずつずれていく」「重ねるほど音がこもる」「何から録ればいいか分からない」とつまずきやすい作業でもあります。この記事では、スマホで声を重ねるときの流れを、パートの決め方、ずれないための土台づくり、録る順番、重ねたあとの整え方の順に解説します。アプリの画面の名前は、Appleの「iPhone用GarageBandユーザガイド」(2026年10月時点)で確認できたものだけを挙げます。

デュエット曲を一人二役で歌う方法やハモリの音の決め方は別の記事で扱っているので、ここでは「声を何本も重ねて1曲にする段取り」に絞ります。

最初に決める3つ:パートの数・テンポ・キー

パートの数は2〜3声から始める

多重録音は、パートを増やすほど厚みが出る一方で、音程やタイミングの小さなずれも、重なるぶんだけ目立ってきます。はじめは主旋律+ハモリ1本(2声)、慣れたら主旋律+上ハモ+下ハモ(3声)と、少しずつ増やすのがおすすめです。

伴奏なしの一人アカペラにするなら、よく使われる組み方は次のとおりです。

  • リード(主旋律)
  • 上のハモリ・下のハモリ(コーラス)
  • ベース(低い音で和音の土台を支えるパート)
  • ボイスパーカッション(口で鳴らすリズム)

全部そろえると5本です。ボイスパーカッションに挑戦したい場合は、基本の音の出し方を先に練習しておくと、録るときに迷いにくくなります。

テンポとキーは録る前に固定する

GarageBandの曲には、テンポ・キー・拍子が設定されていて、曲の設定から変えられます。ただしユーザガイドによれば、テンポやキーを変えても、Audio Recorder(マイクで録る機能)で録った音は新しいテンポ・キーに合わせて変化しません。つまり声を録ったあとでテンポを変えると、声だけが元の速さのまま取り残されます。

原曲がある場合は、原曲のテンポ(BPM)を調べるか、タップして合わせてから録り始めましょう。キーを下げたい場合も、この段階で決めておきます。

ずれを防ぐ土台づくり

メトロノームとカウントインを使う

伴奏のないアカペラでは、全員がそろうための「時計」がありません。そこで、録音中はメトロノームを鳴らしておきます。GarageBand(iPhone版)での設定場所は次のとおりです。

  1. コントロールバーの設定ボタンをタップする
  2. 「メトロノームとカウントイン」をタップする
  3. 「カウントイン」スイッチで、録音前のカウントのオン/オフを切り替える
  4. 必要に応じて「ビジュアルカウントイン」(拍を画面に表示する)や「メトロノームのレベル」(音量)を調整する

カウントインがあると、録音ボタンを押してから歌い出すまでに拍が入るので、出だしがそろいます。メトロノームに合わせて歌うこと自体に慣れていない人は、録音の前にクリックだけを鳴らして1コーラス歌ってみると、本番の負担が減ります。

1本目は「ガイド」を録る

いきなり本番の主旋律を録るより、先にガイドトラックを1本作っておくと、後から重ねるパートが迷いにくくなります。ガイドは作品に残さない、目印のための録音です。

  • メロディを「ラ」やハミングで最後まで歌う
  • 小節の頭で小さく手をたたく、または「いち、に」と数える声を入れる
  • サビやブレイクの入り口で「ここからサビ」と声で入れておく

重ね終わったらガイドのトラックはミュート(音を消す)にします。GarageBandではトラックコントロールのミュートボタンで切り替えられるので、消さずに残しておけば、あとで録り直すときにも使えます。

イヤホンで聴きながら録る

前のパートをスピーカーで鳴らしながら録ると、その音がマイクに入り、重ねるたびに同じ声が何重にも混ざって音がこもっていきます。前のパートはイヤホンで聴き、音漏れしにくく耳に合うものを選ぶのが基本です。片耳だけ外して自分の生声を聴く方法もありますが、外した側のイヤホンから音が漏れてマイクに入ることがあるので、音量は控えめにしておきましょう。

どの順で重ねるか、1本ずつどう録るか

崩れにくい順番の一例

決まった正解はありませんが、初心者が崩れにくい順番の一例です。

  1. ガイド(メトロノームに合わせて)
  2. リード(主旋律):曲の顔になるので、集中できるうちに録る
  3. ベースなど低いパート:和音の土台を先に置くと、ハモリの音が取りやすくなる
  4. ハモリ(下→上の順だと、主旋律との距離をつかみやすい人が多い)
  5. ボイスパーカッションや「ウー」「アー」などの飾り
  6. 必要ならリードをもう1本重ねる(ダブリング)

ハモリの音程に自信がない場合は、録音の前に鍵盤アプリなどで音を確かめておきましょう。手順は音取りのやり方にまとめています。伴奏がない状態で音程を保つコツはアカペラで上手に歌うコツが参考になります。

