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歌ってみたの録音でヘッドホンを使っていると、「頭が締めつけられて長時間つらい」「夏場は蒸れて集中できない」「片耳だけ外して歌いたいのに、ヘッドホンだとやりにくい」と感じたことはないでしょうか。そんなときの選択肢がモニターイヤホン(インイヤーモニター/イヤモニ)です。
ただ、家電量販店で売られているワイヤレスイヤホンをそのまま録音に使うと、うまくいかないことがあります。音が遅れる、低音が盛られていて自分の声が判断しづらい、音漏れがマイクに入る——といった具合です。「聴いて楽しむためのイヤホン」と「作業のために聴くイヤホン」は、目指しているものが違うからです。
この記事では、モニターイヤホンとリスニング用イヤホンの違い、ヘッドホンとの使い分け、遮音性と音漏れの考え方を整理したうえで、宅録・歌ってみたで使いやすいモデルを6つ紹介します。紹介する商品はすべて2026年9月時点でAmazonの商品ページを確認したものです。
結論早見表:用途別の選び方
先に結論だけ知りたい方向けに、場面ごとの目安をまとめました。詳しい理由は本文で解説します。
| 使いたい場面 | 選ぶべきもの | 理由 |
|---|---|---|
| 歌の録音(マイクの前で歌う) | 有線のモニターイヤホン | 遅れが実用上問題にならず、音漏れがマイクに入りにくい |
| MIX・音量バランスの確認 | モニターヘッドホン | 低域まで含めた全体像をつかみやすい |
| 移動中・出先での確認 | モニターイヤホン | 小さく持ち運びやすい |
| 音楽を楽しんで聴く | リスニング用イヤホン | 気持ちよく聴ける味付けがされている |
結論を先に言えば、録音時のモニター(自分の声と伴奏を聴きながら歌う用途)ならイヤホン、MIXや最終確認ならヘッドホンという住み分けがもっとも現実的です。両方を1台で完璧にこなす製品を探すより、役割を分けたほうが安く早く目的に届きます。
モニターイヤホンとリスニング用イヤホンは何が違うのか
いちばんの違いは音の味付け(チューニング)の方針です。
リスニング用のイヤホンは、聴いていて気持ちよくなるように低音を厚めにしたり、高音をきらびやかにしたりと、意図的な味付けをしている製品が多くあります。音楽を楽しむには良いことですが、録音や確認の作業では困ります。低音が盛られたイヤホンで聴きながらMIXすると、「もう十分低音が出ている」と錯覚して、実際には低音の足りないデータができあがる——といったことが起こるからです。
一方、モニターイヤホンは入っている音をなるべくそのまま聴かせることを目指して作られている製品群です。派手さはないぶん、ノイズやリップノイズ、音程のズレ、伴奏と歌のバランスといった「粗」が見つけやすくなります。歌い手にとっては、この「粗が見えること」自体が価値になります。
ワイヤレスは録音には向かない
もうひとつ、実用上とても重要なのが有線であることです。Bluetoothなどの無線接続では、どうしても音が届くまでにわずかな遅れ(レイテンシー)が生じます。伴奏を聴きながら歌うときにこの遅れがあると、自分の歌が伴奏からズレやすくなります。
録音用に選ぶなら、有線接続のモデルを選んでください。これは音質の好み以前の、機能上の前提条件です。
モニターヘッドホンとの使い分け
「ヘッドホンをすでに持っているなら、イヤホンは要らないのでは?」と思うかもしれません。実際、どちらか一方でも録音自体はできます。それでも両方を使い分ける人が多いのは、得意なことが違うからです。
| 項目 | モニターイヤホン | モニターヘッドホン |
|---|---|---|
| 装着感 | 軽く、長時間でも疲れにくい傾向 | 側圧や重さで疲れやすいことがある |
| 音漏れ | 少なめでマイクに入りにくい | 音量次第でマイクに回り込むことがある |
| 低域の量感 | 把握しづらいことがある | つかみやすい |
| 片耳運用 | やりやすい | やりにくい |
| 持ち運び | 得意 | かさばる |
歌を録るときは「自分の声が骨伝導でも聞こえてしまう」という事情があり、片耳だけ塞いで歌う人も少なくありません。イヤホンはこの片耳運用がやりやすく、そこがヘッドホンにない実用的な強みです。
逆に、録り終えたデータのMIXや、低音がどれだけ出ているかの判断はヘッドホンのほうが向いています。ヘッドホン側の選び方はモニターヘッドホンの選び方で詳しく解説しています。
選び方のポイント
