「歌ってみたを始めたいけど、何を歌えばいいか分からない」「選曲をミスして再生されなかった」——実は選曲は、歌唱力と同じくらい結果を左右する大事な工程です。良い選曲は、あなたの魅力を最大化し、検索でも見つけてもらいやすくします。
この記事では、歌ってみたの選曲を「自分に合う」「伸びやすい」の両面から考えるコツを解説します。
選曲で考えるべき2つの軸
- 自分に合うか(歌いやすさ):音域・声質・得意な表現に合っているか
- 見つけてもらえるか(戦略):検索需要がある・旬である・自分の強みが伝わるか
この2つのバランスで選ぶのがコツです。順番に見ていきましょう。
「自分に合う曲」の見つけ方
① 音域が合っているか
最重要です。サビが高すぎて苦しい曲は、どんなに好きでも初期には避けるのが無難。まず自分の音域を把握しましょう(→自分に合うキーの見つけ方)。キー調整で対応できる範囲かも判断材料です。
② 声質に合っているか
低くて落ち着いた声、透明感のある声、かわいい声、ハスキー——声質ごとに映える曲は違います。「憧れの曲」と「似合う曲」は別、というのは多くの人がつまずくポイントです。
- 低音が得意 → 落ち着いたバラード・ロック系
- 高音・透明感 → 疾走感のあるボカロ曲・シティポップ
- かわいい声 → キュート系ポップ・アイドル曲
- 自分のタイプが分からない → イケボの種類やハスキーボイスで近い声を探す
③ 「マシに聴こえる曲」から広げる
いくつか録音してみて、自分で聴いて「これは悪くない」と思えた曲の系統が、あなたの得意ジャンルのヒントです。自分の声との付き合い方はこの記事も参考に。
「見つけてもらえる曲」の戦略
① 旬の曲(トレンド)を歌う
今バズっている曲・投稿が増えている曲は、検索需要が急上昇しています。本家が伸びている最中に投稿すると、その波に乗れる可能性があります。ショート動画との相性も抜群(→ショート攻略)。
② 定番曲(ロングテール)を歌う
長く歌われ続けている定番曲は、何年経っても一定の検索需要があるとされています。競合は多いですが、細く長く再生される資産になります。
③ ニッチな名曲を狙う
「好きな人は多いのにカバーが少ない曲」は穴場です。競合が少ないぶん、その曲を探している人にあなたの動画が届きやすくなります。
シーン別・選曲のヒント
- 記念すべき1本目:一番自信のある十八番を。完成度が上がりやすく、良いスタートに
- 男性が歌うなら → 男性が歌いやすいボカロ曲
- ハモリを聴かせたいなら → ハモリやすい曲
- 季節イベントに合わせる → 文化祭・ハロウィン・クリスマス
- 歌枠(配信)なら → みんなが知っている定番多めで(→歌枠の始め方)
選曲のよくある失敗
- 難易度が高すぎる曲に挑む:転調・高速・超高音の曲を初期に選ぶと、完成すらできず挫折します。まずは3〜4分の王道曲から
- 誰も検索しない曲ばかり:好きな気持ちは大事ですが、マイナーすぎる曲だけだと見つけてもらえません。定番と混ぜましょう
- 本家の権利を確認しない:off vocal音源が配布されているか、投稿してよい曲かを必ず確認(→著作権まとめ)
