OBSで歌枠を始めると、「伴奏が自分にだけ聞こえない」「マイクの音を聞こうとしたら声が遅れて返ってくる」といったことが起きがちです。原因の多くは、OBSの「音声モニタリング」の設定にあります。名前は知っていても、3つある選択肢のどれを、どのソースに選べばよいのかは分かりにくいところです。
この記事では、音声モニタリングの3つの設定の意味、ソースごとの選び方、モニタリングデバイス(返しの出力先)の決め方、聞こえない・遅れるときに確認する順番をまとめます。画面の項目名は、OBS Studioの日本語訳ファイル(GitHubで公開されているja-JP.ini、2026年10月時点)で確認したものです。バージョンによって表記や場所が変わることがあります。
結論早見表:3つの設定は「自分の耳」と「配信」に届くかで分かれる
| 設定(日本語画面の表記) | 自分のヘッドホン | 配信・録画 | 歌枠での主な使いどころ |
|---|---|---|---|
| モニターオフ | 聞こえない | 乗る | マイク・デスクトップ音声など、ほとんどのソース |
| モニターのみ (出力はミュート) | 聞こえる | 乗らない | 自分だけが聞きたい合図の音 |
| モニタリング有効 | 聞こえる | 乗る | OBSのメディアソースで流す伴奏 |
迷ったときは、「その音は、OBSを通さなくてもすでに自分の耳に届いているか」で考えると決めやすくなります。すでに届いている音を「モニタリング有効」にすると、同じ音が2回聞こえる原因になります。
音声モニタリングとは:OBSを通った音を自分に返す機能
音声モニタリングは、OBSに取り込んだ音を、配信とは別に自分のヘッドホンへ返す機能です。OBSの中で流している音は、そのままでは配信と録画に送られるだけで、自分には聞こえません。モニタリングを使うと、OBSの中の音を「配信に乗っている状態に近い形」で確かめられます。
設定する場所は2か所
- ソースごとの設定:メニューの「編集」→「オーディオの詳細プロパティ」を開くと、ソースごとに「音声モニタリング」の欄があります。ここで3つから選びます。ミキサーの各ソースの歯車(︙)メニューからも同じ画面を開けます
- 返しの出力先:「設定」→「音声」の「詳細設定」にある「モニタリングデバイス」で、モニターした音をどの機器から鳴らすかを決めます。初期値は「既定」です(ソースコード上の初期値)
ソースの設定だけを変えても、出力先が別の機器になっていれば聞こえません。この2つはセットで確認してください。
「モニターと出力」は日本語画面の「モニタリング有効」
英語版のOBSや古い解説では、3つの設定が「Monitor Off」「Monitor Only (mute output)」「Monitor and Output」と書かれています。日本語画面では、それぞれ「モニターオフ」「モニターのみ (出力はミュート)」「モニタリング有効」と訳されています。解説記事の「モニターと出力」は、日本語画面では「モニタリング有効」のことだと読み替えてください。
どのソースに何を選ぶか
歌枠でよく使うソースごとに、出発点になる選び方を表にまとめます。
| ソース | 出発点 | 理由 |
|---|---|---|
| マイク(音声入力キャプチャ) | モニターオフ | オーディオインターフェースの直接モニターで、遅れのない声を聞けるため |
| デスクトップ音声 | モニターオフ | PCの音はもともとヘッドホンから鳴っているため |
| メディアソースで流す伴奏 | モニタリング有効 | OBSの中だけで再生され、そのままでは自分に聞こえないため |
| ループバックで受けた音 | モニターオフ | 返すと音の輪ができやすいため |
| 自分用の合図・確認用の音 | モニターのみ | リスナーには聞かせず、自分だけが聞けばよいため |
マイクは「直接モニター」で聞くのが基本
マイクを「モニタリング有効」にすると、OBSの中を通った声がヘッドホンに返ります。OBSを通る分だけ遅れが出るため、歌うときには違和感になりやすいです。インターフェースに直接モニターの機能があれば、そちらで声を聞き、OBSのマイクはモニターオフにしておくのが基本です。返しの声と伴奏のバランスの決め方は、録音時の返し(モニター)の作り方で詳しく扱っています。
ただし、ノイズ抑制やコンプレッサーなどのフィルタがどうかかっているかを耳で確かめたいときは、マイクを一時的に「モニタリング有効」にすると便利です。確認が終わったら、モニターオフに戻すのを忘れないようにしましょう。フィルタの調整はOBSのコンプレッサー設定でも、この方法を使っています。
伴奏をメディアソースで流すなら「モニタリング有効」