①遮音性と音漏れ
録音ではイヤホンから漏れた伴奏の音がマイクに入る「かぶり」が問題になります。かぶりが大きいと、後でMIXするときに歌だけを扱いづらくなります。
耳栓のように耳穴に差し込むカナル型は、外の音が入りにくく、内側の音も漏れにくい構造です。録音用途ではカナル型が基本と考えて問題ありません。加えて、耳に合ったサイズのイヤーピースを使うことが遮音性に直結します。S/M/Lが付属している製品なら、必ず全部試して、いちばん密閉できるものを選んでください。ここを妥協すると、高価なイヤホンでも本来の性能を活かしきれません。
なお、遮音性が高いと外の音が聞こえにくくなります。屋外や移動中は周囲の状況が分かりにくくなるため、使う場所には気をつけてください。また、モニタリング時の音量は、伴奏と自分の声のバランスが取れる範囲で控えめにしておくのがおすすめです。大きくすればするほど音漏れも増えます。
②ケーブルが着脱できるか
イヤホンで最初に壊れるのは、たいてい本体ではなくケーブルです。MMCXや2ピン、A2DCといった着脱式コネクターを採用したモデルなら、ケーブルが断線しても交換して使い続けられます。長く使うつもりなら、着脱式かどうかは価格差以上に効いてくるポイントです。
③耳掛け(シュア掛け)に対応しているか
ケーブルを耳の後ろに回して装着する「シュア掛け」に対応した形状だと、ケーブルが服にこすれて出る「タッチノイズ」を抑えやすく、動いても外れにくくなります。歌っているときは体が動くので、この安定感は想像以上に効いてきます。
④インピーダンスと接続先
インピーダンス(Ω)が高いモデルは、機器によっては音量が取りにくいことがあります。オーディオインターフェースのヘッドホン端子につなぐ場合はあまり心配ありませんが、スマホやノートPCの端子に直挿しする予定なら、インピーダンスが低めのモデルのほうが扱いやすい傾向です。また、業務用機材に多い6.3mm(標準)端子につなぐには変換プラグが必要なので、付属しているかも確認しておきましょう。
宅録・歌ってみた向け モニターイヤホンおすすめ6選
ここからは具体的な製品を紹介します。選定基準は、(1)有線接続であること、(2)2026年9月時点でAmazonに在庫があり商品ページを確認できること、(3)予算4,000円台から5万円台まで価格帯が分散していること、の3点です。順位付けではなく、価格の安い順に並べています。価格は変動するため、購入前にリンク先で最新の価格を確認してください。
1. Nakamichi インイヤーモニター MV200
1BA型ドライバーと9mmDD型ドライバーを組み合わせたハイブリッド構成の有線イヤモニです。0.75mm2ピンの着脱式ケーブルを採用しており、この価格帯でリケーブルできるのは長く使ううえで安心材料になります。耳の後ろにケーブルを沿わせるシュア掛け設計で、S/M/Lのイヤーチップが付属。実売4,200円前後(2026年9月時点・変動あり)。
「まずイヤモニがどんなものか試したい」「ヘッドホンが暑くて夏場だけ使いたい」といった入り口として選びやすいモデルです。
2. ゼンハイザー IE 100 PRO(Black)
ドイツの老舗ゼンハイザーがプロ用モニタリングイヤホンとして展開しているカナル型の有線モデルです。ステージ用インイヤーモニターの系譜にある製品で、モニター用途を前提に設計されている点が信頼できます。実売10,800円前後(2026年9月時点・変動あり)、国内正規品として販売されています。
ブラックのほか、クリアやレッドといったカラー展開があります。1万円前後で「モニター用」と明言されている製品を探しているなら、有力な候補です。
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3. オーディオテクニカ ATH-E40
国内メーカー・オーディオテクニカのモニターイヤホンシリーズの入門機です。メーカー公表値でφ12.5mmドライバーを2基使ったデュアルフェーズ・プッシュプル方式、インピーダンス12Ω、感度107dB/mW、再生周波数帯域20〜20,000Hz、質量約10g(コード除く)。1.6mの着脱コードとキャリングケース、XS/S/M/Lのイヤピース、φ6.3mm変換プラグアダプターが付属します。
インピーダンスが低めなので、スマホやノートPCに直挿しでも音量を取りやすいのが実用上のメリットです。USBマイクのヘッドホン端子から聴くような構成とも相性がいいでしょう。実売13,200円前後(2026年9月時点・変動あり)。
