高い声もそれなりに出て、
音程もそれなりに取れている。
それなのに、
あまり上手く聞こえない人がいます。
そういう人は
大体リズムがズレています。
リズムを取れるようになるためには
裏拍を取ると良いと言われます。
しかし裏拍と言われて、
何のことかわからない人もいるでしょう。
そこで、今回は
裏拍についてわかりやすく解説します。
裏拍とは?
裏拍というのは、
拍を2つに分けた時の後半部を指します。
「1と2と3と4と」とリズムを取る時の
「と」が裏拍にあたります。
少し余談ですが、
数字の部分は表拍と呼ばれます。
なぜ裏拍が大切なのか?
音楽に合わせて手を叩こうとすると、
ほとんどの人は表拍でリズムを取ります。
表拍でリズムを取ることも
もちろん不可能ではありません。
ただスピードが速くなると
ついていけなくなりやすいです。
拍を2分割することで、
テンポがとりやすくなります。
そのため、リズムを取るには
裏拍がカギになるのです。
また、日本は
表拍でリズムを取るのが主流でした。
そのため、昔の歌は
表拍の歌がほとんどでした。
ただ、外国では
裏拍でリズムを取るのが主流です。
最近の曲はその影響を受けて、
裏拍でリズムを取る曲も多いです。
歌いこなせるようになるためには
裏拍を意識する必要があります。
裏拍トレーニング
メトロノームを使う
まずはメトロノームを使った
練習を紹介します。
メトロノームを持っていない人は
スマホのアプリをダウンロードしましょう。
無料のものもあるので安心です。
BPM120前後にして、
メトロノームを鳴らします。
カチッと鳴るのが表拍になります。
音と音の間にある裏拍に合わせて、
手を叩きましょう。
実際の曲を使う
実際に自分がよく歌っている歌を
使って練習しましょう。
まずは普通に表拍で、
「1、2、3、4」とリズムを取りましょう。
表拍が意識できるようになったら、
裏拍で手を叩きましょう。
歌を歌いながら取る
裏拍でリズムを取りながら、
歌えるようになれば完ペキです。
裏拍で手を叩くか、
足踏みをするようにしましょう。
一曲通して裏拍を取ることができれば
バッチリです。
裏拍が取れない人によくあるつまずき
裏拍の理屈はわかっても、いざやってみると続かない。これは珍しいことではありません。原因はだいたい次の3つに整理できます。自分がどれに当てはまるかを先に見当づけておくと、練習の効率が変わってきます。
| つまずき | 起きていること | 手をつける場所 |
|---|---|---|
| 表拍に引き戻される | 数小節は裏で叩けても、いつのまにか表に戻っている | テンポを落として「戻らずに続く長さ」を伸ばす |
| 裏拍が早く入る | 拍と拍のちょうど真ん中ではなく、手前に詰めて叩いている | 細かい分割(8分・16分)を一度はさんで中間点を確認する |
| 歌うと消える | 手拍子だけならできるが、歌詞をのせると裏拍の意識が飛ぶ | 歌とリズムを同時に扱う負荷を段階的に上げる |
表拍に引き戻されるのは慣れの問題と言われています
日本語の童謡や応援の手拍子は表拍で取ることが多く、多くの人は表拍のほうに身体が慣れています。裏拍で叩き始めても数小節で表に戻ってしまうのは、感覚が悪いのではなく単に馴染みが薄いだけ、と説明されることが一般的です。「何小節続けられたか」を数えて、その長さを少しずつ伸ばすという見方に切り替えると、上達が数字で見えるようになります。
「早く入る」は中間点がずれているサイン
裏拍は、拍と拍のちょうど中間に置く音です。ところが実際には、次の表拍を待ちきれずに手前に詰めてしまう人がとても多いところです。ずれたまま速いテンポで練習しても、ずれごと身体に入ってしまいます。詰まっている自覚があるときは、いったん8分音符・16分音符をすべて口で数えてから、その真ん中だけを残す、という順番で確認するとわかりやすくなります。テンポのヨレそのものが気になる場合は歌が走る・もたる原因と直し方もあわせて読んでみてください。
裏拍を身につける4ステップ練習メニュー
