Macで歌枠を始めようとして、「パソコンで流した伴奏が配信に入らない」「OBSにデスクトップ音声の項目が見当たらない」と困っていませんか。Windowsの解説を見ながら設定しても、同じ名前の項目がなく、手が止まってしまうことがあります。
Macでは、パソコンの中で鳴っている音を配信ソフトに渡すために、OBSの音声キャプチャ機能を使うか、BlackHoleのような仮想オーディオデバイスと「複数出力装置」を組み合わせるのが一般的です。どちらを選ぶかは、macOSとOBSのバージョン、音を渡したいアプリによって変わります。
この記事では、MacでPCの音がそのまま取り込めない理由、OBSの音声キャプチャとの使い分け、BlackHoleと複数出力装置の作り方、音量が変えられない・音ズレするときの注意をまとめます。項目名は2026年10月時点のApple公式サポート、OBS公式ガイド、BlackHole公式GitHubの表記にそろえています。
Macで伴奏を配信に乗せる3つの方法(比較表)
| 方法 | 向いている場面 | 主な条件・注意 |
|---|---|---|
| OBSの音声キャプチャ機能 | OBSで配信するだけ。アプリごとに音を分けたい | OBS 30以降・macOS 13以降。画面収録の許可が必要 |
| BlackHole+複数出力装置 | 古いmacOS、OBS以外のアプリにも音を渡したい | Macの音量キーで音量を変えられない |
| オーディオインターフェースのループバック | 機材側で声と伴奏をまとめたい | 対応機種のみ。二重に聞こえないよう注意 |
macOS 13以降でOBS 30以降を使っているなら、まずOBSの音声キャプチャ機能を試し、それで足りない場合にBlackHoleを検討するという順番が、設定の手間が少なく済みます。機材側でまとめる方法はループバック機能とはで解説しています。
MacではPCの音をそのまま取り込めない理由
配信ソフトが受け取れるのは、基本的に「入力」として選べる機器の音です。マイクやオーディオインターフェースの入力端子は入力として選べますが、パソコンが再生している音は「出力」に向かう音なので、そのままでは入力の一覧に出てきません。
macOSの標準のサウンド設定には、再生している音をそのまま入力として選ぶ項目は用意されていません。OBSの公式ガイドでも、macOS 12以前でPCの音を取り込むには追加のソフトが必要と案内されています。そこで、次のどちらかの方法で「出力に向かう音」を配信ソフトまで届けます。
- 配信ソフトが直接取り込む:OBSがmacOSの仕組みを使って、画面や特定のアプリの音を取り込む
- 仮想の機器を通す:BlackHoleのような仮想オーディオデバイスに音を出し、配信ソフトはそれを入力として受け取る
どちらの方法でも、自分の声はマイクから別に入れる点は変わりません。声と伴奏を別々の音源として扱えるので、配信ソフト側で音量のバランスを取りやすくなります。
まずはOBSの音声キャプチャ機能を確かめる
OBS公式ガイド(macOS Desktop Audio Capture Guide)によると、macOS 13(Ventura)以降でOBS Studio 30以降を使う場合は、「macOS Audio Capture」というソース(日本語の画面では訳された名前で表示されます)を追加すると、デスクトップ全体の音か、特定のアプリの音だけを取り込めます。また、画面を映す「macOS Screen Capture」のソースも音を取り込めると説明されています。
アプリごとに選べるので、たとえば「伴奏を流す音楽アプリの音だけ」を配信に乗せ、通知音などは入れないといった使い方ができます。手順の目安は次のとおりです。
- OBSのソース欄で「+」を押し、macOSの音声キャプチャのソースを追加する
- 取り込む対象を「デスクトップ全体」か「特定のアプリ」から選ぶ
- 音声ミキサーにメーターが現れ、伴奏を流すと動くことを確かめる
メーターが動かない場合は、OBSにmacOSの許可が与えられているかを確認します。OBS公式のmacOS Permissions Guideでは、OBSのメニューから「Review App Permissions」(アプリの権限の確認)を開き、画面や音を取り込むための「画面収録」、マイクやオーディオ機器を使うための「マイク」を許可するよう案内されています(2026年10月時点)。
OBS 28・29を使っている場合は、公式ガイドでは「macOS Screen Capture」ソースで音を取り込む方法が紹介されています。macOS 12以前の場合は、次の章のような仮想オーディオデバイスが必要になります。
BlackHoleと複数出力装置の作り方
BlackHoleは、Existential Audioが公開している、macOS用の仮想オーディオ・ループバック・ドライバーです。公式GitHubでは、アプリからアプリへ「追加の遅延なし」で音を渡せるものと説明されています。2ch・16ch・64chなどの版があり、伴奏をステレオで配信に乗せるだけなら2chで足ります。アプリとしてではなく、Audio MIDI設定やサウンドの設定に機器として表示されます。
なぜ「複数出力装置」が必要なのか
Macの出力先をBlackHoleにすると、音はBlackHoleに流れ、配信ソフトには届きますが、自分のヘッドホンからは聞こえなくなります。そこで、Macに標準で入っている「Audio MIDI設定」で複数出力装置を作り、ヘッドホン(またはオーディオインターフェース)とBlackHoleの両方に同時に音を出します。Apple公式サポートでは、複数出力装置は一度に複数の装置から音を出すためのもので、プライマリ装置に送られた音がほかの装置でも再生される、と説明されています。
