オーディオインターフェースを買って箱を開けたら、前にも後ろにも穴がたくさん。マイクはどこに挿せばいいのか、スピーカーはどの穴か、手持ちのケーブルは挿さるけれど本当に合っているのか。宅録の最初の一歩でつまずきやすいのが、この「端子」の話です。
端子の名前を覚えるだけでは、実はあまり役に立ちません。同じ形のプラグでも中身の使われ方が違うことがあり、挿さったのに音が小さい、片側しか鳴らない、といったトラブルはそこから起こるからです。
この記事では、プラグの見分け方を簡単に押さえたうえで、「オーディオインターフェースのどの穴に、何を挿すか」を場面ごとに整理します。変換を使うときの注意点も最後にまとめました。
結論早見表:端子の種類と、挿す場所
| 端子 | 見分け方 | 主な中身 | 宅録でつなぐ場所の例 |
|---|---|---|---|
| XLR(キャノン) | 丸い金属に3本のピン。オスとメスがある | マイクの信号(バランス) | マイク → インターフェースのマイク入力 |
| 6.3mm TS(標準モノラル) | 棒状で、先端近くの黒い線が1本 | 楽器の信号(アンバランス) | ギター・ベース → Hi-Z(INST)入力 |
| 6.3mm TRS(標準ステレオ/バランス) | 黒い線が2本 | ステレオのヘッドホン信号、またはバランスのモノラル信号 | ヘッドホン出力/LINE OUT → スピーカー |
| 3.5mm ミニ(3極) | 細い棒状で黒い線が2本 | ステレオの再生音 | イヤホン・ヘッドホン(変換して6.3mmへ) |
| 3.5mm ミニ(4極) | 細い棒状で黒い線が3本 | ステレオの再生音+マイク | スマホのイヤホン端子・ヘッドセット |
| RCA(ピン) | 赤と白に色分けされた細い突起 | 家庭用オーディオのライン信号 | 一部のミキサーや家庭用機器の入出力 |
このほか、パソコンとつなぐUSB(USB-CやUSB-B)、電子楽器のMIDI端子などもありますが、これらは音そのものではなくデータや演奏情報を送る端子です。この記事では、音を通すアナログ端子を中心に扱います。
プラグの見分け方:ピンの数と「黒い線」を数える
XLRは「ピンが3本」の丸い端子
XLRは、マイクとオーディオインターフェースをつなぐときに使われる、丸い金属に3本のピンが入った端子です。ピンが出ている側がオス、穴になっている側がメスで、マイク側にはオスの端子が付いていることが一般的です。多くはロック機構があり、抜くときは留め具を押しながら引きます。ケーブル選びについてはマイクケーブル(XLR)の選び方で詳しく扱っています。
フォーンは「黒い線の本数」で中身が変わる
棒状のプラグは、太さが6.3mm(標準)と3.5mm(ミニ)のものが宅録ではよく出てきます。見分けるポイントは、棒の途中にある黒い絶縁の線の本数です。
- 線が1本:TS(2極)。先端(Tip)と根元(Sleeve)の2つに分かれている
- 線が2本:TRS(3極)。先端・中間(Ring)・根元の3つ
- 線が3本:TRRS(4極)。ミニプラグに多く、イヤホンとマイクを1本で通すときに使われる
見た目の太さが同じでも、極の数が違えば中で通っている信号が違います。挿さるかどうかではなく、何極のプラグかを確認する癖をつけておくと、トラブルが減ります。それぞれの端子の形と使われる場面の一覧はマイクケーブルの記事にもまとめています。
同じTRSでも中身は3通りある
端子の話がややこしくなるのは、TRSという同じ形のプラグが、場所によって違う意味で使われているからです。
ステレオ(ヘッドホン)
ヘッドホンのプラグは、先端が左、中間が右、根元が共通のアースという使い方です。1本のプラグで左右2つの音を運んでいます。
バランスのモノラル(LINE OUTなど)
オーディオインターフェースの背面にあるLINE OUT(またはMONITOR OUT)のTRS端子は、多くの機種で1つの音を、ノイズに強い形(バランス)で送る使い方をしています。左と右で端子が分かれていて、それぞれにTRSケーブルを1本ずつ挿します。ヘッドホン端子と形は同じでも、運んでいるのはステレオではありません。
インサート(一部のミキサー)
アナログミキサーなどには、1本のTRSで「送り」と「戻り」を同時に通すインサート端子を持つものがあります。宅録の初期段階ではあまり使いませんが、ミキサーの説明書でこの言葉を見かけたら、ヘッドホンやLINE OUTとは別の使い方だと覚えておいてください。
どの使い方の端子なのかは、機器のパネルの表記(PHONES、LINE OUT、INSERTなど)と、取扱説明書の接続図で確認できます。
オーディオインターフェースの穴を読む
前面のコンボジャック:XLRとフォーンが同じ穴に
多くのインターフェースの入力は、XLRとフォーンの両方を挿せる「コンボジャック」になっています。外側の3つの穴にXLRを挿すとマイク入力、真ん中の穴にフォーンを挿すとライン入力または楽器入力として扱われるのが一般的です。
