歌手はブレスのタイミングをどうやって決めているの?

歌手はブレスのタイミングをどうやって決めているの?

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こんにちは、
ボイストレーナーのケイです。

いつもたくさん質問してくださり、
本当にありがとうございます。

ひとつずつ答えていきますので、
ぜひ楽しみにしていてください!

 

では早速ですが、
今日の質問に参りましょう。

「ブレスのタイミングと大体の場所は
どうやって決めるのでしょうか?

ボカロなどブレスが難しい曲だと
息が続かなくなってしまいます。」

 

確かに、ボカロの曲は
息継ぎがかなり難しい傾向にあります。

そのためブレスするタイミングを考えようと
いつも言っているわけですが。

ブレスするタイミングの決め方について
話していなかったと反省しました。

 

私なりのやり方ですが、
ブレスのタイミングの決め方を
お伝えしたいと思います。

 

歌詞や言葉の繋がりを考える

「私がいつも思うのは」という歌詞を
例に挙げて考えてみましょう。

「わた(ブレス)し」という風に
歌うのは不自然でしょう。

ブレスをする間があったとしても、
ここはブレスしない方が良いでしょう。

 

このように言葉や歌詞が
切れていることがポイントです。

「私が(ブレス)いつも思うのは(ブレス)」
と歌うと自然に聴こえます。

 

自分の息が続くかを考える

歌詞や言葉のつながりを考えるだけでは
いくつかの選択肢が生まれます。

「私がいつも思うのは(ブレス)」と
「私が(ブレス)いつも思うのは」の歌い方。

どちらも言葉の繋がりで言えば、
自然に歌えているでしょう。

 

どっちの歌い方が良いかというのは
歌の世界観によって変わります。

ただ、ひとつの基準として
自分の息の量を考えると良いと思います。

 

ブレスなしで歌おうとして、
苦しそうになったら本末転倒です。

自分の息が続くのであれば
最後まで歌いきっても良いと思います。

逆に苦しくなるのであれば
ブレスする場所を作ると良いです。

 

息が続くかどうかを判断することは
簡単にできます。

歌に合わせて、
「スー」と息を吐きます。

苦しくなってしまうのであれば、
ブレスするタイミングをもう少し作る。

このようにして、
ブレスする場所を決めていきましょう。

 

実際に誰がを聴いてみる

また、実践的なアドバイスとしては
実際に人が歌っている歌を聴くと良いです。

普通に歌っていると、
ブレス音が歌の中に入ります。

 

ライブの映像であれば、
ブレスしている所を目で確認できます。

動画や歌声を聴いて
ブレスする場所を参考にしましょう。

ブレスの吸い方やタイミングの決め方は、歌の息継ぎ・ブレスのコツでより詳しくまとめています。息の音が気になる方はブレスノイズを消すコツもどうぞ。

歌詞カードにブレスを書き込んで「決めておく」

ブレスのタイミングは、本番中に考えるものではなくあらかじめ決めて、毎回同じ場所で吸えるようにしておくものです。その場の勢いで吸っていると、テイクごとに息の残量が変わり、同じ箇所で毎回結果が変わってしまいます。決め方が分かったら、次は形に残す作業に移ります。

書き込みの手順

  1. 歌詞を紙かスマホのメモに、フレーズごとに改行して書き出す
  2. 言葉として切れる場所すべてに、いったん薄く記号を入れる(候補の洗い出し)
  3. 実際に歌ってみて、吸わなくても足りた場所の記号を消す
  4. 残った場所を「必ず吸う」と決めて、はっきり印をつける
  5. 吸う量も書き添える(深く吸う / 浅く吸う、の2種類で十分です)

記号は自分が分かればどんな形でもかまいません。よく使われるのは、深めに吸う場所に「V」、短く浅く吸う場所に「,」を入れるような書き分けです。吸う場所だけでなく吸う量まで決めておくと、フレーズの後半で足りなくなる事故が減りやすくなります。

候補が複数残ったときの決め方

言葉の切れ目としては両方ありえる、という場面が出てきます。そのときは次の順で絞ると判断しやすくなります。

判断の順番見るところ選び方
1言葉の意味意味の切れ目をまたがない場所を残す
2息が足りるか苦しくならずに歌い切れるほうを残す
3次のフレーズの強さ強く出したいフレーズの直前に深いブレスを置く
4曲の雰囲気詰めて歌うか、間を取るかを曲に合わせる

息継ぎの間がほとんどない曲への対処

テンポが速い曲や、言葉の詰まった曲では、そもそもブレスの隙間が用意されていないことがあります。この場合は「どこで吸うか」だけでなく、吸い方そのものを変えるという選択肢が出てきます。

浅く速く吸う場所を作る

すべてのブレスを深く吸う必要はありません。次のフレーズが短ければ、ほんの一瞬だけ吸って間に合わせる形でも歌い切れます。深いブレスを入れる場所を1コーラスに数か所だけ決めておき、それ以外は浅く済ませる、という配分にすると、間の少ない曲でも組み立てやすくなります。

言葉を切ってブレスを差し込む

どうしても足りない場合、フレーズの途中に短いブレスを入れる方法もあります。意味の切れ目をまたぐため不自然になりやすい手ですが、助詞の後ろなど、比較的違和感の出にくい場所を選べば成立することがあります。ここは録音して聴き返し、聞き手として不自然でないかを確認してから採用してください。

