歌枠の途中から来てくれたリスナーさんが、まず知りたいのは「今、何の曲を歌っているのか」です。曲紹介を聞き逃した人や、音を出さずに見ている人にも曲名が伝わるように、画面の隅に曲名を出しておくと親切です。
OBSでは、文字を表示する「テキスト」ソースを使えば、追加のソフトなしで曲名テロップを出せます。この記事では、曲名と作者名をテロップにする手順、読みやすくする設定、曲ごとに切り替える3つの方法、文字を流す(スクロールさせる)設定、本番でよくある失敗をまとめます。投稿する歌ってみた動画に入れるテロップではなく、歌枠のライブ配信で今の曲を見せるためのテロップの話です。
OBSの項目名は、OBS公式ナレッジベースと、OBS Studioの公式の日本語翻訳ファイル(2026年10月時点)で確認した表記です。
曲名を切り替える3つの方法と向いている人
| 方法 | やり方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| テキストを書き換える | テキストソース1つを、曲ごとにプロパティで書き換える | 曲数が少ない枠、まず試したい人 |
| 曲ごとにソースを作る | 曲の数だけテキストソースを作り、目のアイコンやホットキーで表示を切り替える | セトリを事前に決めている人 |
| テキストファイルから読み込む | メモ帳などで書いたファイルの内容を表示し、ファイル側を書き換える | リクエスト中心で曲が読めない人 |
テロップに出すのは曲名と作者名だけにして、歌詞は表示しない、というのがこの記事の方針です。迷ったら、セトリに沿って曲ごとにソースを作る方法から始めると、本番中の操作が少なくて済みます。
テロップに書くこと:曲名と作者名、歌詞は出さない
曲名テロップの役割は、途中から来た人に「今の曲」を伝えることです。書く内容は、次の2つで十分です。
- 曲名:公式の表記どおりに。記号や大文字・小文字も、本家の表記に合わせます
- 作者名:「曲名 / 作者名」のように、誰の曲かが分かる形で添えます
曲名や作者名の書き方は、投稿動画のクレジットと同じ考え方で整えられます。歌ってみたのクレジット表記の書き方で役割ごとの書き方をまとめているので、テロップ用の文字を用意するときの参考にしてください。
一方で、歌詞はテロップに出さないことをおすすめします。歌詞を画面に表示することは、曲を歌うこととは別に扱われる場合があり、配信サービスの規約や権利者の方針まで確かめる必要が出てきます。曲名と作者名だけなら、そうした確認の手間を増やさずに済みます。歌ってよい曲かどうかの考え方は歌ってみたと著作権の記事で整理しています。
テキストソースで曲名を出す基本の手順
使うソースは、WindowsのOBSでは「テキスト (GDI+)」、MacやLinuxでは「テキスト (FreeType 2)」です(公式ナレッジベースより。FreeType 2はWindowsでは非推奨扱いです)。以下はWindowsの「テキスト (GDI+)」の項目名で説明します。
- 歌うときのシーン(「歌」など)を選ぶ
- 「ソース」欄の「+」を押し、「テキスト (GDI+)」を選ぶ
- 名前を「曲名」などにして作成する
- 「テキスト」欄に「曲名 / 作者名」を入力する
- 「フォント」で書体と大きさを選ぶ
- 「OK」を押し、プレビュー上でドラッグして画面の隅に置く
読みやすくする設定
背景の絵や立ち絵の上に文字を重ねると、色によっては文字が溶け込んで読めなくなります。次の設定で、背景に左右されにくい見た目にしておきましょう。
| 項目 | 使い方 |
|---|---|
| 色 | 文字の色。背景と明るさの差が大きい色を選ぶ |
| 輪郭 | オンにすると文字のふちに線が付く。「輪郭のサイズ」「輪郭の色」で調整する |
| 背景色・背景の不透明度 | 文字の後ろに帯を敷ける。不透明度を下げると、背景の絵が少し透ける |
| 配置 | 複数行にしたときの左・中央・右のそろえ方 |
「背景色」と「配置」は「テキスト (GDI+)」の項目で、「テキスト (FreeType 2)」には同じ名前の項目がありません。FreeType 2では「輪郭」や「影をつける」で読みやすさを確保します。
置く場所と大きさ
曲名テロップは、画面の上の隅か下の隅に置くのが一般的です。コメント表示を出している場合は、上下で場所を分けると重なりません(コメント表示の置き方はOBSでコメントを画面に表示する方法で解説しています)。文字の大きさは、パソコンのプレビューではなく、スマホで配信を開いたときに読めるかどうかで決めましょう。限定公開のテスト配信をして、自分のスマホで確認すると安心です。
曲ごとに切り替える3つの方法
方法1:テキストを書き換える
