「かっこいい歌声を出せるようになりたい…。」
「自分の歌声が気持ち悪くて嫌…。」
そんな風に思ってませんか?
自分の歌声に満足している人は
かなり少ないです。
自分の歌声を録音して聞いてみると、
ギャップを感じるでしょう。
良い歌声を出せるようになりたいと
誰もが思っているはず。
そこで、今回は
倍音について徹底的に解説します。
この「倍音」は
良い歌声を出すカギになります。
倍音とは?
倍音という言葉を
初めて聞いたという人もいるでしょう。
あまり馴染みのない言葉なので
倍音の意味から説明します。
音はあるひとつの音だけでなく、
たくさんの音が同時に鳴っています。
ドの音を声に出したとしても、
ド以外の音もたくさん出ているのです。
あくまで一番強い音が
ドの音だったに過ぎません。
最も強くなっている音を基音と言い、
他の音を倍音と言います。
人の声や楽器など
ほとんどの音には倍音があります。
倍音が声質を決めている
倍音は声の響きを決める上で
とても大切な要素です。
つまり倍音をコントロールできると
良い歌声を出すことができます。
倍音が少ないと、
暗いこもったような声になります。
一方、倍音が多いと
明るく通る声になります。
ギターや声、リコーダーなどで
同じ高さの音でも違うように聴こえる。
この音の違いは
含まれている倍音が違うせいです。
また低い倍音が強く鳴っていると
音質が深くて、重くなると言われています。
逆に高い倍音が強くなっていると
明るくて軽い音になります。
倍音を出すためには?
そして、ボイトレをすることで
倍音を調整できるようになります。
つまり、歌の世界観に合わせて
声質を変えることができるのです。
倍音をコントロールするためには
共鳴腔を使い分ける必要があります。
共鳴腔についての説明は
こちらの記事をご覧ください。
倍音が多い声・少ない声を聞き分けるポイント
倍音の話は理屈だけ読んでもピンと来にくいものです。まずは耳で違いを見つけられるようになるところから始めると、その後の練習が具体的になります。聴き分けのとっかかりになるポイントを整理しました。
| 聴くところ | 倍音が多めの声 | 倍音が少なめの声 |
|---|---|---|
| 遠くまでの届き方 | 音量が小さくても輪郭が残る | 音量を上げないと埋もれやすい |
| 音色の印象 | 厚み・ざらつき・きらめきなど情報が多い | のっぺりして単調に聞こえやすい |
| 伸ばした音の中身 | 伸ばしている間も音色が動く | まっすぐだが変化に乏しい |
| オケに混ぜたとき | 伴奏に埋もれにくい | 音量を上げてもぼやけやすい |
身近な音で耳を作る
いきなり歌声で比べるのは難しいので、差が大きい音から始めるのがおすすめです。たとえば同じ高さの音でも、口笛は倍音が少なくシンプルに聞こえ、金管楽器や歪んだギターは倍音が多く複雑に聞こえます。この「シンプル ↔ 複雑」の軸が耳に入ると、歌声を聴いたときにも同じものさしが使えるようになります。
歌声で比べるなら、自分の声で試すのがいちばん早い方法です。同じ音程・同じ音量で「口をあまり開けずにつぶやくように」と「あくびをするように喉を開いて」を録り比べると、含まれている成分の差がわかりやすくなります。
「声量が大きい」と「倍音が多い」は別の話
ここを混同すると練習の方向を間違えます。大きな声を出せば、たしかに音量のメーターは振れます。ただし音量の大きさと、含まれている成分の豊かさは別の軸です。小さな声でもよく通る人がいる一方、大きな声を出しているのに伴奏に埋もれてしまう人もいるのは、この違いによるところが大きいと言われています。倍音を増やしたいときに「もっと声を張る」という発想に向かってしまうと、力むだけで音色は変わらない、ということが起こりがちです。
