歌枠でBGMや伴奏を流したいけれど、OBSの「デスクトップ音声」を使うと、パソコンの通知音やDiscordの通話の声まで配信に乗ってしまう。そんな悩みを持つ方は多いと思います。デスクトップ音声は、パソコンから鳴っている音をまとめて取り込む仕組みなので、音を選べないのです。
そこで使えるのが、OBSの「アプリケーション音声キャプチャ」です。音を取り込むアプリを1つずつ選べるので、「BGMプレイヤーの音だけ配信に乗せる」「Discordの声は配信に入れない」といった分け方ができます。この記事では、設定の手順、デスクトップ音声との使い分け、音が入らないときの確認順を、歌枠の場面に合わせてまとめます。
項目名と対応条件は、OBS Studio 33.0.0(2026年10月時点の最新版)の日本語表示と、OBS公式ナレッジベースで確認した内容です。
デスクトップ音声との違いを表で比べる
| 項目 | デスクトップ音声 | アプリケーション音声キャプチャ |
|---|---|---|
| 取り込む範囲 | 選んだ出力デバイスから鳴る音すべて | 選んだアプリの音だけ |
| 通知音・通話の声 | 一緒に入る | 選んでいなければ入らない |
| 音量の調整 | まとめて1本 | アプリごとに別々に調整できる |
| 使える環境 | Windows・Mac | Windows 10(バージョン2004以降)・Windows 11。MacはOBS 30以降+macOS 13以降で別のソースを使う |
| 向いている場面 | PCの音を全部聞かせてよい雑談枠など | BGMだけ乗せたい歌枠、通話しながらの配信 |
歌枠で迷ったら、デスクトップ音声は「無効」にして、BGMを流すアプリだけをアプリケーション音声キャプチャで追加する形から始めると、余計な音が入りにくくなります。
アプリケーション音声キャプチャとは
アプリケーション音声キャプチャは、OBS Studio 28で追加されたWindows向けの音声ソースです。OBS公式ナレッジベースでは、対応環境はWindows 10(バージョン2004以降)とWindows 11と案内されています。33.0.0の日本語表示でも名前は「アプリケーション音声キャプチャ (ベータ版)」のままで、まだベータ扱いです。
アプリ単位で取り込むときの考え方
- 選んだアプリの音がまとめて入る:OBSのソースコード(33.0.0)では、選んだアプリと、そのアプリから起動された関連プロセスの音をまとめて取り込む方式になっています。ブラウザを選んだ場合、そのブラウザで開いているタブの音はまとめて入ると考えておきましょう
- アプリ側の音量も効く:公式ナレッジベースでは、アプリごとの音量スライダーはOBSが受け取る音量にも影響すると案内されています。プレイヤー側の音量を下げると、配信に乗る音も小さくなります
- 自分の耳には元の音がそのまま届く:このソースはアプリの音をOBSに取り込むだけです。自分のヘッドホンには、これまでどおりアプリから直接音が聞こえます
Macの場合
Macでは、OBS 30以降とmacOS 13以降の組み合わせで「macOS 音声キャプチャ」というソースが使え、方式に「アプリケーション音声キャプチャ」を選ぶとアプリ単位で取り込めると公式ナレッジベースで案内されています。macOS 12以前では追加のソフトが必要です。以下の手順はWindowsの画面で説明します。
設定手順:BGMプレイヤーの音だけ配信に乗せる
先に、BGMや伴奏を流すアプリを起動して、音を鳴らしておきます。起動していないアプリは、ソースの一覧に出てこないためです。
- OBSの「ソース」の「+」を押し、「アプリケーション音声キャプチャ (ベータ版)」を選ぶ
- 名前を付ける。「BGM」など、何の音かひと目でわかる名前にしておくと、音声ミキサーで迷いません
- 「ウィンドウ」の一覧から、BGMを流しているアプリのウィンドウを選ぶ
- 「ウィンドウの一致優先順位」を選ぶ(下の表を参照)
- 「OK」を押し、音声ミキサーに追加された「BGM」のメーターが、曲に合わせて動くか確かめる
| ウィンドウの一致優先順位 | 向いているアプリ |
|---|---|
| ウィンドウのタイトルに一致する必要があります | タイトルが変わらないアプリ |
| タイトルに一致、そうでなければ同じ種類のウィンドウを見つける | 多くのアプリ(公式ナレッジベースのおすすめ) |
| タイトルに一致、そうでなければ同じ実行可能ファイルのウィンドウを見つける | ブラウザや音楽プレイヤーなど、曲や動画が変わるとタイトルも変わるアプリ |
曲を切り替えるたびにウィンドウのタイトルが変わるプレイヤーで、1つ目の設定を選ぶと、曲が変わった瞬間に音が取れなくなることがあります。BGMプレイヤーやブラウザは3つ目を選んでおくと安心です。
デスクトップ音声は「無効」にする
アプリケーション音声キャプチャを使うときは、「設定」→「音声」→「グローバル音声デバイス」の「デスクトップ音声」を「無効」にしておきます。公式ナレッジベースでも、エコー(二重に聞こえる状態)を避けるために無効にするよう案内されています。デスクトップ音声を残したままだと、同じBGMがデスクトップ音声とアプリケーション音声キャプチャの両方から入り、リスナーには二重に聞こえたり、BGMだけ大きく聞こえたりします。
ウィンドウキャプチャに音を付ける方法もある
OBS 30.1以降では、「ウィンドウキャプチャ」と「ゲームキャプチャ」のプロパティに「音声をキャプチャ (ベータ版)」という項目があります。チェックを入れると、映しているウィンドウの音が音声ソースとして追加されます。歌詞やプレイヤーの画面を映しながら、その音も乗せたいときに便利です。