マルチテイク録音で録り直しを楽にする

同じパートを何度か録って、良かったものを選びたいときは、GarageBandの「マルチテイク録音」が使えます。Appleのサポート記事では、トラックコントロールの「トラック設定」→「録音」で「マルチテイク録音」をオンにすると、再生ヘッドがセクションの先頭に戻るたびに新しいテイクが同じトラックに録音されます。録音後はリージョン(録った音のかたまり)をダブルタップして「テイク」から聴き比べ、「未使用のテイクを削除」で残りを消せます。

1曲を通しで何度も歌うと喉が疲れてくるので、Aメロ・サビなど区切りごとにテイクを選ぶほうが、後半のパートまで声の状態を保てます。

入力レベルは赤にならないところで

Audio Recorderの左側にある「In」レベルスライダで、マイクから入る音の大きさを調整できます(端末や入力機器が対応している場合)。ユーザガイドでは、レベルが赤色になったら歪みを避けるためにスライダを下げるよう案内されています。パートによって声の大きさが違うので、ベースや小さな声のハモリは少し上げ、張り上げるリードは下げるなど、録る前に一度テストしましょう。

重ね終わったら:音量・左右・タイミング

主旋律を主役にした音量にする

全パートを同じ音量にすると、主旋律が他の声に埋もれて、何を歌っているのか聞き取りにくくなります。GarageBandではトラックコントロールの「トラックボリューム」で音量を、「トラックパン」で左右の位置を調整できます。目安は次のとおりです。

  • リードは中央に置き、もっとも聞こえる音量にする
  • ハモリはリードより一歩下げ、上ハモと下ハモを少しだけ左右に振る
  • ベースとボイスパーカッションは中央寄りに置く

途中で特定のパートだけを聴きたいときは、ソロボタンで他のトラックを消して聴けます。ハモリをなじませる細かな処理はハモリのMIXのやり方で詳しく扱っています。

ずれた部分はリージョンを動かすか、録り直す

全体で同じだけ遅れているなら、そのリージョンを少し前に動かすだけで合う場合もあります。一方、歌の途中で前後にばらつくずれは、部分的に録り直したほうが早く仕上がります。言葉の頭(子音)と語尾の切りどころをそろえる意識で聴き直すと、直すべき所が見えてきます。

トラックが足りなくなったら結合する

ユーザガイドによると、GarageBandの曲のトラック数は32までです。ダブリングを多用して足りなくなった場合は、ミュートしていない複数のトラックを「結合」できます。結合すると1本のトラックになった新しい曲が作られ、元の曲は「My Songs」ブラウザに残るので、元のパートを直したくなっても戻れます。

Android・ほかのアプリで録る場合と、PCへの移し方

Androidでも、トラックを重ねて録音できるアプリは複数あります。ただし機能の名前や上限はアプリごとに違うので、使う前に公式ヘルプで次の点を確かめておくと安心です。

  • 1曲に何トラックまで重ねられるか
  • メトロノームとカウントインがあるか
  • 録音した声の遅れ(レイテンシー)を補正する設定があるか
  • パートごとに音声ファイルとして書き出せるか

スマホで録った素材をパソコンでMIXしたり、MIX師さんに渡したりする場合は、全パートを曲の頭から同じ長さで書き出すのがポイントです。歌っていない部分も無音として残しておけば、パソコン側で頭をそろえて並べるだけで元の位置に戻ります。スマホ録音全体の流れはスマホで歌ってみたを作る方法にまとめています。

通しの流れと、つまずきやすい点

ここまでの段取りを1枚の表にすると、次のようになります。仕上がりを左右するのは歌のうまさより録り始める前の準備で、とくに1と2を飛ばすと、あとから直せないずれが残ります。

順番やることつまずきやすい点
1パートの数・テンポ・キーを決める途中でテンポを変えると、録った声は追いかけてくれない
2メトロノームとカウントインを設定し、ガイドを録る基準がないまま重ねると、1本ごとに少しずつずれる
3主旋律(リード)を録るここが崩れると、重ねる全パートが崩れる
4低いパート→ハモリ→飾りの順に重ねるスピーカーで鳴らすと前のパートがマイクに入る
5音量・左右・タイミングを整える全部を同じ音量にすると主旋律が埋もれる
6書き出して聴き直す(必要ならPCへ移す)パートごとに長さがそろっていないと、PCで並べ直しになる

デュエット曲を一人で歌い分けたい場合はデュエット曲を一人で歌う方法が参考になります。アプリの機能は更新で変わる場合があるので、画面が違うときはそれぞれの公式ヘルプを見てください。

最初の1曲は、サビだけを主旋律とハモリ1本の2声で。ガイドを含めて3トラックで終わる量なので、手順を一周するにはちょうどいい大きさです。



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