- 毎回バラバラのジャンル:チャンネルの色が定まらず、ファンが付きにくくなります。得意ジャンルを軸に
よくある質問
Q. 好きな曲と似合う曲、どっちを優先すべき?
長く続けるなら「好き」も大事ですが、最初の数本は「似合う(=完成度が上がる)」を優先すると、良いスタートが切れてモチベーションも続きます。
Q. 人気曲は競合が多くて埋もれない?
埋もれるリスクはありますが、そもそも検索需要がゼロのマイナー曲よりはチャンスがあります。人気曲+あなたらしいアレンジ・キー・声質で差をつけましょう。
Q. 選曲がどうしても決まらない
「カラオケでよく歌う曲」「無意識に口ずさむ曲」から選ぶのが確実です。それはあなたが自然に歌える=似合う曲である可能性が高いからです。
「その1本で何をしたいか」を先に決めると、軸の重みが変わります
選曲で迷いが長引くとき、多くの場合は評価する項目が多すぎるのではなく、どの項目を重く見るかが決まっていないのが原因です。歌いやすさも、需要も、好きな気持ちも、全部そろっている曲はめったにありません。どれかを優先すると決めた瞬間に、候補は一気に絞れます。
そこで役に立つのが、曲を選ぶ前に「この1本の目的」を先に言葉にしておくことです。目的が違えば、同じ曲でも正解になったり不正解になったりします。
| この1本の目的 | いちばん重く見る項目 | 逆に軽く見てよい項目 | 選び方の目安 |
|---|---|---|---|
| 初投稿・完成させることが目的 | 最後まで作りきれるか | 需要・話題性 | すでに何度も歌ったことがある曲。長さが短めで、転調や早口の少ないもの |
| 見てもらう人を増やしたい | その曲を探している人がいるか | 個人的な思い入れ | 本家の投稿が新しい曲、または長く歌われ続けている曲 |
| 歌の練習として使いたい | 苦手な要素が含まれているか | 公開できる完成度 | 今できないことが1つだけ入っている曲。2つ以上入っていると原因が切り分けにくくなります |
| チャンネルの色を作りたい | これまでの投稿とつながるか | 難易度の低さ | 過去に反応が良かった曲と、雰囲気や声の使い方が近いもの |
| 季節やイベントに合わせたい | 出せる時期に間に合うか | 投稿されている本数の多さ | 逆算して作業日数が足りる曲。間に合わない曲は翌年に回す |
ここで注意したいのは、1本にいくつも目的を持たせないことです。「初投稿だけど伸ばしたいし練習にもしたい」と考えると、条件が矛盾して決まらなくなります。目的は1本につき1つ、残りは次の投稿に回す、と割り切るほうが前に進みやすくなります。
目的は途中で変えてもかまいません
練習用のつもりで録った音源が思ったより良く録れることもあります。そのときは公開に切り替えて問題ありません。大事なのは、選ぶ瞬間に軸が1つに定まっていることであって、あとから変えられないという話ではありません。
目的ごとに、次に読む記事を振り分ける
選曲の話はどうしても範囲が広くなるため、この記事だけですべてを扱うと、かえって使いにくくなります。歌い手部では選曲まわりの記事を目的別に分けています。自分の状況に近いところから読み進めてください。
| 今の状態 | 次に読む記事 | そこで扱っていること |
|---|---|---|
| 候補は挙がっているのに1曲に絞れない | 歌う曲の決め方 | 候補を出す→条件で落とす→最後の1曲を決める、という絞り込みの手順 |
| みんなが知っている曲を歌うか迷っている | 有名になるための選曲 | 広く知られた曲を選んだときに起きること、そのうえでの差の付け方 |
| キーが合っているか自信がない | 自分に合うキーの見つけ方 | 自分の音域の測り方と、キー変更で調整できる範囲の考え方 |
| 音源が使えるか判断できない | オフボーカル音源の扱い方 | 音源の探し方と、使う前に確認しておきたい点 |
順番としては、この記事で軸を決める → 絞り込みの記事で1曲にする → 音源と権利を確認するという流れが無駄が少なくなります。逆に、音源の確認を最後に回すと、練習を進めたあとで作り直しになることがあります。
「選曲が決まらない」の中身を分けて考える
ひとくちに決まらないと言っても、詰まっている場所は人によって違います。候補が思いつかないのか、候補はあるが比べられないのか、選んだあとに不安になって戻ってしまうのか。どの段階で止まっているかがわかると、読むべき記事も自然に決まります。候補そのものが浮かばない場合は、選曲の記事を読むより、まず自分がよく聴いている曲を書き出す作業から始めるほうが早いこともあります。