BGM用のアプリを分けておく
ブラウザで伴奏を流す場合、同じブラウザで開いた別のタブの音(動画の広告やSNSの通知音など)も一緒に入ります。歌枠中に調べものをするなら、伴奏はブラウザとは別のプレイヤーアプリで流すか、伴奏専用に別のブラウザを使うと、余計な音が入りにくくなります。
Discordの声を配信に入れない・入れるの分け方
コラボ相手やリスナーと通話しながら歌枠をする場合も、アプリ単位で分けると扱いやすくなります。
- Discordの声を配信に入れない:デスクトップ音声を無効にし、Discordのソースは作らない。BGMはアプリケーション音声キャプチャで追加する
- Discordの声も配信に入れる:Discordを選んだアプリケーション音声キャプチャを、BGMとは別に追加する。音声ミキサーでBGMと通話の音量を別々に合わせられ、ミュートボタンで通話だけ切ることもできる
通話を配信に入れるときは、相手の声と自分の声が行ったり来たりしない経路になっているかも確かめておきましょう。オーディオインターフェースのループバックを使っていると、相手に自分の声が返ることがあります。切り分け方はループバック機能とは|歌枠で必要な場面と二重に聞こえるときの対処で解説しています。
入らない・音が出ないときの確認順
メーターが動かない、配信に乗らないときは、次の順で確かめると原因を見つけやすくなります。
- ソースの一覧に出てこない:WindowsのバージョンとOBSのバージョンを確認します。Windows 10はバージョン2004以降、OBSは28以降が必要です
- ウィンドウの一覧に目的のアプリがない:アプリが起動していて、ウィンドウが開いているかを確認します。起動し直したあとは、ソースのプロパティを開き直すと一覧に出てくることがあります
- メーターが動かない:アプリ側で音が鳴っているか、アプリ自体の音量やミュート、Windowsの音量ミキサーでそのアプリの音量が下がっていないかを見ます
- 途中から音が取れなくなった:曲が変わってタイトルが変わった可能性があります。「ウィンドウの一致優先順位」を実行可能ファイルで探す設定に変えます
- メーターは動くのに配信に乗らない:音声ミキサーでミュートになっていないか、「編集」→「オーディオの詳細プロパティ」で、そのソースの「トラック」に配信で使うトラックのチェックが入っているかを確かめます。トラックの考え方はOBSの音声トラックの分け方にまとめています
- どうしても取れないアプリがある:公式ナレッジベースでは、音の出し方によってはアプリケーション音声キャプチャと相性が合わないアプリがあるとされています。その場合は、仮想オーディオケーブル(VB-CABLEなど)にそのアプリの出力先を変え、OBSでは「音声入力キャプチャ」でそのケーブルを取り込む方法が案内されています
二重に聞こえる・自分の耳で聞こえないとき
リスナーにBGMが二重に聞こえるなら、まずデスクトップ音声が無効になっているかを確認します。自分のヘッドホンでBGMが二重・遅れて聞こえる場合は、そのソースの音声モニタリングが「モニタリング有効」になっている可能性があります。アプリの音は元々ヘッドホンに届いているので、モニタリングを重ねると二重になります。設定の選び方はOBSの音声モニタリングとは|3つの設定と聞こえない時の確認を参考にしてください。
歌枠で使うときの音量とずれの注意
BGMの音が取れたら、声とのバランスを合わせます。OBS公式ナレッジベースの音声ミキサーの案内では、声はメーターの黄色の範囲の上のほう、BGMや効果音は緑の範囲に収めるのが目安とされています。また、マイクの音はパソコンで作られた音より小さくなりやすいとも書かれています。BGMを大きくしすぎず、声を基準に合わせていきましょう。
- 音量は、まずプレイヤー側で決め、細かい調整はOBSの音声ミキサーで行う
- 配信前に録画で数十秒試し、声とBGMのバランスを聞き返す
- 伴奏に対して声が遅れて聞こえる場合は、音ズレの調整が必要です。合わせ方は歌枠の音ズレの直し方で解説しています
マイクのゲインやモニターの決め方など、歌枠の音声設定全体の流れは歌枠の機材と音声設定にまとめています。
Macで伴奏やBGMを配信に乗せたいときの選択肢(OBSの音声キャプチャ・BlackHole・複数出力装置)と使い分けは、Macで伴奏を配信に乗せる方法にまとめています。
OBS以外の録音ソフトや通話アプリにもパソコンの音をまとめて渡したい場合は、Windowsのステレオミキサーを使う方法もあります。アプリケーション音声キャプチャとの違いや、ステレオミキサーが表示されないときの確認は、ステレオミキサーの解説で整理しています。
乗せたい音だけを選んで取り込もう
- デスクトップ音声はPCの音をまとめて取り込む。アプリケーション音声キャプチャはアプリを選んで取り込む
- アプリケーション音声キャプチャを使うときは、デスクトップ音声を「無効」にして二重を防ぐ
- タイトルが変わるBGMプレイヤーやブラウザは、一致優先順位を「実行可能ファイル」で探す設定に
- ブラウザはタブの音がまとめて入るので、伴奏用のアプリを分けると安心
- 入らないときは、対応バージョン→アプリの起動と音量→一致優先順位→ミュートとトラックの順に確認する
配信に乗る音を自分で選べるようになると、通知音や通話の声を気にせず歌に集中しやすくなります。一度設定したら、録画で確かめてから本番の歌枠に臨んでください。



















