YouTubeに歌ってみたをアップロードしようとすると、途中で「この動画は子ども向けですか?」と聞かれます。「はい」と「いいえ」の2択なのに、どちらを選べばいいのか分からず手が止まった、という人は少なくありません。イラストがかわいい絵柄だったり、明るい曲だったりすると、なおさら迷います。
この設定は見た目の分類ではなく、法律への対応として投稿者に求められている申告です。選んだ内容によって、コメントや通知ベルなど使える機能が大きく変わります。この記事では、YouTubeヘルプ(2026年10月時点)の説明に沿って、設定の意味、子ども向けにしたときに使えなくなる機能、歌ってみたで迷いやすい場面の考え方、チャンネル単位と動画単位の設定手順、あとから変える方法までをまとめます。
なお、どちらを選ぶべきかを最終的に判断するのは投稿者自身です。この記事は判断材料の整理であり、法的な助言ではない点をご了承ください。
「子ども向け」にすると変わることの一覧
先に全体像を表にしておきます。内容はYouTubeヘルプ「チャンネルまたは動画の視聴者層を設定する」「コンテンツが『子ども向け』かどうかを判断する」(2026年10月時点)をもとにしています。
| 項目 | ヘルプに書かれている内容 |
|---|---|
| 誰が決めるか | 投稿者(クリエイター)が自分で申告する。所在地にかかわらず求められる |
| 判断の基準 | 子どもが主な視聴者か、子どもを想定したキャラクター・曲・テーマなどが含まれるか、などを総合して考える |
| 子ども向けにした場合 | コメント、通知ベル、終了画面、カード、動画の透かし、再生リストへの保存などが使えなくなる。パーソナライズド広告も表示されない |
| 設定の単位 | チャンネル全体か、動画ごとか。動画ごとの設定がチャンネルの設定より優先される |
| あとから変更 | YouTube Studioの[コンテンツ]から変更できる。ただしYouTubeに「子ども向け」に設定された動画は自分で戻せず、再審査請求(1動画1回)になる |
| 設定を誤った場合 | YouTube上で措置が取られたり、COPPAなどの法律に基づく措置の対象になったりすることがあると説明されている |
ポイントは、「どちらが得か」ではなく「その動画が誰に向けて作られているか」で決める設定だということです。機能の多さで選ぶものではありません。
「子ども向け」設定とは何か
背景にあるのはアメリカの法律
この設定は、米国の児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)などに対応するために導入されたものです。YouTubeヘルプでは、米国連邦取引委員会(FTC)などとの和解の一条件として、クリエイターに視聴者設定を求めていると説明されています。日本に住んでいる投稿者も対象で、子ども向けの動画を作っていない人も「子ども向けではない」と設定する必要があります。
ヘルプでは、米国では子どもを13歳未満と定義している一方、年齢の定義は国によって異なる場合があるとしています。
判断するのは投稿者自身
YouTubeは機械学習でも明らかに子ども向けの動画を見つけていますが、ヘルプには「YouTubeのシステムに頼らず、ご自身で指定してください」とはっきり書かれています。システムがFTCなどの考える子ども向けコンテンツをすべて見つけられるとは限らないためです。また、YouTubeは法律上の助言はできないとしており、判断に迷う場合は弁護士への相談をすすめています。
もうひとつ覚えておきたいのは、YouTubeアナリティクスの視聴者データは、子ども向けかどうかを判断するためのものではないとされている点です。「若い視聴者が多いから子ども向け」と機械的に決めるのではなく、後で紹介する要素をもとに考えます。
「一般視聴者向け」と「すべての視聴者向け」は別物
ヘルプには、似た言葉が2つ出てきます。混同しやすいので整理しておきます。
| 言葉 | 意味(ヘルプの説明) | 設定 |
|---|---|---|
| 一般視聴者向け | あらゆる層が楽しめるが、特に子どもに見てもらうことを想定して作ったわけではないもの。または13歳以上を想定したもの | 子ども向けではない |
| すべての視聴者向け | 子どもが主な視聴者ではないが、対象に子どもを含み、全体として子ども向けと判断されるもの | 子ども向け(子ども向けコンテンツの一種) |
「誰でも楽しめる歌ってみた」は、それだけで子ども向けになるわけではありません。子どもを対象として想定しているかどうかが分かれ目になります。
