歌枠の録画をあとから見返したら、BGMが大きすぎて声が埋もれていた。切り抜き動画を作りたいのに、Discordの通話の声まで入っていて使いにくい。こうした悩みは、録画の音が1本に混ざった状態で保存されていることが原因です。混ざったあとの音から、声やBGMだけを取り出して音量を直すのは簡単ではありません。
OBSには、マイク・BGM・通話などの音を、1つの録画ファイルの中に別々の「音声トラック」として残す機能があります。この記事では、トラックの割り当て方、録画するトラックの選び方、配信には1トラックしか乗らない点、録画後の編集での使い方を、歌枠の場面に合わせて解説します。
項目名と既定値は、OBS Studio 33.0.0(2026年10月時点の最新版)の日本語表示とソースコード、OBS公式ナレッジベースで確認した内容です。
先に要点だけ:声とBGMを分けて録画する手順
| 手順 | 設定する場所 | やること |
|---|---|---|
| 1. ソースをトラックに割り当てる | 「編集」→「オーディオの詳細プロパティ」 | マイク・BGM・通話ごとに、入れるトラック番号にチェック |
| 2. 録画するトラックを選ぶ | 「設定」→「出力」 | 録画の「音声トラック」で、使う番号すべてにチェック |
| 3. 録画フォーマットを確認 | 「設定」→「出力」 | FLV以外(既定のHybrid MP4など)にする |
| 4. 録画して確かめる | 編集ソフト | トラックが分かれて読み込まれるか聞いて確認 |
押さえておきたいのは、トラック1は「全部入り」にしておくことと、配信に乗るのは選んだ1トラックだけということです。理由は後で説明します。
音声トラックとは:1つの動画に音を別々に入れる仕組み
音声トラックは、1つの動画ファイルの中に、複数の音を別々に記録しておくための入れ物です。OBSでは「トラック 1」から「トラック 6」までの6本を使えます。
たとえば、トラック1にすべての音、トラック2にマイクだけ、トラック3にBGMだけを入れておけば、編集ソフトで声とBGMの音量を別々に直したり、声だけを使ったりできます。
普通のプレーヤーでは1本しか再生されない
OBS公式ナレッジベースでは、一般的な動画プレーヤーは一度に1つの音声トラックしか再生しないと案内されています。そのため、編集せずにそのまま見る・投稿する可能性がある録画では、すべての音をトラック1に入れておくよう勧められています。トラック1を全部入りにしておけば、プレーヤーで再生しても声とBGMの両方が聞こえ、編集するときはトラック2以降を使う、という使い分けができます。
手順1:オーディオの詳細プロパティでトラックを割り当てる
メニューの「編集」→「オーディオの詳細プロパティ」を開くと、音声ソースごとに「トラック」の列があり、1〜6のチェックボックスが並んでいます。ここで、それぞれの音をどのトラックに入れるかを決めます。
注意したいのは、新しく追加した音声ソースは、初期状態で全部のトラックにチェックが入っていることです(OBS 33.0.0のソースコードで確認)。何も変えずに録画すると、どのトラックにも同じ音が入ってしまいます。分けたいトラックからは、チェックを外していきます。
歌枠での割り当て例
| 音声ソース | チェックを入れるトラック | 使い道 |
|---|---|---|
| マイク | 1・2 | トラック2で声だけ聞ける・直せる |
| BGM(伴奏) | 1・3 | トラック3で伴奏の音量だけ直せる |
| 通話(Discordなど) | 1・4 | 切り抜きでは通話を外せる |
| 効果音・通知など | 1だけ | 編集時には使わない音 |
BGMをアプリ単位で取り込んでいないと、BGMと通知音が1つのソースにまとまり、トラックでも分けられません。BGMだけを別のソースにする方法はOBSのアプリケーション音声キャプチャで解説しています。また、オーディオインターフェースのループバックで声と伴奏を1つにまとめている場合も、OBSに届く時点で混ざっているため、トラックでは分けられません。
手順2:出力設定で録画するトラックを選ぶ
割り当てただけでは、トラック2以降は録画されません。「設定」→「出力」で、録画に含めるトラックを選びます。画面は「出力モード」が「基本」か「詳細」かで変わります。
出力モードが「基本」の場合
「録画品質」が「配信と同じ」になっていると、複数のトラックを選べません(OBS 33.0.0のソースコードで確認)。「高品質、ファイルサイズ中」など別の品質を選び、録画フォーマットをFLV以外にすると、「音声トラック」で1〜6を選べるようになります。初期状態ではトラック1だけが選ばれているので、使う番号にチェックを足します。
