「高い声を出そうとすると、
苦しそうな声になってしまう…。」
「頑張って歌っているのに、
平べったい歌声になってしまう…。」
そんな風に悩んでいる人は
意外と多いです。
声を出すためには
たくさんの筋肉が関わっています。
その中のひとつが
胸骨甲状筋という筋肉です。
胸骨甲状筋を鍛えることで、
高音をラクに出せるようになります。
そこで、今回は
胸骨甲状筋についてお話します。
普段は意識しない筋肉なので、
ここでしっかりと鍛えてましょう。
胸骨甲状筋とは?
胸骨甲状筋とは
胸元と喉を結んでいる筋肉です。
喉仏や咽頭を下方向に引っ張ります。
胸骨甲状筋を鍛えるメリット
高い声が苦しくならない
高い声を出そうとすると、
苦しそうな歌声になってしまう。
これは高い声になるにつれて、
喉仏が上がってしまうことが原因です。
胸骨甲状筋が機能するようになると
喉仏をコントロールできるようになります。
その結果として、
高い声もラクに出すことができます。
響きのある声が出せる
良い声を出すためには
声を響かせる必要があります。
身体にある声を響かせる空間を
共鳴腔と言います。
その共鳴腔のひとつとして
咽頭腔があります。
咽頭腔を大きくすることで、
良い響きが得られます。
共鳴腔について詳しく知りたい方は
こちらの記事をご覧ください。
胸骨甲状筋を鍛える方法
STEP1:ガ行を発音する
まずは鏡を見ながら、
「ガッガッガッ」と発音しましょう。
喉仏が少し下がっているのが
確認できると思います。
ガ行を発音すると、
喉仏が下に動くものです。
まずはガ行を発音して、
喉仏を下に動かす感覚を覚えましょう。
STEP2:喉仏を下げる
喉仏を下げる感覚がわかったら
次は声を出さないでやってみましょう。
このトレーニングに慣れてくると
喉仏を自在に動かせるようになります。
まずは10回3セットを目安に
やってみましょう。
これを継続的にやることで、
胸骨甲状筋を鍛えることができます。
喉仏の動きを自分で確かめてみる
胸骨甲状筋は自分の目で見える場所にありませんが、この筋肉が関わるとされる喉仏の上下は、指で触れば誰でも確認できます。理屈を読むより、まず自分の体で何が起きているかを知るほうが、その後の練習が具体的になります。
やり方は簡単です。喉仏に指を軽く当てたまま、次の動作を順に試してみてください。強く押さえる必要はありません。
| やってみる動作 | 喉仏の動き | 声で言うと |
|---|---|---|
| つばを飲み込む | 大きく上がる | 喉が締まった状態に近い |
| あくびをするように口を開く | 下がる | 喉の奥に空間ができた状態 |
| 低い声で「あー」と言う | 下がった位置で落ち着く | 楽に出せていることが多い |
| だんだん音を上げていく | つられて上がっていきやすい | 苦しく聞こえやすくなる場面 |
最後の行が、この記事のテーマと直結します。音を上げていったときに喉仏がぐんぐん上がっていくなら、それが「高音になると苦しそうに聞こえる」ときの状態に近い、と説明されます。逆に言えば、音が上がっても喉仏の位置が急に変わらない状態を目指すのが練習の目標地点になります。
「下げる」ではなく「上がりすぎない」
ここでよくある勘違いが、喉仏を無理やり押し下げようとしてしまうことです。指で押したり、顎を引いて力ずくで下げたりすると、声がこもったり、かえって喉まわりが固まったりします。狙いたいのは低い位置に固定することではなく、音程が変わっても位置が暴れないことです。この違いを意識しておくと、練習の方向を間違えにくくなります。
練習の組み立て方
この部位に関わる練習は、単体でやるより「声を出す練習の一部」として組み込むほうが続けやすくなります。1回10分程度で組む場合の並べ方の例です。
- 確認(1分)…喉仏に指を当て、あくびの形で下がる感覚を思い出します。
- 低い音から(2分)…出しやすい低めの音で「あー」と伸ばし、喉仏が落ち着いている状態を作ります。
- ゆっくり上げ下げ(4分)…同じ母音のまま、5音ぶんくらいをゆっくり上がって下りる、を繰り返します。指はずっと当てたままにして、どこで急に上がるかを探します。
- 曲で試す(3分)…苦しくなるフレーズを1つだけ選び、同じ感覚のまま歌えるかを確かめます。
3番で「急に上がるポイント」が見つかったら、そこがその日の課題です。その音の少し手前から、より小さい声で入ると、位置が保たれやすくなるとされています。声を張って越えようとするほど上がりやすくなるため、音量を落とすのは有効な手のひとつです。
やりすぎない
喉まわりを意識する練習は、集中すると力が入りがちです。声がかすれてきた、喉に違和感がある、といったときは中断して休むようにしてください。長時間続けるより、短い時間を日をあけて繰り返すほうが感覚をつかみやすいと言われています。練習を日常に組み込む工夫は歌い手の始め方ロードマップの練習の項目もあわせて参考になります。
うまくいかないときの切り分け
やっているのに変化を感じない、というときは、原因が別のところにあることもあります。次の表で当てはまるものを探してみてください。
| 気になっていること | 考えられること | 試すこと |
|---|---|---|
| 指を当てると喉仏がどこか分からない | 触る位置がずれている | つばを飲み込んで、いちばん動く場所を探す |
| 下げようとすると声がこもる | 力で下げにいっている | あくびの形を思い出し、口の奥を広げる方向に切り替える |
| 低い音では平気だが高い音で必ず上がる | その音が今の自分の範囲の上限に近い | 音量を落として入る。曲ならキーを下げて試す |
| 喉より先に肩や首が力む | 姿勢と息が土台から崩れている | 座り方と息の吐き方から見直す |
| 録音するといつも苦しそうに聞こえる | 選んだ曲が今の状態に合っていない | キーの合う曲で同じ練習を試す |
3行目と5行目は、練習量ではなく曲の側を調整したほうが早いケースです。原曲キーにこだわって毎回苦しいところを繰り返すより、まず楽に歌える高さで正しい感覚を覚え、そこから戻していくほうが遠回りに見えて確実とされています。キーの決め方は自分に合ったキーの選び方を参考にしてください。
よくある質問
どのくらいで変化を感じられますか
個人差が大きく、一律の期間は言えません。ただ、感覚の変化は「今日の練習でいつもより楽に出た音があった」といった形で少しずつ現れることが多いです。変化を確かめたいなら、月に一度同じフレーズを録っておくのが分かりやすい方法です。日々の録音を残す場合は録音データの管理方法も参考になります。
声を出せない環境でもできますか
喉仏の位置を指で確かめる部分だけなら、声を出さずに確認できます。あくびの形を作る、つばを飲み込む、といった動作で位置の差を覚えておくと、声を出せる時間になったときにすぐ本題へ入れます。
ほかの部位も鍛えたほうがいいですか
特定の筋肉だけを取り出して考えるより、姿勢・息・共鳴といった全体の流れの中で位置づけたほうが実用的です。用語が増えて混乱してきたら歌い手用語辞典で整理しておくと、解説記事を読み進めやすくなります。
