整数次倍音と非整数次倍音——印象を分ける2つの成分
倍音は、基音の何倍にあたるかによって大きく2種類に分けて語られます。専門的な定義は文献によって幅がありますが、歌の解説では次のように整理されるのが一般的です。
| 種類 | ざっくり言うと | 声の印象として語られること |
|---|---|---|
| 整数次倍音 | 基音のきれいな整数倍にあたる成分 | まっすぐ、澄んでいる、通る、堂々として聞こえる |
| 非整数次倍音 | 整数倍からずれた成分やノイズ的な成分 | かすれ、ざらつき、色気、親密な印象 |
どちらが優れているという話ではありません。まっすぐ通る声が合う曲もあれば、息まじりのざらついた質感が曲の世界観に合うこともあります。持ち札として両方を出し分けられるほうが、選曲の幅が広がるという考え方が実用的です。
自分がどちら寄りかを把握しておく
多くの人は、意識しなくてもどちらかに寄った声を持っています。自分の録音を聴いて「まっすぐだけど平坦」と感じるなら整数次寄り、「雰囲気はあるけど芯が弱い」と感じるなら非整数次寄り、と大まかに当たりをつけられます。足りないほうを補う練習をすると、表現の選択肢が増えていきます。芯が弱いと感じる場合は声帯閉鎖の感覚・鍛えるためのトレーニングから、平坦だと感じる場合は共鳴の使い方から入ると手がかりが得られます。
倍音を増やすとされる要素
倍音は、声帯で作られた音が身体の空間を通る過程で強調されたり弱められたりして最終的な音色になる、と説明されます。つまり、いじれる場所は大きく分けて2つ、そして土台としてもう1つあります。
1. 共鳴腔の使い方
いちばん影響が大きいとされるのがここです。口の中や喉の空間の形が変わると、どの高さの成分が強く響くかが変わると言われています。口の開き・舌の位置・軟口蓋の高さといった要素で音色が変わるのは、この仕組みによる説明が一般的です。
3つの共鳴腔の関係を押さえたい方は共鳴腔とは?声が響く仕組みと3つの共鳴腔を、口の中の具体的な作り方は口腔共鳴のやり方を、低音側に厚みを出したい場合は胸腔共鳴(チェストレゾナンス)の感覚とやり方を参照してください。
2. 声帯の閉じ具合
音の出発点そのものを変えるアプローチです。声帯の閉じが弱いと息の成分が多くなり、しっかり閉じると芯のある成分が増えやすい、と説明されます。ただし「強く閉じる=良い」ではありません。閉じすぎた声は硬く、詰まった印象になることがあります。ちょうど良いところを探すのが練習の中身になります。
3. 姿勢と息の安定
土台の部分です。息が途中で乱れると、せっかく整えた共鳴も持続しません。首が前に出ていたり肩が上がっていたりすると、喉まわりが固まって空間が確保しづらくなる、ともよく言われます。派手さはありませんが、ここが揺れていると他の要素が安定しにくくなります。
倍音は生まれつき決まっているのか
「倍音が多い声は生まれつき」と言われることがあり、練習に入る前にここで止まってしまう人がいます。実際には、変えにくい部分と、あとから動かせる部分が混ざっていると整理しておくほうが進めやすくなります。
| 要素 | 動かしやすさ | 声に出るかたち |
|---|---|---|
| 声帯そのものの長さや厚み | 変えにくい | 声の高さの中心や、地声の質感に出る |
| 顔や喉まわりの骨格 | 変えにくい | もともと響きやすい帯域の傾向として出る |
| 口や喉の空間の作り方 | 変えやすい | 同じ声でも音色が変わる |
| 息の量と声帯の鳴りのバランス | 変えやすい | 芯の強さ、かすれの量が変わる |
変えにくい2つはどの声質からスタートするかを決めているだけで、到達できる範囲まで決めてしまうものではない、というのが一般的な説明です。同じ人の声でも、口の開きや息の配分が変われば含まれる成分は変わります。裏を返すと、他人の声質そのものを目標に置くより、自分の声で出せる幅を広げるほうが手応えを得やすいということでもあります。