テキストソースを1つだけ作り、曲が変わるたびにダブルクリックでプロパティを開いて「テキスト」欄を書き換える方法です。準備はいりませんが、入力している途中の文字も配信に映るので、打ち間違えるとそのまま見えてしまいます。曲間のトークをしている間に書き換えるなど、タイミングを決めておくと慌てずに済みます。
方法2:曲ごとにソースを作り、表示を切り替える
セトリが決まっている枠なら、曲の数だけテキストソースを作っておき、表示・非表示を切り替える方法が使えます。
- 「曲名1」「曲名2」…のように、セトリの順番でテキストソースを作る
- 全部を同じ位置・同じ見た目にそろえる(1つ目を作ってからコピーして貼り付け、テキストだけ書き換えると早い)
- 最初は全部を目のアイコンで非表示にしておく
- 歌う曲のソースだけを表示し、曲が終わったら非表示にする
さらに「設定」の「ホットキー」では、ソースごとに「’曲名1′ を表示」「’曲名1′ を非表示」といった操作にキーを割り当てられます。歌っている最中にマウスを探さずに済むので、曲数が多い枠ほど便利です。セトリの組み方は歌枠のセットリストの作り方を参考にしてください。
方法3:テキストファイルから読み込む
リクエスト中心の枠で、次に何を歌うか前もって分からない場合は、テキストファイルの内容を表示する方法が向いています。
- メモ帳などで「曲名 / 作者名」と書いたファイルを作り、文字コードをUTF-8で保存する
- テキストソースのプロパティで「ファイルからの読み取り」にチェックを入れる
- 「テキストファイル (UTF-8)」で、作ったファイルを指定する
- 曲が変わったら、ファイルの中身を書き換えて上書き保存する
OBSのプロパティを開かずに書き換えられるので、配信画面の操作に慣れていない人でも扱いやすい方法です。保存してから表示が変わるまでの様子は、本番前に一度試しておきましょう。持ち曲の曲名と作者名を別のメモにまとめておき、そこからコピーして貼るようにすると、表記の間違いも減らせます。
流れる文字(スクロール)にする設定
テロップを横に流したい場合は、テキストソースに「スクロール」フィルタを追加します。
- テキストソースを右クリックし、「フィルタ」を開く
- 「エフェクトフィルタ」の「+」から「スクロール」を選んで追加する
- 「水平速度」で横に流れる速さを決める
公式ナレッジベースでは、速度の数値の正負で流れる向きが変わるとされています。プレビューを見ながら、文字が読みやすい向きと速さに合わせましょう。そのほかの項目は次のとおりです。
- ループ (繰り返し):初期状態でオン。オフにすると、一度流れた後は消えます
- 幅を制限する:オンにして「幅」を指定すると、文字が流れる範囲を狭められます。画面の端から端まで流したくないときに使います
短い文字を流すと、文末と次の文頭がくっついて読みにくくなることがあります。テキストソース側の「テキスト領域の範囲を指定する」をオンにして「幅」を文字より広めに取ると、繰り返しの間にすき間ができます。
ただし、曲名のように短い情報は、流すより止めて表示したほうが一瞬で読めます。スクロールは、「リクエスト受付中」や次回の予定など、少し長めの案内を出すときに使い分けるのがおすすめです。速さは、スマホで見ても目で追える程度にゆっくりめにしておきましょう。
本番でよくある失敗と防ぎ方
| 失敗 | 防ぎ方 |
|---|---|
| 前の曲名のまま歌い始める | 「曲紹介をしたらテロップを切り替える」と順番を決めておく |
| 作者名や記号の表記を間違える | 配信前に、公式の表記を見ながら全曲分の文字を用意しておく |
| 文字が背景に溶けて読めない | 「輪郭」や「背景色」を使い、スマホで確認する |
| コメント表示や立ち絵と重なる | テロップとコメントの場所を上下で分けて固定する |
| 休憩中も曲名が出たまま | 休憩や待機のシーンには曲名のソースを入れない |
なお、投稿する歌ってみた動画に入れるテロップは、動画編集ソフトで作るのが一般的で、作り方も考え方も別物です。動画のほうは歌ってみた動画の作り方で解説しています。
曲名テロップは途中から来た人への案内
- 曲名テロップは、OBSの「テキスト (GDI+)」(Macなどは「テキスト (FreeType 2)」)で出せる
- 書くのは曲名と作者名だけ。歌詞は表示しない
- 読みやすさは「輪郭」や「背景色」で確保し、スマホで見て確かめる
- 切り替えは、書き換え・曲ごとのソースとホットキー・テキストファイルの3通りから枠に合うものを選ぶ
- 流す場合は「スクロール」フィルタ。短い曲名は止めて表示し、長めの案内に使い分ける
曲名が画面に出ているだけで、途中から来た人も話題に入りやすくなります。まずは1曲分のテキストソースを作るところから試してみてください。



