子ども向けにすると使えなくなる機能
子ども向けに設定した動画では、法律に従ってデータの収集と利用が制限されるため、一部の機能が使えなくなります。YouTubeヘルプ(2026年10月時点)に挙げられている主なものは次のとおりです。
| 使えなくなる機能 | 歌い手にとっての影響 |
|---|---|
| コメント | 感想や次に歌ってほしい曲のリクエストを受け取れない |
| 通知ベル | 新しい動画の通知を視聴者に届ける手段が減る |
| カード・終了画面 | ほかの歌ってみたや再生リストへ誘導できない |
| 動画の透かし | チャンネルを宣伝するための透かし画像が表示されない |
| 再生リスト・[後で見る]への保存 | 視聴者が気に入った曲を保存しておけない |
| ミニプレーヤーでの再生・ホームでの自動再生 | ながら聴きや連続再生の流れに乗りにくい |
| チャンネルメンバーシップ・Super Chat・グッズ紹介など | ファンからの支援や物販の導線が使えない |
| パーソナライズド広告 | 表示されない。ヘルプでは、一部のクリエイターの収入が減る可能性があると説明されている |
チャンネル全体を子ども向けに設定した場合は、これに加えてチャンネルメンバーシップ、通知ベル、投稿(コミュニティ投稿)、Ask Studioも使えないとされています。また、子ども向けの動画ではコメント設定そのものを変更できません。
コメントの受け付け方を細かく決めたい場合は、子ども向けではない動画でコメント設定を使うことになります。保留やブロックする単語の設定はYouTubeのコメント設定(承認制・ブロックする語・固定コメント)で解説しています。
ただし、ここで機能が減るのを避けたいからという理由で「子ども向けではない」を選ぶのは避けてください。判断の基準はあくまで「誰に向けて作った動画か」です。設定を誤った場合の措置についてもヘルプに記載があります。
歌ってみたで迷いやすいケースの考え方
ヘルプでは、子ども向けかどうかを考えるときの要素として、次のようなものを挙げています。
- 動画のテーマ(未就学児向けの教育コンテンツなど)
- 子どもの視聴者を想定して作ったか(タイトルや説明などのメタデータに示しているか)、実際に子どもが見ているか
- 子役や子どものモデルが出ているか
- 子どもの興味を引くキャラクター、有名人、おもちゃが含まれるか
- 子どもが理解できることを想定した言葉や表現か
- ごっこ遊び、簡単な曲やゲーム、早期教育などのアクティビティが含まれるか
- 子ども向けの曲、物語、詩が含まれるか
- 宣伝の対象が子どもかどうか
同時に、これらの要素を少しでも含むと自動的に子ども向けになるわけではないとも書かれています。動画を通じて届けたい相手が誰なのかを、全体で考えることが求められています。この前提で、歌ってみたでよくある場面を見ていきます。
イラストがアニメ調・かわいい絵柄のとき
歌ってみたの一枚絵や立ち絵は、アニメ調の絵柄が多く使われます。ヘルプの要素には「子どもの興味を引くキャラクター」がありますが、絵柄が明るいことだけで子ども向けと決まるわけではありません。曲のテーマ、タイトルや概要欄の言葉づかい、誰に聴いてほしくて作ったのかを合わせて考えます。自分のキャラクターの方向性を決める段階で「どんな人に届けたいか」を言葉にしておくと、この設定でも迷いにくくなります。考え方は歌い手のキャラデザの決め方で紹介しています。
童謡や手遊び歌など、子どもに向けた曲を歌うとき
ヘルプの要素に「子ども向けの曲、物語、詩」「簡単な曲やゲーム」が含まれている以上、子どもに聴かせることを想定した曲を、子どもに向けた演出で歌う動画は、子ども向けにあたる可能性を慎重に考える必要があります。一方で、同じジャンルの曲でも、大人の聴き手に向けたアレンジや演出であれば一般視聴者向けと考えられる場合もあります。迷う場合は、ヘルプの要素を一つずつ自分の動画に当てはめてみてください。それでも判断できないときは、ヘルプのとおり専門家に相談するのが筋です。
ライブ配信とショート動画も見落とさない
ヘルプでは、今後の動画だけでなく既存の動画についても、子ども向けかどうかを設定する必要があるとしています。ライブ配信はライブ管理画面で、配信を作成するときに[視聴者]を選ぶ流れです。アーカイブになった配信もあとから変更できます。ショート動画で歌ってみたを出す場合も、投稿時の設定項目を見落とさないようにしましょう。ショートの作り方そのものはTikTok・YouTubeショートで歌ってみたを広げる方法にまとめています。
