宇多田ヒカルさんや、まふまふさんのような
声に空気の混じった特徴的な声を
ハスキーボイスと言います。
あの独特のしゃがれた声に
憧れる方も少なくないでしょう。
一方で、ハスキーボイスに悩む人も
少なからずいます。
自分は意識していないのに、
歌声がしゃがれた感じになってしまう。
無意識にハスキーボイスになってしまうと、
声に芯がなくなり、表現の幅も狭くなります。
そういう方はハスキーボイスを治したいと
思っているでしょう。
そこで、今回は
ハスキーボイスの正しい出し方と、
意図せずハスキーボイスになってしまう時の
対処方法をお伝えします。
ハスキーボイスを自由使えるようになれば、
表現の幅が広がること間違いなしです。
ハスキーボイスとは?魅力は?
ハスキーボイスは簡単に言えばかすれた声やしゃがれた声
ハスキーボイスとは、
しゃがれてかすれた声のことを言います。
ハスキーは、とうもろこしの皮が語源で、
乾いた皮、乾いた声という意味になったそうです。
黒人特有の渋みのある歌声だったり、
優しくも切ない雰囲気を出すことができます。
ハスキーボイスは
2つのタイプがあります。
まず、ひとつが
無意識にハスキーになってしまうタイプ。
声が枯れた状態というとわかりやすいと思いますが、
慢性的に声が枯れているタイプです。
仕事などで日常的に大声を出す人、
頻繁に飲酒・喫煙をする人。
また、運動部で大声を出していた人、
カラオケなどで長時間歌い続ける人に多いです。
実は、ボイストレーニングに
初めて通うという生徒さんも
ハスキー気味な傾向があります。
酷くないハスキーボイスであれば、
根気よくトレーニングすることで改善します。
声帯のケアをすることで、
歌声がしっかり響くようになります。
もうひとつが、意識的に
ハスキーボイスを出せるタイプ。
つまり、ハスキーボイスの雰囲気を
意図的に作り出すことができる人です。
魅力的なハスキーボイスを出すためには、
声帯の閉じ具合を調節できることがポイントです。
声帯をゆるく閉じると、
息混じりのハスキーっぽい声になります。
芯のある歌声を出したければ、
声帯をしっかり閉じれば良いのです。
ハスキーボイスの魅力
ハスキーボイスの魅力を話す前に
大前提として、確かにハスキーボイスは
聴く人を魅了する不思議な力がありますが、
全ての魅力ある歌声の人が
ハスキーボイスというわけではありません。
あくまでも、魅力的な歌声を作り出す
方法論の一つとして
ハスキーボイスがあると思ってください。
ハスキーボイスを習得すると、どんな良い事があるのか
4つのポイントにまとめてみました。
大人っぽさを演出できる
歌の中に吐息が混じることで、
真のない歌声になってしまい、
よりミステリアスな印象に
歌声を変化させることができます。
耳元で囁いているような声になるため、
よりセクシーで、大人っぽい歌声になります。
落ち着く声
掠れた、しゃがれた声であるハスキーボイスに、
汚い声という印象を持っている人も
いるかもしれませんが、そうではありません。
空気という雑音が混じったようなハスキーボイスは
自然界の音と似た音が含まれていると言われています。
人にリラックス効果を与える海や風の音、
木々がそよめく音と似ているので、
ハスキーボイスには
聞く人をリラックスさせる効果があるのです。
ハスキーボイスの人が落ち着いた
トーンで話していると、
それだけで人をリラックスさせます。
イケボと呼ばれる人の話し声は
かっこいいのはもちろん、
聞いているだけでどこかリラックスできるような
印象があると思います。
個性的な声
特にトレーニングを積んでいない
一般的な人は声に息が混じる事が少ないため、
混じり気のないクリアな歌声になる事がほとんどです。
そのため、ハスキーボイスを使えるだけで、
それは他の人にはない
個性的な歌声と言えるでしょう。
まふまふさんの歌声は、甲高く、
幼さを感じさせる少年のような
声質はもちろんですが
声がハスキーボイスなため
バラード曲や激しい曲問わず
どこか大人っぽさや切なさも感じますし、
個性的ですよね。
歌が上手く聞こえる
以上を踏まえ、ハスキーボイスで歌う人は
普通に歌っている人とは違う、
一歩先のレベルという印象を持たせる事ができるのです。
低音の倍音が多い声にハスキーボイスが加わると、
宇多田ヒカルさんのような大人っぽい、切ない歌声になり、
中〜高音の倍音が多い声にハスキーボイスが加わると
まふまふさんのような幼くも切ない歌声になります。
同じハスキーボイスでも、
どんな声質にその要素が加わるかで
大きく印象が変わります。
まふまふさん、宇多田ヒカルさんは
常にハスキーボイスです。
下記の曲を聴いて参考にしてみてください!