そもそも歌える速さ・高さかを確認する

息が続かない原因が、ブレスの位置ではなく曲の負荷にあることもあります。キーが高すぎて必要な息の量が増えている場合、ブレスをいくら足しても苦しさは残ります。まず自分に合うキーの選び方で無理のない高さに調整してから、ブレス設計をやり直すほうが早いことがあります。曲そのものの難易度を見直したい場合は歌ってみたの選曲もあわせてどうぞ。

鼻から吸うか、口から吸うか——吸い方も場所ごとに決める

吸う場所と量が決まったら、もう一段階だけ決めておきたいことがあります。どこから吸うかです。鼻ブレスと口ブレスでは入る量も速さも違うため、同じ曲の中でも使い分けることになります。

  • 鼻ブレス:一度に入る量は少なめですが、吸う音が目立ちにくく、喉も乾きにくいのが特徴です。フレーズとフレーズの間隔が短い場所に向きます
  • 口ブレス:短い時間でまとまった量が入ります。間奏明けの歌い出しや、長く伸ばす音の直前など、時間に余裕のある場所に向きます
  • 鼻と口の併用:口を軽く開けたまま鼻からも入れる吸い方です。量と速さのどちらも譲りたくない場面で使われます

歌詞カードに印をつけるとき、深い・浅いに加えて鼻か口かまで書き添えておくと、毎回同じ条件で歌えます。なお、フレーズの途中に短く差し込むブレスはカンニングブレスと呼ばれ、休符がそもそも用意されていない曲ではこの扱いが中心になります。

息が足りない原因は、吸う量より「吐きすぎ」かもしれない

ブレスの位置を直しても苦しさが残る場合、吸う量ではなく吐く量のほうが問題になっていることがあります。歌い出しで勢いよく息を使ってしまうと、同じ長さのフレーズでも後半で残量が尽きます。

目安になるのは、フレーズを歌い終えた時点で2〜3割ほど息が残っているかという点です。毎回ぎりぎりまで使い切っているなら、ブレスの位置ではなく息の配分を見直す番だと考えてください。

また、吸うときに肩が上がる人は胸式呼吸になっている可能性があります。横隔膜を下げて吸う腹式呼吸のほうが、同じ時間で入る量が増えやすく、吸う音も静かになりやすいです。感覚のつかみ方は正しい腹式呼吸を身につけようにまとめています。吸う前にいったん吐き切っておくと、力を抜くだけで空気が入ってくるので、慌てて吸い込む動作が減ります。

吸う速さそのものを底上げする

間の少ない曲に対応するには、短い時間で必要な量を入れられることが前提になります。吐く側と吸う側を切り離して扱うと、どちらが足りていないのかが見えやすくなります。

  • ロングブレス:細く長く「スー」と吐き続け、何秒もったかを毎回記録します。数字が伸びているかどうかで進み具合を判断できます
  • ドッグブレス:短く速い呼吸を繰り返して、吸う動作そのものを速くする練習です。やり方はドッグブレスの効果と正しいやり方で解説しています
  • 器具や身近なもので負荷をかける:呼吸筋に負荷をかけるトレーニング器具のほか、空のペットボトルをへこませながら吸う方法もあります。苦しさを感じるほどの強い負荷はかけず、短い時間で区切ってください

いずれも息が上がりやすい練習です。頭がふらつく感じがしたらいったん中断し、普通の呼吸に戻してから再開してください。

ブレスの音そのものをどう扱うか

タイミングが決まってくると、次に気になるのが吸う音がマイクに入ることです。ブレス音は不要なノイズではなく、歌の表情の一部として扱われることも多い要素です。すべて消せばよいわけではない、という前提で判断していきます。

状態考えられること対処の方向
ブレス音が極端に大きい口とマイクが近い / 勢いよく吸っているマイクとの距離を見直し、吸う勢いを緩める
「ヒュッ」と鋭い音が入る喉を狭めたまま急いで吸っている口を広めに開けて吸う練習を入れる
吸う音が一切なく不自然編集で消しすぎている小さく残す方向で調整する
吸う場所が毎テイク違うブレスが設計されていない歌詞カードに書き込んで固定する

録りの段階でできること

マイクに正面から吸い込むと、その分だけ音が大きく入ります。吸うときだけ顔をわずかに横へ向ける、あるいはマイクとの距離を少し取る、といった対処で入り方は変わります。ただし距離を変えると声そのものの録れ方も変わるため、録音レベル・ゲインの設定を確認しながら、声側が小さくなりすぎていないかも見ておいてください。

MIXの段階でできること

録音後に、ブレスの部分だけ音量を下げるという処理がよく行われます。完全に消してしまうと機械的な印象になりやすいため、気にならない大きさまで下げるくらいが扱いやすい落としどころです。作業の流れ全体は歌ってみたMIXのやり方にまとめています。

ブレスの練習を単体でやるなら

曲から離れて、吸う動作だけを取り出して確認する方法もあります。曲のテンポに合わせて、1拍で吸う、半拍で吸う、といった長さを決めて繰り返すだけです。短い時間で必要な量を吸えるかどうかが本番での余裕につながるため、間の少ない曲に取り組む前の準備として役立ちます。



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