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4. SHURE SE215-K-A(トランスルーセントブラック)
イヤモニの定番として長く売れ続けているモデルです。メーカー情報によれば周囲の騒音を最大37dB遮断する高遮音性設計で、S/M/Lのソフト・フレックス・スリーブとコンプライ社製フォーム・イヤパッドが付属します。ケーブルはMMCX着脱式で、断線しても交換可能。インピーダンスは17Ωです。
耳の後ろにケーブルを回すオーバーイヤー型デザインで、動いても外れにくくタッチノイズも抑えやすい構造。遮音性の高さは録音時のかぶり対策として効きやすいポイントです。実売16,000円前後(2026年9月時点・変動あり)。カラーバリエーションが複数あるので、好みで選べます。
5. SONY MDR-EX800ST
ソニーの業務用ラインに位置づけられるインナーイヤーモニターです。メーカー公表値で密閉ダイナミック型、φ16mmドーム型ドライバー(CCAW採用)、インピーダンス16Ω、音圧感度108dB/mW、再生周波数帯域3〜28,000Hz、質量約7g(コード含まず)。コードは約1.6mのリッツ線Y型で、プラグは金メッキL型ステレオミニ。イヤーピース(S/M/L各2)とキャリングケースが付属します。
耳穴に深く差し込むタイプではなく、耳に引っ掛けるように装着する独特の形状です。装着感の好みが分かれるため、可能なら試聴してから選ぶのが安全です。価格はリンク先で確認してください(販売元により差があります)。
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6. オーディオテクニカ ATH-E50
ATH-E40の上位モデルです。メーカー公表値でバランスド・アーマチュア型シングルドライバー、インピーダンス44Ω、感度107dB/mW、再生周波数帯域20〜18,000Hz、質量約5g(コード除く)。本体側はA2DCコネクターの着脱式で、1.6mコードとケース、XS/S/M/Lのイヤピース、φ6.3mm変換プラグアダプターが付属します。
インピーダンスが44Ωとやや高めなので、スマホ直挿しよりはオーディオインターフェースなどヘッドホンアンプを備えた機材につなぐ想定のモデルです。約5gと非常に軽く、長時間の作業でも負担が小さいのは大きな利点。実売25,800円前後(2026年9月時点・変動あり)。
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宅録・歌ってみたでの使いどころ
買ったあと、実際にどの場面で使うのかを整理しておきます。
- 歌の録音本番:伴奏と自分の声を聴きながら歌う場面。音漏れが少なく、長時間でも疲れにくいイヤホンが向きます。録音レベル(ゲイン)設定を追い込むときのモニターにも使えます
- 片耳モニター:片方だけ装着し、もう片方の耳で生の自分の声を聴く方法。音程が取りやすくなる人が多く、イヤホンならではの運用です
- 録り直し箇所の洗い出し:遮音性が高いぶん、リップノイズや息づかい、ノイズが見つけやすくなります
- 移動中の確認:通学・通勤中にMIX前のデータを聴いて修正点をメモする、といった使い方ができます
逆に向かない場面もあります。低域の量感を判断するMIXの最終確認や、部屋の反響を含めた鳴りの確認には、ヘッドホンやスピーカーのほうが適しています。イヤホンだけで完結させようとせず、最後は別の環境でも聴いてみるのが安全です。
録音環境そのものが気になってきたら、宅録の防音対策や、これから機材を揃える方はスターターセットの選び方もあわせてご覧ください。
まとめ
モニターイヤホンは、録音中に自分の歌と伴奏を確認するための道具です。リスニング用イヤホンとの違いは「気持ちよく聴かせる味付けをしていない」こと、ヘッドホンとの違いは「軽くて音漏れしにくく、片耳運用がしやすい」ことにあります。
選ぶときのポイントは次の4つです。
- 必ず有線を選ぶ(ワイヤレスは遅れが出て歌がズレる)
- カナル型で遮音性を確保し、付属イヤーピースを全サイズ試す
- ケーブル着脱式なら断線しても交換して使い続けられる
- 接続先に合ったインピーダンスと、6.3mm変換プラグの有無を確認する
4,000円台から始められて、1万円前後にはモニター用と明言された選択肢があります。ヘッドホンの重さや蒸れで録音が続かない、という悩みがあるなら、まずは手の届く価格帯から試してみてください。



