参考:まふまふさん
参考:宇多田ヒカルさん
倍音については下記の記事にて解説しています。
こちらも合わせてお読みください!
比較例として、クリアボイスで
著名な方を紹介しておくと
Mrs. GREEN APPLEの大森元貴さん、
ウォルピスカーターさんなどが挙げられます。
彼らは混じり気のないクリアな歌声が特徴的です。
ハスキーボイスではありませんが、
どこか大人っぽさや切なさも感じますし、個性的ですよね。
このように、ハスキーボイス以外の方法で
自分の魅力を引き出している人もいます。
自分にとっての魅力的な歌声に
ハスキーボイスが必要なら、
出せるように練習をしましょう。
もしそうでないなら、
無理に練習する必要はありません。
何でもかんでも練習するのではなく、
自分の出したい歌声を明確化し、
それに近い歌声になるための
練習をしていく姿勢が大切です。
参考:大森元貴さん
参考:ウォルピスカーターさん
ハスキーボイスの基本的な出し方
ハスキーボイスを意図的に出す練習法
声帯を弱く閉じて声を出す
ハスキーボイスを出すためのポイントは
声帯の閉じ具合にあります。
声帯は弱く閉じると、
息の漏れたような声になります。
「はぁ~」と声を出して
ため息をついたときのようなイメージです。
声帯をさらに弱く閉じると、
ハスキーボイスを出すことができます。
逆に強く芯のある声を出す時は
声帯をしっかりと閉じれば良いわけです。
ハスキーボイスを出すには、
声帯の閉じ具合を調節すれば良いのです。
- まず声を出さずに、
「はー」と息を吐きます。 - 次に少しだけ声を出すように、
「はー」と息を吐きます。 - 少しずつ声の大きさを
上げていくようにしましょう。
これを繰り返すことで、
自分の理想の歌声が出ているときの
声帯の閉じ具合がわかります。
声帯閉鎖について詳しく知りたい方は
こちらの記事もご覧ください。
声を出すときに息をしっかり吐く
今度は前項で述べたように
息に声を混ぜていくのではなく、
声に息を混ぜていくトレーニングです。
自分にとってやりやすい方で
練習を進めていってください。
声がハスキーになるのは、
発声した声に息が混ざっているからです。
クリアボイスの人は普通に声を出すだけでは
息の成分が含まれないので、
いつも以上に息を吐き出さなければ
ハスキーな声になることはありません。
- リラックスした状態で、
「あー」と声を出しましょう - 「あー」という声と同時に息を出すように
声に息を混ぜてみましょう - 少しずつ声の大きさを
上げていくようにしましょう
クリアボイスの人がハスキーボイスになるのは難しい
クリアボイスの人でも普段の生活や
歌を歌う中で喉を酷使すると、
ハスキーボイスになることがあります。
風邪を引いた時、カラオケで無理して歌いすぎた後など。
一時的に声がハスキーになることはあるはずです。
しかし、これは一時的なもので
すぐに元に戻ってしまうと思います。
これは人間の治癒能力によって、
傷ついた喉を直そうとする力が働くためです。
そのため、クリアボイスの人が
もともとの声をハスキーボイスに
変えることは難しいです。
よほど継続的に喉を酷使したり
負担をかけたりし続けると
ハスキーボイスになることはありますが、
それは同時に喉を痛めてしまうリスクに繋がります。
ハスキーボイスを上手くするためのボイトレ法
ハスキーボイスを習得するために
ポイントとなってくるのが声帯のコントロールです。
声帯を強く閉じれば
声に息が混じりにくくなり、
声帯を弱く閉じれば
声に息が混ざりやすくなります。
この声帯を閉じることを
声帯閉鎖と呼びます。
声帯の位置を正確に把握するトレーニング
自分の声帯は口の中にカメラでも入れない限り
視認する事ができません。
まずは声帯が動く感覚を身体で覚え、
それがどこにあるのかを把握する必要があります。
- リラックスした状態で、
「はー」と息を吐きましょう - 口を閉じず、喉で息を止めます。
喉元で「クッ」と力を込め、
流れる息をせき止めるような感覚です。
この「クッ」と息をせき止めている部位こそが
声帯になります。
この閉じ具合によって、