「通る声」と呼ばれる状態が起きている場所
倍音の話がしばしば「よく通る声」と結びつけて語られるのは、伴奏と重なりにくい高さの成分が関係していると説明されているためです。歌声の中には、3000ヘルツ前後という、伴奏の楽器が比較的手薄になりやすい帯域に山ができることがあります。この山はシンガーズフォルマントという呼び方で知られていて、音量を上げていないのに声だけが前に出て聞こえる現象は、これが立っているときだと説明されます。
ただし、この帯域だけを直接「出す」ような練習方法があるわけではありません。変わるのは喉の空間の形と声帯の鳴りのバランスのほうで、その結果としてその帯域が強調される、という順番になります。前に出そうとして音色が薄く硬いほうへ寄ってしまう場合は高音がキンキン・薄いを解決、逆に芯が足りずに埋もれる場合は息もれ・かすれ声を減らすコツのほうから入ると手がかりが見つかります。
母音と子音でも倍音の出かたは変わる
同じ人が同じ高さで歌っても、「あ」と「い」では含まれる成分が変わります。口や喉の空間の形が母音ごとに違うため、強調される高さもそのつど入れ替わるからです。歌詞は母音の並びでできているので、1曲の中で音色が動くこと自体は自然な現象です。
気にしたほうがよいのは、特定の母音だけ極端に痩せる場合です。次の順で切り分けられます。
- 同じフレーズを母音だけで歌い、痩せて聞こえる母音を1つ見つける
- その母音だけを取り出し、口の縦幅を少し広げたテイクと録り比べる
- 差が出たら、その口の形のまま歌詞に戻してもう一度録る
母音ごとのばらつきをならしていく練習は母音を揃えるコツにまとめています。なお子音は、直後の母音の出だしの質感を左右します。サ行やタ行の直後だけ音色が急に変わって聞こえるときは、母音側ではなく子音の勢いが強すぎることが原因になっている場合があります。
録音とMIXで倍音を確認する
倍音は感覚だけで追いかけると迷子になりやすい領域です。録音とツールを使うと、変化を目で確認できるようになります。
スペクトラム表示で見る
DAWやフリーのアナライザには、周波数ごとのエネルギーを表示する機能があります。声を録音してこれに通すと、いちばん低い山(基音)の上に、いくつも山が並んでいるのが見えます。この上のほうの山の量や形が、いわゆる倍音の分布にあたります。
- 同じフレーズを、条件を変えて2〜3テイク録る(口の開き、喉の開き、息の量など、変えるのは1つだけ)
- それぞれをアナライザに通し、表示をスクリーンショットで残す
- 並べて比べ、どの帯域が増減したかを見る
- その変化が「曲の中で良く聞こえるか」を耳で最終判断する
大事なのは最後の4番目です。グラフ上で倍音が増えていても、曲に合わなければ意味がありません。数値は判断材料のひとつであって、目的ではないと考えてください。
MIXでは「増やす」より「整える」
MIXの段階でEQを使えば、特定の帯域を持ち上げることはできます。ただしEQはもともと入っている成分を強調する処理であって、録音に含まれていない成分を作り出すものではありません。素材の段階で倍音が薄い声を無理に持ち上げると、質感が荒くなったり、サ行が耳につきやすくなったりします。
逆に言えば、録りの時点で必要な成分が入っていれば、MIXでの処理は軽く済みます。「マイクに乗る声」が話題になるのはこのためで、単に大きい声を出すことと、録音で存在感が出ることは別物です。詳しくは「マイクに乗る声」の作り方を読んでみてください。MIX側の基本手順は歌ってみたMIXのやり方・手順完全版にまとめています。

