いきなり曲で裏拍を取ろうとすると、テンポ・歌詞・音程・裏拍の4つを同時に処理することになり、たいていパンクします。負荷を1つずつ足していく順番で組み立てるのがおすすめです。
| ステップ | やること | 次に進む目安 |
|---|---|---|
| 1. 声に出して数える | 「1と2と3と4と」と声に出し、「と」だけ強めに言う | 1分間ずれずに言い続けられる |
| 2. 「と」で手を叩く | 数えるのは口、叩くのは「と」だけ | 表に戻らず16小節続く |
| 3. 数えるのをやめる | 口を閉じ、裏拍の手拍子だけを続ける | 頭の中の表拍が消えない |
| 4. 歌をのせる | 裏拍の手拍子を止めずに、知っている曲を歌う | 1コーラス通して手拍子が崩れない |
身体のどこで裏拍を取るかを決めておく
手拍子は音が出るぶんわかりやすい反面、歌の本番では使えません。歌いながらでも続けられる取り方をいくつか持っておくと、そのまま実践に持ち込めます。
- かかとを軽く上げ下げする——表拍で下ろし、裏拍でかかとを上げる。静かなので録音中でも使えます
- 膝を軽く沈める——表拍で沈み、裏拍で戻る。上下動が小さいので身体が固まりにくい取り方です
- 指を軽くはじく——裏拍だけ。座って練習するときに向いています
どれを選ぶにしても、力を入れて叩くのではなく、揺れの折り返し地点として裏拍を感じるほうが長続きします。動きが大きすぎると肩や首に力が入り、かえって歌いにくくなることがあります。
メトロノームの設定を変えて裏拍を鍛える
メトロノームは「鳴らしっぱなしで合わせる」だけの道具ではありません。クリックをどこに置くかを変えると、それだけで難易度と鍛えられる場所が変わります。段階を追って設定を変えていくのが定番のやり方です。
| 設定 | ねらい | 目安テンポ |
|---|---|---|
| 4分音符すべてに鳴らす | 表拍を確認しながら裏で叩く。最初の段階 | BPM 70〜90 |
| クリックを裏拍として聞く | 鳴っている音のほうを「と」だと思い込む。感覚の反転練習 | BPM 80〜100 |
| 2拍・4拍だけ鳴らす | 1拍目と3拍目を自分で保つ。テンポキープ力が上がる | BPM 90〜120 |
| 1小節に1回だけ鳴らす | 小節内をすべて自分で刻む。最終段階 | BPM 100〜 |
速くするより、遅くするほうが難しい
裏拍練習は、テンポを上げると勢いでごまかせてしまう一方、BPM 60前後まで落とすと自分のずれがはっきり見えます。「速いテンポでできるから大丈夫」と判断せず、一度ゆっくりにして中間点に置けているかを確認してみてください。テンポを落とした練習全般のやり方はスロー練習のやり方に、メトロノームそのものの使い方はメトロノームを使った歌の練習方法にまとめています。
音源に合わせて表拍・裏拍を確かめる手順
練習で裏拍が叩けるようになっても、実際の曲でどこが表でどこが裏かを取り違えていると合わせられません。曲を流したまま探すのは難しいので、確かめる順番を決めておくと迷いにくくなります。
- サビではなくイントロを使う……歌が入る前の数小節は、刻んでいる楽器が聞き取りやすい部分です
- テンポを実測する……メトロノームアプリのタップ機能で、聞こえた拍に合わせて叩き、出た数字を控えます
- その数字が倍・半分になっていないか確かめる……8分の刻みを表拍として数えていると、表と裏が入れ替わったまま練習することになります。控えた数字でメトロノームを鳴らし、曲と重ねて聴いて確認します
- 表を足、裏を指に分けて同時に出す……足を下ろす位置が表、その間で指をはじく位置が裏です。片方だけだと、自分がどちらを取っているのか分からなくなります
- 歌を1フレーズだけのせる……足と指を止めずに歌い、位置を保てるかを見ます。崩れたら、その1フレーズだけを繰り返します
- 手拍子ごと録音して聴き返す……前に出ているのか後ろに落ちているのかは、録ったものを聴くといちばん早く分かります