ハスキーか、クリアかの声質を
使い分けられるようになるのです。
声帯を使いこなすトレーニング
声帯をコントロールして、
声質を変化させてみましょう。
- リラックスした状態で、
「はー」と息を吐きましょう - 口を閉じず、喉で息を止めます。
- 息が漏れないように声を出す
- 息を混ぜて声を出す
息→息が混じった声→息が混じらない声
というふうにスムーズにコントロール
できるようになるのが理想です。
※目安は3秒ずつぐらいです。
ここまでできるようになったら
色々な歌で息を混ぜたりして
歌で使えるようにしていきましょう。
ハスキーボイスは声帯のコントロールがポイント
ここでハスキーボイスを意図的に
出せるようにするポイントをまとめていきましょう。
大事なのは、声帯を自分自身で
コントロールできるようになる事です。
声を出す際、
声帯閉鎖を強くすれば(声帯を強く閉じれば)
息に声が混ざらず、クリアな発声になり、
声帯閉鎖を弱くすれば(声帯を弱く閉じれば)
息に声が混ざり、クリアな発声になります。
ハスキーボイスを練習する際には
これを念頭に置いて練習しましょう。
また、声帯を意図的に扱うことに
慣れていない場合、
声帯を閉じる力を自由に
コントロールできない事があります。
これは、声帯を動かそうとする筋肉が足りない、
声帯周りの筋肉を動かすことに
慣れていないからと思われます。
これを解消する練習方法として
エッジボイスというものがあります。
エッジボイスを習得することで
「どれぐらいの息・声の量で声帯が閉じ、
息が声の中に混じらなくなるのか」
を正確に身体で覚える事ができるようになります。
エッジボイスについては
下記の記事をご覧ください。
意図せずハスキーボイスになってしまう原因
ここからは、意図せず掠れた声になってしまう方の
原因を列挙していきます。
声帯がコントロールできていない
自分ではできているつもりでも、
声帯がしっかりと閉じられていないことで
ハスキーボイスになってしまう方はいます。
自分の歌声を録音し、
声に息が混じっていないか確認しましょう。
歌っている際には気づきにくいものなので
必ず録音したもので確認するようにしましょう。
生まれつき
遺伝的なもので、普段の話し声も
無意識にハスキーになってしまうという場合があります。
これは普段の喉の使い方でハスキーな声に
慣れてしまっているだけなので、
声帯閉鎖をしっかりと鍛えれば解消できます。
お酒の飲みすぎ・酒やけ
長年、アルコールをたくさん飲んだ人は
独特の「しゃがれ声」の持ち主の方が多いです。
アルコールの入った飲み物を飲みすぎると
利尿作用が高まり、体内は水分不足に陥ります。
そして喉はどんどん乾いていきます。
酔っ払っているとそれに気づかず
無理して声を出してしまい、
声帯に負担がかかることで
ハスキーボイスになってしまう人が多いです。
歌い手を志すのであれば、
お酒はほどほどにしておくのが吉です。
声帯が傷ついている
喉に負担をかけ過ぎたときに起こる内出血によって
できた良性の腫瘤を『声帯ポリープ』と呼びます。
これは、喉の使いすぎや喫煙などが主な原因になります。
また、「声帯ポリープ」と同様に
声帯にできる良性の腫瘤を、声帯結節と言います。
これは摩擦によって固くなった状態を指します。
これらは喉を長期間酷使し続けることで
発生してしまいます。
腫瘤が声帯にできることで、
声帯が閉じづらく息漏れしてしまい、
結果的に意図せずハスキーボイスに
なってしまうというわけです。
喉の調子が悪い時は練習を控えるなど、
自分の体調に注意しながら練習
するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ハスキーボイスの
出し方と治し方がわかったかと思います。
何度も言いますが、ポイントは声帯のコントロールです。
声帯をコントロールできるようになれば、
ハスキーボイスも、クリアボイスも
自由に出す事ができるようになります。
最終的には自分の理想とする声が
出せるようになっているか、が大事になります。
しっかりとイメージを持って
練習に取り組むようにしましょう!