INST・Hi-Zの切り替え
エレキギターやベースを直接つなぐときは、「INST」「Hi-Z」「GUITAR」などと書かれた入力や切り替えスイッチを使います。TSプラグを挿すと自動で切り替わる機種もあれば、スイッチを押す必要がある機種もあります。キーボードなどライン出力の機器を、Hi-Zのままつなぐと音が大きすぎたり歪んだりすることがあるので、スイッチの位置を確認しましょう。
48V(ファンタム電源)はXLRで使うもの
コンデンサーマイクに電源を送る48Vのスイッチは、XLRでつないだときに使うものです。オンにしたままのケーブルの抜き差しは、大きなノイズが出る原因になります。多くの取扱説明書では、マイクをつないでから48Vをオンにし、外す前にオフにする順番が案内されています。操作するときは、ヘッドホンとスピーカーの音量を下げておきましょう。
背面の出力:LINE OUTとヘッドホン端子
背面のLINE OUTはモニタースピーカー用、前面や側面のPHONESはヘッドホン用、という配置が一般的です。スピーカーをヘッドホン端子から鳴らしたり、ヘッドホンをLINE OUTに挿したりすると、片側しか鳴らない・音量が合わないといったことが起こります。
場面別:何をどこに挿すか
| つなぎたいもの | 使う端子・ケーブル | 挿す場所 |
|---|---|---|
| ダイナミック/コンデンサーマイク | XLRオス-XLRメス | マイク入力(コンボジャックの外側)。コンデンサーは48Vをオン |
| モニタースピーカー | TRS-TRS、またはTRS-XLR(スピーカー側の入力に合わせる) | LINE OUT(MONITOR OUT)のL/R |
| ヘッドホン | 6.3mmステレオ(3.5mmなら変換プラグ) | PHONES |
| エレキギター・ベース | TS-TS(シールド) | INST/Hi-Z入力 |
| キーボード・電子ピアノ | 機器の出力に合わせたフォーンケーブル | ライン入力(Hi-Zはオフ) |
| スマホ(オケの再生など) | 機種に合った変換ケーブル | ライン入力、またはスマホ対応の専用端子 |
電子ピアノやキーボードの「ヘッドホン出力」から音を取る場合、その端子は多くがステレオです。モノラルのTSケーブルで受けると、片側の音しか入らないことがあります。左右2本に分かれた変換ケーブルを使うか、機器のLINE OUTがあればそちらを使いましょう。
スマホとインターフェースを組み合わせる場合は、端末側の端子(USB-CやLightning)と給電の条件も関わってきます。くわしくはスマホ用オーディオインターフェースの選び方を参考にしてください。
変換プラグ・変換ケーブルを使うときの注意
端子の形が合わないときは変換を使えばつながりますが、形が合うことと、正しく動くことは別です。宅録でよく起きるのは次のようなケースです。
- ステレオをモノラルで受けて、片側が消える:ステレオの出力をTSで受けると、左だけ・右だけになることがあります
- 4極のミニプラグが3極の穴に合わない:4極はマイクの信号も通すため、3極の端子に挿すと音が出なかったり、マイクが認識されなかったりします。4極の配列には複数の規格があり、組み合わせによっては合わないこともあります
- XLRをフォーンに変換して、48Vが届かない:コンデンサーマイクはXLRのまま最後までつなぐのが基本です
- 信号の大きさが合わない:マイクの信号は小さく、機器どうしをつなぐライン信号は大きい、という違いがあります。ライン信号を業務用の+4dBu、家庭用の-10dBVという基準で表すこともあります。挿せても、極端に小さい・歪む場合は入力の種類を見直します
変換部品を1つはさむごとに接点が増え、緩みやノイズの入り口も増えます。録音に「ジー」「ブーン」という音が乗る場合の切り分けはハムノイズの切り分け方で、ヘッドホンの音量が足りないときはヘッドホンのインピーダンスの記事で扱っています。
なお、ケーブルの抜き差しは、つないでいる機器の音量を下げてから行いましょう。電源の入ったスピーカーにつながったまま抜き差しすると、大きな音が出ることがあります。
まとめ:形より「何極で、どの穴か」を見る
- プラグはピンの数と黒い線の本数で見分ける(線1本=TS、2本=TRS、3本=4極)
- 同じTRSでも、ヘッドホンはステレオ、LINE OUTはバランスのモノラルと中身が違う
- マイクはXLRでマイク入力へ、ギターはHi-Zへ、スピーカーはLINE OUTから
- 48Vはマイクをつないでからオン、外す前にオフ
- 変換は「挿さる」だけで判断せず、ステレオかモノラルか、何極かを確認する
迷ったときは、機器のパネルの文字と取扱説明書の接続図を見比べてみてください。端子の意味がわかると、トラブルが起きたときの切り分けも進めやすくなります。



