「裏だと思っていた音が表だった」とき
裏で取っていたつもりが、曲の頭から半拍ずれたまま数えていたというのはよくあることです。その場合は数え方を直すより、歌い出しの1音が拍のどこにあるかをもう一度決め直すほうが早く収まります。歌の入りが拍の前から始まる曲では特に起こりやすく、その扱いはシンコペーション(食う)フレーズの歌い方で解説しています。
ジャンルによって裏拍の乗り方は変わる
裏拍を「拍のちょうど中間」と覚えても、ジャンルによって強調される場所や間隔は変わります。同じつもりで乗せるとずれるため、曲を選ぶときの目安として知っておくと扱いやすくなります。
| ジャンル | 裏拍の出方 | 歌うときの目安 |
|---|---|---|
| 8ビートのロック・ポップス | 裏はほぼ等間隔。2拍目・4拍目が強く出る | 裏で軽く体が戻る程度で足りることが多い |
| レゲエ・スカ | 裏の刻みが伴奏の前面に出てくる | 自分で数えるより、伴奏の刻みに歌を預けるほうが乗りやすい |
| ファンク・ダンス系 | 16分が細かく入り、裏のさらに間まで割れる | 子音を置く位置を細かく決めておくとそろいやすい |
| シャッフルなど3連系 | 裏が中間ではなく、やや後ろ寄りになる | 等間隔で叩くとずれるので、伴奏のハネを聴いて合わせる |
| バラード | 拍が長く、裏の位置があいまいになりやすい | 刻み続けず、フレーズの入りだけ位置を確かめる |
洋楽で裏拍が強く感じられるのは、英語の強弱が拍の位置と結びついているためだと説明されています。日本語の歌詞では言葉の切れ目や音の高さが優先されやすく、同じ乗り方にならないことも多いところです。ジャンルごとの歌い方の違いはジャンル別の歌い分け方、伴奏のどの楽器を追うかは伴奏を聴いてリズムを取るコツにまとめています。
曲の中で裏拍を活かすコツと、よくある失敗
練習で裏拍が取れるようになっても、曲の中でノリとして出てこなければ意味がありません。ここでつまずく人が多いので、実践の勘どころとよくある失敗を挙げておきます。
曲のどの音を聞けばいいか
多くのポップスやロックでは、ドラムのスネアが2拍目・4拍目に入ります。ここはいわゆる「バックビート」で、裏拍そのものとは別の概念ですが、ノリの支点として意識しやすい音です。まずはスネアに身体を合わせ、そのうえで拍の中間にある「と」を探すと、曲に乗りやすくなります。ハイハットが8分で刻んでいる曲なら、その裏側の音を追いかけるのもわかりやすい方法です。8ビートと16ビートで刻みの細かさがどう変わるかは8ビートと16ビートの違いで整理しています。
よくある失敗と、その直し方
- 裏拍を意識しすぎて歌が硬くなる——拍にきっちり合わせにいくほど、歌のフレーズが四角くなりがちです。裏拍は「合わせにいく点」ではなく「身体が揺れている折り返し」くらいに扱うと、自然な流れが戻ってきます
- 全部の音を裏に寄せてしまう——ノリを出そうとして歌全体を後ろに引っぱると、単に「もたっている」状態になります。寄せるのは特定の言葉やロングトーンの入りだけ、と決めておくほうが安全です
- 手拍子が音源より前に出る——録音して聞き返すとすぐわかります。自分では合っているつもりでも前に出ているケースは多いので、スマホでいいので録って確認する習慣をつけてください
- ハネる曲に同じ感覚を持ち込む——シャッフルやハネもの(3連系)の曲では、裏拍の位置が均等な中間ではなくなります。同じつもりで叩くとずれるので、ハネるリズム(シャッフル)で歌うコツで別物として扱ってください
1日5分でいい、という前提で続ける
裏拍は才能というより慣れの領域だと言われています。まとめて何時間もやるより、短時間を毎日続けたほうが定着しやすいタイプの練習です。通学中に頭の中で数える、手が空いているときに指ではじく、といった細切れの反復でも積み上がります。リズム感全体を底上げしたい場合はリズム感を鍛える方法のメニューも組み合わせてみてください。