チャンネル単位か、動画単位か
歌ってみただけを投稿していて、どの動画も同じ考え方で判断できるなら、チャンネル単位で設定しておくと毎回の手間が減ります。子ども向けかどうかが動画によって変わりそうなら、「動画ごとに視聴者の設定を確認します」を選び、1本ずつ判断する形が向いています。動画ごとの設定はチャンネルの設定より優先されます。
設定する場所と、あとから変える手順
手順はYouTubeヘルプ(パソコン版・2026年10月時点)の記載に沿っています。画面の名前は変わることがあるため、表示が違う場合はヘルプで最新の手順を確認してください。
チャンネル全体の視聴者を設定する
- パソコンのブラウザでYouTube Studio(studio.youtube.com)にログインする(この設定はウェブ版のStudioのみとされています)
- 左側のメニューで[設定]をクリックする
- [チャンネル]をクリックし、[詳細設定]タブを開く
- [視聴者]で「はい、このチャンネルを子ども向けとして設定します」「いいえ、このチャンネルを子ども向けではないとして設定します」「動画ごとに視聴者の設定を確認します」のいずれかを選ぶ
- [保存]をクリックする
チャンネルの設定は、既存の動画にも今後の動画にも影響します。
アップロードするときに動画ごとに設定する
- YouTube Studio右上の[作成]から[動画をアップロード]を選ぶ
- [基本情報]タブで[視聴者]までスクロールする
- 「はい、子ども向けです」か「いいえ、子ども向けではありません」を選ぶ
- [次へ]で残りの設定に進む
アップロード全体の流れはYouTubeに歌ってみたを投稿する方法、画面ごとの細かい項目は歌ってみた動画をYouTubeにアップロードするやり方で解説しています。
公開済みの動画の設定を変える
- YouTube Studioの左側のメニューから[コンテンツ]を選ぶ
- 変更したい動画のチェックボックスをオンにする(一覧上部のチェックボックスで全動画を選ぶこともできます)
- [編集]から[視聴者]を開き、設定を選ぶ
- [動画を更新]を選ぶ
過去の動画をまとめて見直したいときは、この一括編集が便利です。誤って全動画を選んでいないか、更新の前に一度確かめてください。
YouTubeに「子ども向け」に設定されたとき
投稿者がすでに設定している動画でも、YouTubeが誤りや不正使用を検出すると、「子ども向けに設定」と表示されることがあります。この場合、投稿者は自分で設定を戻せません。YouTube側の判断に誤りがあると考える場合は、再審査を請求できます。
- パソコン:YouTube Studioの[コンテンツ]で対象の動画を探し、[子ども向けに設定]にカーソルを合わせて[再審査請求]をクリックし、理由を入力して送信
- スマートフォン:YouTube Studioアプリの[動画]で対象の動画を開き、[制限]の下の[子ども向けに設定]から[再審査を請求]をタップして理由を入力
結果はメールで届きます。ヘルプでは、再審査を請求できるのは1つの動画につき1回だけとされています。理由は感情的に書くより、「誰に向けて作った動画か」「どの要素がどういう意図か」を落ち着いて具体的に書くほうが伝わりやすいでしょう。
なお、投稿者がまだ設定していない動画をYouTubeが先に設定した場合は、ほとんどの動画で自分で変更できるとされています。
迷ったら「誰に届けたいか」で決める
YouTubeの「子ども向け」設定は、COPPAなどの法律への対応として投稿者に求められている申告です。ヘルプの説明をもとに、要点を振り返ります。
- 判断するのは投稿者自身。YouTubeのシステムやアナリティクスの数字に任せない
- 子ども向けにすると、コメント、通知ベル、終了画面、透かし、再生リストへの保存などが使えなくなる
- アニメ調のイラストや明るい曲というだけで、子ども向けになるわけではない。届けたい相手を全体で考える
- 設定はチャンネル単位か動画単位。動画ごとの設定が優先される
- YouTubeに子ども向けに設定された動画は自分で戻せず、再審査請求は1動画1回
迷ったまま毎回なんとなく選ぶより、一度ヘルプの要素を自分の活動に当てはめて、方針を言葉にしておくと安心です。仕様や画面は今後変わる可能性があるため、設定を見直すときはYouTubeヘルプで最新の説明を確認してください。



















