弾き語りの録音方法|声と楽器をマイク1本・2本で録る違い

弾き語りの録音方法|声と楽器をマイク1本・2本で録る違い

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ギターやピアノを弾きながら歌う弾き語りを、録音して投稿してみたい。でも、マイクは1本でいいのか、声用と楽器用で2本いるのか、電子ピアノはどうつなぐのか、と考え始めると準備の段階で迷ってしまいます。

この記事では、弾き語りを録音するときの録り方の違いを整理します。マイク1本で録る、マイク2本で録る、楽器をケーブル(ライン)で入れる、という3つのやり方と、それぞれでMIXのときにできること・できないことを比べます。端子や機能の名前は、マイクやオーディオインターフェース、楽器メーカーの公式マニュアル・サポート情報で確認できたものだけを書いています。

弾き語りの歌い方や、歌と伴奏を両立させる練習は弾き語りの歌い方入門で扱っています。この記事は「どう録るか」に絞っています。

結論:分けて録るほど、あとで直せることが増える

弾き語りの録り方は、大きく3つに分けられます。違いは、声と楽器が別々のトラックになるかどうかです。

録り方必要な入力MIXでできること気をつけること
マイク1本1つ全体の音量・音質を整える。声と楽器を別々には調整できない録るときのマイクの位置でバランスが決まる
マイク2本(声用・楽器用)2つ声と楽器の音量・音質をある程度分けて調整できる互いのマイクに相手の音が入る(かぶり)
声はマイク、楽器はライン2つ(ステレオの電子ピアノは3つ)楽器のトラックに声が入らないので、分けて調整しやすい楽器に出力端子が必要。声のマイクには楽器の生音が入ることがある

どれが正解というより、「録ったあとにどこまで手を入れたいか」で選ぶのが考えやすい方法です。一発録りの空気感を残したいならマイク1本、歌ってみたのように声をしっかり整えたいなら分けて録る方向が向いています。

マイク1本で録る

機材が少なく済むのが、マイク1本で声と楽器をまとめて録る方法です。オーディオインターフェースの入力は1つで足ります。

位置でバランスを決める

マイク1本の場合、声と楽器の音量のバランスはマイクの置き場所で決まります。一般に、マイクを高くしたり上向きにしたりすると声が多めに、低くしたり楽器のほうへ向けたりすると楽器が多めに入るとされています。

ゼンハイザーの解説では、マイクを音源から離すと部屋の響きを多く拾い、近づけると細かい部分まで捉えやすくなる一方、近づくほど低音が強まる(近接効果)と説明されています。最初は口と楽器の中間あたりから始め、少しずつ動かして試し録りをくり返すのが近道です。

マイク1本の限界

  • 録れた音はモノラル1本になります。ステレオに広げるには、MIXでリバーブなどの響きを足す形になります
  • あとから「歌だけ大きく」「ギターだけ明るく」といった調整はできません
  • 部屋の響きや生活音も、声と楽器と一緒に入ります

指向性による拾い方の違いはマイクの指向性とはで解説しています。

マイク2本で、声と楽器を分けて録る

声用と楽器用にマイクを1本ずつ立てると、声と楽器が別のトラックになり、MIXで個別に調整しやすくなります。そのかわり、入力が2つあるオーディオインターフェースが必要です。

避けられない「かぶり」

弾き語りでは、声と楽器が同じ場所で同時に鳴っています。そのため、声用のマイクにはギターの音が、ギター用のマイクには声が入ります。これを「かぶり」と呼びます。

かぶりが大きいと、2本のトラックの中身がほとんど同じ音になり、片方の音量を上げても思ったように分かれてくれません。2本のマイクが同じ音を少しずれたタイミングで拾うため、重ねたときに音がこもったり薄く聞こえたりすることもあるとされています。

かぶりを減らす置き方

  1. それぞれのマイクを自分の音源に近づけ、相手の音源から離す。声用は口の近く、ギター用は楽器の近くに置きます
  2. 拾いにくい方向を相手に向ける。単一指向性のマイクは背面が拾いにくいので、声用マイクの背面をギター側に向けるように角度をつけます
  3. ヘッドホンで聞きながら調整する。片方のマイクだけを聞き、相手の音が小さくなる角度を探します

ギター用マイクの位置は、ネックと胴体の境目あたり(12フレット付近)に向けるところから試すのがよく紹介される方法です。RØDEの解説では、コンデンサーマイクをブリッジに向けて弦から約30cm離して置く方法も紹介されています。どちらも出発点として、試し録りで決めてください。

楽器をライン(ケーブル)で入れる

ピックアップ付きのアコースティックギター(エレアコ)や電子ピアノは、マイクを使わずケーブルでインターフェースにつなぐ方法があります。楽器のトラックに声が入らないので、分けて調整しやすくなります。