作り方の手順
- BlackHoleを入れる:公式GitHubでは、配布ページのインストーラかHomebrewでの入手が案内されています。インストール前に音を扱うアプリを閉じ、案内が出たら再起動します
- Audio MIDI設定を開く:Finderの「移動」→「ユーティリティ」にあります
- 「オーディオ装置」ウインドウのサイドバー下部にある追加ボタンを押し、「複数出力装置を作成」を選ぶ
- 作った複数出力装置を選び、右側の一覧で、ヘッドホンをつないだ機器とBlackHoleの「使用」にチェックを入れる
- 「プライマリ装置」で、ヘッドホンをつないだ機器(内蔵出力やオーディオインターフェース)を選ぶ
- プライマリ装置以外(BlackHoleなど)の「音ずれ補正」にチェックを入れる
- Macのサウンドの出力先に、作った複数出力装置を選ぶ
- OBSで「音声入力キャプチャ」を追加し、デバイスにBlackHoleを選ぶ
BlackHoleの公式Wikiでは、macOS側の問題から、内蔵出力などの2chの機器を一覧の先頭(プライマリ)にしておくよう強く勧めています。BlackHoleが先頭になった場合は、「使用」のチェックをいったん外して付け直すと順番が変わる、とも書かれています。また、プライマリ以外の装置には音ずれ補正(Drift Correction)を有効にすることが推奨されています。
音量が変えられない・音ズレ・音が出ないときの注意
Macの音量キーで音量を変えられない
複数出力装置を出力先にすると、メニューバーや音量キーで音量を調整できなくなります。BlackHoleの公式FAQでは、macOSは複数出力装置の音量変更に対応していないため、Audio MIDI設定で個々の装置の音量を設定するよう案内されています。歌枠では、伴奏を流すアプリ側の音量と、OBSの音声ミキサーで配信に乗せる大きさを決め、ヘッドホンで聞く大きさはオーディオインターフェースのつまみで調整すると扱いやすくなります。
しばらくすると音が乱れる・ずれていく
BlackHoleの公式FAQには、複数出力装置や機器セットを使うと数分後に音が乱れる場合、プライマリ(クロックの基準)以外の装置で音ずれ補正を有効にするよう書かれています。Appleの機器セットの説明でも、クロックソースではない機器に「音ずれ補正」を選ぶよう案内されています。あわせて、Audio MIDI設定で各装置のサンプルレートを、OBSの初期設定と同じ48kHzなどにそろえておくと、確認が楽になります。配信全体で声と伴奏がずれる場合は、歌枠の音ズレの直し方の手順で、何と何がずれているかを切り分けてください。
音が出ない・メーターが動かない
- 複数出力装置のプライマリが、内蔵出力などの2chの機器になっているか
- Audio MIDI設定で、BlackHoleの入力・出力の音量が上がっているか(公式FAQで確認項目として挙げられています)
- OBSにマイクの許可が与えられているか
- BlackHoleの公式FAQによると、AirPodsのマイクはサンプルレートが低いため、プライマリにしないほうがよいとされています
オーディオインターフェース自体が認識されない、音が出ないという場合は、オーディオインターフェースの音が出ない時の対処から確認していきましょう。
自分の声や伴奏が二重に聞こえる
複数出力装置で伴奏を聞きながら、OBSでもBlackHoleの音をモニターしていると、同じ伴奏が少しずれて重なります。OBS側のモニターは「モニターオフ」にしておき、伴奏は複数出力装置から、自分の声はオーディオインターフェースのダイレクトモニターから聞く形にすると整理しやすくなります。詳しくはOBSの音声モニタリングとはを参照してください。
Discordと一緒に使うときの考え方
通話しながら歌枠をする場合も、考え方は同じです。OBS 30以降・macOS 13以降なら、OBSの音声キャプチャでDiscordのアプリだけを取り込めば、相手の声を伴奏とは別の音源として扱えます。相手の声を配信に乗せる場合は、事前に相手の了承を取っておきましょう。
注意したいのは、Discord公式ヘルプでは2026年10月時点で、macOSでのオーディオインターフェースを使った通話を正式にはサポートしておらず、音声が一時的に途切れることがあると説明されている点です。通話で声が途切れる場合は、この点と、Discord側のノイズ抑制などの設定を合わせて確認してください。歌うときのDiscordの設定はDiscordで歌うときの音声設定にまとめています。
まずOBSで足りるか確かめてから仮想デバイスへ
Macでは、再生している音をそのまま入力として選べないため、OBSの音声キャプチャ機能か、BlackHoleと複数出力装置の組み合わせで配信ソフトに届けます。macOS 13以降・OBS 30以降なら、まずOBSの機能で足りるかを確かめ、古い環境やOBS以外のアプリにも音を渡したい場合にBlackHoleを使う、という順番が分かりやすいでしょう。
BlackHoleを使うときは、プライマリ装置を2chの機器にする、プライマリ以外に音ずれ補正を入れる、音量はアプリとOBS側で決める、の3点を押さえておくと、つまずきにくくなります。項目名や条件は2026年10月時点の各公式情報によるもので、macOSやOBSの更新で変わることがあります。設定の前に、Apple公式サポートとOBS・BlackHoleの公式情報で最新の内容を確認してください。



















