「録音した自分の声を確認したら、スマホで聴いたときと全然違って聴こえる」――その原因の多くは、確認に使っているイヤホン・ヘッドホンが「音を美化している」ことにあります。
この記事では、歌ってみたの録音・MIXで使うモニターヘッドホンについて、リスニング用との違い、選び方、そして定番5機種までを解説します。モニタースピーカーの記事でも触れた通り、最初に買うべきモニター機材はヘッドホンです。その理由からお話しします。
モニターヘッドホンとは?リスニング用と何が違う?
モニターヘッドホンは「音の確認・制作」のために作られたヘッドホンです。
| モニターヘッドホン | リスニング用 | |
|---|---|---|
| 音の方向性 | 味付けなし・粗も全部聴こえる | 低音や高音を心地よく強調 |
| 得意なこと | ノイズ・ピッチのズレの発見 | 音楽を楽しく聴く |
| 歌ってみたでの役割 | 録音モニター・MIXの判断 | 完成品の最終チェックの1つ |
リスニング用で録音・MIXをすると、「本当は入っているノイズ」や「微妙な音程のズレ」が美化されて聴こえず、投稿後に気づく事故が起きます。制作はモニター、鑑賞はリスニング。この分担が基本です。
なぜスピーカーより先にヘッドホンなのか
- 録音時はヘッドホンが必須:スピーカーで伴奏を流すとマイクに混ざるため、録音モニターはヘッドホン一択です
- 防音の問題がない:深夜でも賃貸でも使えます(防音対策の記事参照)
- 価格が手頃:定番機が1〜2万円台。スピーカーより導入しやすい価格帯です
選び方の3ポイント
① 録音に使うなら「密閉型」一択
ヘッドホンには密閉型と開放型があります。録音モニターに使うなら密閉型を選んでください。開放型は音が外に漏れる構造なので、ヘッドホンから漏れた伴奏をマイクが拾ってしまいます。MIX専用として使うなら開放型・半開放型も選択肢に入ります。
② 長時間つけても痛くないか
録音・MIXは気づけば2〜3時間。側圧(締め付け)やイヤーパッドの素材は、スペック表より重要な実用性能です。メガネの人は特に要チェック。
③ プラグとケーブルの仕様
多くのモニターヘッドホンは標準プラグ(6.3mm)変換に対応しています。オーディオインターフェースのヘッドホン端子に合うか確認しましょう。なお録音・MIX用途でワイヤレスはNGです(遅延があるため歌がズレます)。有線を選んでください。
定番モニターヘッドホン5選【2026年版】
| モデル | タイプ | 価格帯の目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| audio-technica ATH-M20x | 密閉型 | 1万円弱 | 入門の大定番 |
| SONY MDR-CD900ST | 密閉型 | 2万円前後 | 日本のスタジオ標準機 |
| SONY MDR-7506 | 密閉型 | 1.5万円前後 | 世界標準のロングセラー |
| audio-technica ATH-M50x | 密閉型 | 2万円台 | M20xの完成度アップ版 |
| AKG K240 STUDIO | 半開放型 | 1万円前後 | MIX専用に(録音には不向き) |
1. audio-technica ATH-M20x ― 最初の1台の答え
1万円を切る価格でモニターの基本性能をきちんと満たす、入門の大定番。「まずこれで録音とMIXを覚えて、こだわりが出てきたら買い足す」というルートが王道です。
2. SONY MDR-CD900ST ― 日本のスタジオ標準
日本のレコーディングスタジオで数十年使われ続ける業務用機。「プロと同じ耳で自分の声を聴ける」ことの価値は大きく、ボーカルのアラがはっきり聴こえます。パーツ単位で修理できる長寿命設計も魅力。
3. SONY MDR-7506 ― 世界標準のもう1つの答え
海外スタジオの定番。CD900STより低音が見えやすく、折りたたみ可能で取り回しも良好。900STと迷ったら「MIX重視なら7506、ボーカル録音の粗探し重視なら900ST」が目安です。
4. audio-technica ATH-M50x ― 長く使える上位定番
M20xの上位機。解像度・装着感・作りのすべてが一段上で、「最初からいいものを買って買い替えない」派に選ばれています。DTM全般にも強い万能機です。
5. AKG K240 STUDIO ― MIX専用の隠れ定番
半開放型ならではの自然な音場で、リバーブの残響・音の広がりの判断がしやすい1台。音漏れするので録音用には不向きですが、「録音はM20x、MIXはK240」の2台体制は玄人好みの組み合わせです。
モニターヘッドホンの使い方のコツ
- 録音時の音量は控えめに:伴奏が大きすぎると自分の声が聴こえず、音程が不安定になります。「自分の生声がうっすら聴こえる」バランスが正解です
- 片耳あけ(片耳モニター)も試す:プロもやる定番テクニック。片耳で伴奏、もう片耳で自分の生声を聴くと、音程が取りやすくなる人が多いです
- MIXの最終確認は複数環境で:モニターヘッドホンで整えた音を、最後にスマホスピーカー・普段のイヤホンでも聴き比べる。この一手間で「他人の環境でも良い音」になります
- 耳を休ませる:1時間ごとに10分、耳を休ませると判断力が保てます(喉と同じく耳も消耗品です)
よくある質問
Q. 普段のイヤホンでMIXしちゃダメ?
「できるけど事故りやすい」が答えです。低音強調型のイヤホンで整えた音は、他の環境で聴くとスカスカに聴こえがち。最低でも「複数環境での聴き比べ」はセットにしてください。
Q. 録音とMIXで1台で済ませたい
密閉型(M20x・900ST・7506・M50x)ならどれでも両方こなせます。K240だけはMIX専用と考えてください。
Q. ワイヤレスイヤホンしか持っていない…
録音・MIXには使えません(遅延で歌がズレ、音も加工されます)。有線のモニターヘッドホンを1台だけ用意しましょう。1万円弱のM20xで十分です。
Q. スピーカーとどっちを先に買うべき?
ヘッドホンが先です。録音に必須で、防音の心配もないため。スピーカーは「MIXをもっと詰めたくなったら」の2番手でOKです → モニタースピーカーの選び方
まとめ
モニターヘッドホンは「歌ってみたの品質管理装置」です。ミスに気づける耳を1〜2万円で買えると考えれば、機材投資の中でも費用対効果はトップクラス。M20xから始めて、こだわりが出てきたら900STや7506へ——この王道ルートでまず間違いありません。
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