エレアコは楽器用の入力へ

エレアコを標準プラグのケーブルでつなぐときは、インターフェースの楽器用の入力(「INST」「Hi-Z」などの表記)を使います。たとえばFocusriteのScarlett Solo(第4世代)のユーザーガイドでは、6.35mmの入力にある「Inst」ボタンで、ライン機器向けとインストゥルメント(楽器)向けの入力を切り替えると説明されています。切り替えの有無や名前は機種によって違うので、手元の取扱説明書で確かめてください。

電子ピアノは出力端子を確かめる

電子ピアノは、機種によって外に音を出す端子が違います。

  • 出力端子(AUX OUT・LINE OUT・OUTPUTなど)がある機種:その端子からインターフェースのライン入力へつなぎます。左右(L・R)に分かれている場合、ステレオで録るには入力が2つ要ります
  • ヘッドホン端子しかない機種:ヘッドホン端子から取る方法もありますが、音量の出方が機種によって違います。取扱説明書で使い方を確かめてください
  • USBケーブルで音を送れる機種:河合楽器(Kawai)の案内では、一部の機種はUSBケーブルで音声を直接送れるとされています。対応しているかは機種の説明書で確かめます

どのつなぎ方でも、入力レベルが大きすぎて音が割れないように調整することが大切です。音が割れるときは、インターフェースのゲインを下げ、入力の設定がライン向けになっているかを確かめてください。端子の形の見分け方はオーディオ端子の種類と挿す場所にまとめています。

声のマイクには楽器の音が入る

楽器をラインで入れても、ギターの弦の生音やピアノの打鍵の音は、声用のマイクに入ります。楽器のトラックはきれいに分かれますが、声のトラックは完全には分かれない点は覚えておきましょう。電子ピアノなら、スピーカーから音を出さずにヘッドホンで聞きながら弾くと、声のマイクに入る楽器の音を減らせます。

入力の数とDAWの設定

分けて録る場合は、インターフェースの入力の数を先に確かめます。

組み合わせ必要な入力の目安
声のマイク+ギターのマイクマイク入力が2つ(コンデンサーマイクならファンタム電源も)
声のマイク+エレアコマイク入力1つ+楽器用入力1つ
声のマイク+電子ピアノ(ステレオ)マイク入力1つ+ライン入力2つ

入力が2つしかなく、電子ピアノをステレオで入れられない場合は、ピアノをモノラルで1つの入力に入れる方法もあります。左右をまとめて出力できる端子を持つ機種もあるので、取扱説明書で確かめてください。

DAWでは、声と楽器を別々のモノラルトラックにして、それぞれのトラックの入力を「入力1」「入力2」のように分けます。トラックの入力がステレオのままだと、声と楽器が1本のトラックに左右に分かれて録られてしまいます。詳しくはボーカルはモノラルで録る?で解説しています。

同時に録るか、別々に録るか

かぶりをなくしたいなら、楽器を先に録り、それを聞きながら歌だけをあとで録る方法もあります。この場合は声と楽器が完全に分かれるので、MIXでの自由度は大きくなります。

ただし、弾き語りのよさは、歌と演奏が互いに合わせ合う一体感にあります。別々に録ると、そのノリが出にくくなることもあります。どちらを優先するかで決めてください。

  • 同時に録る:演奏の一体感が残る。そのかわり、かぶりがあるので片方だけを細かく直すと、もう片方の音も一緒に動いて不自然になることがある
  • 別々に録る:声も楽器も個別に直しやすい。弾き語りらしい揺れや間は出にくくなることがある

どちらの場合も、録る前に確かめておきたいこと

  • チューニング:録り始めてからずれに気づくと、全部録り直しになります
  • 椅子のきしみ・ペダルの音:弾き語りは体が動くので、椅子やペダルの音がマイクに入りやすくなります
  • 入力レベル:曲の中で大きく弾いて歌う部分で、メーターが赤にならないかを確かめます。決め方は録音レベル・ゲインの設定方法を参考にしてください
  • 試し録りを聞き返す:声と楽器のバランスは、録って聞いてみないとわかりません。サビの数小節だけ録って、ヘッドホンで確かめてから本番に入ります

録り方は「あとで何をしたいか」から選ぶ

弾き語りの録り方を振り返ります。

  1. マイク1本は機材が少なく、一発録りの空気感が残る。バランスは置き場所で決まり、あとから分けられない
  2. マイク2本は声と楽器を分けて調整しやすい。かぶりを減らす置き方と角度が大切
  3. エレアコや電子ピアノはラインで入れると、楽器のトラックに声が入らない
  4. 分けて録るなら、入力の数とDAWのトラック設定を先に確かめる
  5. 完全に分けたいなら、楽器と歌を別々に録る方法もある

まずは手持ちの機材でできる録り方で1曲録ってみて、MIXで「ここを分けたかった」と感じたところから、次の録り方を考えてみてください。



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