出力モードが「詳細」の場合
「録画」タブの「音声トラック」で、使う番号すべてにチェックを入れます。こちらも初期状態はトラック1だけです。
詳細モードでは、「音声」タブにトラック1〜6が並び、トラックごとに音声ビットレートを決められます。トラックを増やすと、その分だけ音声のデータが増えて録画ファイルは少し大きくなります。使わない番号まで録画する必要はないので、割り当てたトラックだけにチェックを入れましょう。
録画フォーマットはFLV以外に
FLVを選ぶと、録画できる音声トラックは1つだけになります。OBS 33.0.0のWindows版では、録画フォーマットの既定は「Hybrid MP4」です。録画の画質やビットレートの決め方はOBSの音質設定を参考にしてください。
配信には1トラックしか乗らない
録画には複数のトラックを残せますが、配信でリスナーに届く音は1トラックだけです。
- 出力モード「基本」:配信にはトラック1が使われます
- 出力モード「詳細」:「配信」タブの「音声トラック」で、1〜6の中から1つだけ選びます(初期状態はトラック1)
つまり、配信で使うトラック(多くの場合はトラック1)には、リスナーに聞かせたい音をすべて入れておく必要があります。トラック1からBGMのチェックを外すと、配信でもBGMが聞こえなくなるので注意してください。YouTubeなどに残るアーカイブも、配信で送った音がもとになります。トラックを分けて残せるのは、手元に保存した録画ファイルだけです。
なお、Twitchには「Twitch VODトラック」という機能があり、ライブ中とアーカイブで別の音を使えます(OBS公式ナレッジベースで案内)。Twitch以外の配信先では使えない機能です。アーカイブを残すかどうかの判断は歌枠のアーカイブを残す・残さないの判断にまとめています。
録画したあとの使い方
トラックを分けて録画したファイルは、複数の音声トラックを扱える動画編集ソフトに読み込むと、トラックごとに別々の音声として並びます。ソフトによっては、最初のトラックしか読み込まない設定になっていることがあるので、読み込み設定を確認してください。
こんな場面で役に立つ
- 切り抜き・ショート動画:通話のトラックを外し、声とBGMだけで作る
- 声とBGMのバランス直し:配信中にBGMが大きすぎた部分だけ、BGMのトラックを下げる
- 雑談部分の整理:BGMを流していない区間で、声だけのトラックを使う
知っておきたい2つの点
- フィルタはかかった状態で記録される:ノイズ抑制などのフィルタはソースにかかるので、声だけのトラックにも、フィルタを通したあとの音が入ります
- 声が片側からしか聞こえない:マイクがステレオの片側だけに入っていると、声のトラックも片側だけになります。「オーディオの詳細プロパティ」の「モノラル」にチェックを入れると、左右両方から聞こえるようになります。録音でのモノラルとステレオの考え方はボーカルはモノラルで録る?で解説しています
よくある失敗と確認ポイント
| 症状 | よくある原因 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 編集ソフトで音が1本しかない | 録画するトラックがトラック1だけ/FLVで録画した | 「設定」→「出力」の音声トラックと録画フォーマット |
| トラック2が無音 | マイクをトラック2に割り当てていない | オーディオの詳細プロパティ |
| どのトラックにも全部の音が入っている | 初期状態(全トラックにチェック)のまま | オーディオの詳細プロパティ |
| 編集ソフトで声が二重に聞こえる | 全部入りのトラック1と、声だけのトラック2を同時に再生している | 編集ソフトで使わないトラックをミュート |
| 配信でBGMが聞こえなかった | 配信用のトラックからBGMを外した | 配信で使うトラックの割り当て |
本番の前に、30秒ほど録画して編集ソフトで開き、トラックごとに音を確かめておくと安心です。
まとめ:トラック1は全部入り、2以降で分ける
- 音声トラックは、1つの録画に音を最大6本まで別々に残す仕組み
- 「オーディオの詳細プロパティ」で割り当て、「出力」で録画するトラックを選ぶ。どちらかが欠けると分かれない
- 新しいソースは全トラックにチェックが入っているので、分けたいトラックから外す
- 配信に乗るのは1トラックだけ。そのトラックには聞かせたい音をすべて入れる
- 基本モードは録画品質を「配信と同じ」以外に、フォーマットはFLV以外にする
声とBGMを分けて残しておけば、録画を見返して気になった部分を、あとから整えやすくなります。歌枠の配信設定全体は歌枠の機材と音声設定もあわせて確認してみてください。



