伴奏の音声ファイルをOBSのメディアソースで再生する場合、モニターオフのままでは、リスナーには聞こえているのに自分には聞こえない状態になります。伴奏を聞きながら歌うには、このソースを「モニタリング有効」にします。一方、伴奏をPCのプレーヤーで再生してデスクトップ音声で取り込んでいる場合は、すでにヘッドホンから鳴っているので、モニタリングは不要です。
「モニターのみ」は自分だけが聞く音に
「モニターのみ」を選んだソースは、配信にも録画にも乗りません。歌い出し前のカウントのように、自分だけが聞ければよい音に使えます。反対に、リスナーにも聞かせたい音を「モニターのみ」にしてしまうと、自分には聞こえているのに配信では無音になります。「自分には聞こえるのに、リスナーに届いていない」と言われたら、まずこの設定を疑ってください。
モニタリングデバイスの選び方
モニタリングデバイスは、モニターした音を鳴らす機器です。「既定」のままだと、パソコンの既定の再生機器から鳴ります。歌枠では、ヘッドホンをつないでいる機器(オーディオインターフェースなど)を名前で選んでおくと、パソコン側の既定の機器が変わっても返しの出力先が動かず、トラブルを減らせます。
- ヘッドホンをつないだ機器を選ぶ:インターフェースを使っているなら、その名前の出力を選びます
- 無線のイヤホン・ヘッドホンは避ける:一般に、Bluetoothでの再生は有線より遅れが出やすいとされています。伴奏に合わせて歌う返しには、有線のヘッドホンが向いています
- 機器を抜き差ししたら確認する:接続し直した後や機器を変えた後は、設定の表示が残っていても音が出ないことがあります。設定を開いて選び直すか、OBSを再起動して確かめます
同じ「詳細設定」の欄には、Windowsで表示される「Windowsの音量を自動で下げる機能を無効にする」という項目もあります。通話アプリを使ったときにOBSの音量が勝手に下がるように感じる場合は、この項目も確認してみてください。
聞こえない・遅れるときの確認順
聞こえないとき
思いつく設定をまとめて変えるより、次の順で1つずつ確かめるほうが早く原因にたどり着けます。
- ミキサーで、そのソースのメーターが動いているか(動いていなければ、モニタリング以前に音が入っていません)
- 「オーディオの詳細プロパティ」で、そのソースが「モニターオフ」のままになっていないか
- 「モニタリングデバイス」が、いまヘッドホンをつないでいる機器になっているか
- ミキサーの音量フェーダーを下げすぎていないか(Windows版のソースコードでは、フェーダーの音量がモニターの音量にも反映されます)
- インターフェースのヘッドホン音量や、直接モニターとPCの再生音のバランスつまみが、再生音側を絞りきっていないか
デスクトップ音声を「モニタリング有効」にしても聞こえない場合があります。Windows版のソースコードでは、デスクトップ音声のように再生機器の音を取り込むソースが、モニタリングデバイスと同じ機器を取り込んでいるときは、モニターに返さない処理になっています。同じ音が輪になって回り続けるのを防ぐための動きなので、故障ではありません。そもそもデスクトップ音声はモニタリング不要なので、モニターオフに戻して問題ありません。
遅れる・二重に聞こえるとき
- 自分の声が遅れて聞こえる:OBSを通った返しを聞いています。マイクをモニターオフにして、直接モニターで聞く形にします
- 声や伴奏が二重に聞こえる:直接モニターとOBSのモニターの両方から同じ音が返っている可能性があります。返しを1つにまとめる切り分けの手順は、ループバック機能の記事の後半にまとめています
- リスナーの側で歌と伴奏がずれている:モニタリングではなく、配信全体の音ズレの問題です。歌枠の音ズレの直し方の手順で確かめてください
なお、長時間の配信でモニターの音だけが少しずつ遅れていくという報告も、OBSの公式フォーラムで見られます。配信中に気になったら、配信の区切りでOBSを再起動して様子を見るのが手軽です。
まとめ:モニタリングは「足りない音だけ返す」
- モニターオフ=配信だけ、モニターのみ=自分だけ、モニタリング有効=両方
- マイクとデスクトップ音声はモニターオフが出発点。声は直接モニターで聞く
- OBSの中だけで鳴る音(メディアソースの伴奏など)だけを、モニタリング有効にする
- モニタリングデバイスは、ヘッドホンをつないだ機器を名前で選ぶ
- 聞こえないときは、メーター→ソースの設定→出力先→音量の順に確かめる
返しが整ったら、配信に乗る音そのものの質も見直しておくと安心です。音声ビットレートの決め方はOBSの音質設定で解説しています。



