決めた選曲を、次の投稿につなげる
1本ごとに毎回ゼロから選び直していると、そのたびに同じ迷いを繰り返すことになります。投稿が終わったタイミングで、次のことを短く残しておくと、次回の選曲が軽くなります。
- 今回の目的は何だったか、そして達成できたか
- 最後まで残ったのに選ばなかった曲(次の候補になります)
- 録音や編集で特に時間がかかった要素(次の難易度を見積もる材料になります)
- 聴いた人からどんな反応があったか
特に2つ目が効きます。前回の選曲で最後まで迷った曲は、条件の確認がすでに済んでいる候補です。そこから選べば、次は絞り込みの工程を丸ごと省けます。
3つ目も見落とされがちです。前回どこに時間がかかったかを覚えておくと、次の曲を見たときに「これは同じところで詰まりそうだ」と予測が立ちます。難易度の見積もりは経験が増えるほど当たるようになるので、記録が積み上がるほど選曲そのものが短時間で終わるようになっていきます。
曲は決まった。それでも歌いこなせる気がしないとき
軸を決めて候補を絞っても、いざ録ってみると思っていたところに届かない、ということは起こります。何度も録り直して同じ場所で止まるなら、自分の耳だけでは足りていない合図かもしれません。教室選びを活動の段階から整理した記事では、投稿を始めたばかりの頃、続いているのに反応が伸びない頃といったように、状況ごとに何を優先するかを分けて説明しています。同じ費用を録音まわりに回した場合と見比べる項目や、体験の場で確かめておきたい点も載っているので、通う前提でなくても判断の材料になります。
最初の一曲を、具体的に挙げてほしいとき
選び方の軸が分かっても、結局どれにするかで止まってしまうことがあります。候補を具体的に見たい場合は歌ってみた初心者でも歌いやすいボカロ曲おすすめ15選から選ぶのが早道です。歌いやすさの条件を三つに整理したうえで、バラード系と音域が狭めのポップスに分けて挙げています。
音域は足りているのに、歌いきれない曲の見直し方
「音域が合っているか」をクリアしたはずなのに、録ってみると最後まで持たない。この詰まり方はかなり多く、原因は音域の不足ではないことがあります。最高音そのものは出せていても、メロディーが長く居座る高さが自分の楽な範囲より上にあると、一曲通したときだけ苦しくなります。
候補を外す前に、次の四点を分けて確かめてみてください。どれが引っかかっているかで、打つ手が変わります。
| 確かめる項目 | 見方 | 引っかかったときの対処 |
|---|---|---|
| 最高音 | 2〜3秒まっすぐ伸ばせるか | 届かないならキーを下げます。1〜2ずつ動かします |
| 最高音が出る回数 | 一度だけか、サビのたびにくり返すか | くり返すなら、届く高さよりもう半音〜1音ぶん余裕を残します |
| メロディーが留まる高さ | Aメロとサビ、それぞれ中心になっている高さ | 楽に出せる上限より半音〜1音低いあたりに収まる曲を選び直します |
| 最低音 | キーを下げたあとも音として鳴っているか | かすれるなら下げすぎです。最高音側は別の手段で処理します |
三つめの見方と、候補曲をその基準で絞り込む手順は最高音は出るのに歌いきれない曲にまとめています。そもそも自分の上限と下限が音名で出ていない場合は、自分の音域の調べ方・測り方から先に進めると、以降の選曲がずっと速くなります。
一度外した曲が、歌い方を変えると候補に戻ることがあります
合わないと感じた理由が、音域ではなく歌い方の前提だったという場合もあります。同じ高さでも、バラードのつもりで丁寧に置きにいくのか、ロックのつもりで前のめりに当てにいくのかで、必要な息の量も喉の使い方も変わります。ジャンルごとの当て方や語尾の処理を切り替える考え方はジャンル別の歌い分けで扱っています。
ですから、外した曲はその場で消さずに「今の歌い方では合わなかった」とだけ書き残しておくことをおすすめします。前の項で触れた「最後まで残ったのに選ばなかった曲」と同じで、条件の確認が済んでいる候補は、あとから効いてきます。
テーマ別のボカロ曲まとめから探す
「何を歌うか」が決まらないときは、テーマを1つ決めてから曲を探すほうが早いことがあります。歌い手部では、歌ってみた向けの難所つきで曲をまとめた記事を用意しています。
上位記事は「音源が手に入るか」を選曲の条件そのものに入れています
歌ってみたの選曲を扱う上位記事を読み比べると、選曲のポイント5つのうち1つに「オフボーカル音源が入手できる曲を選ぶ」を置き、避けたい例にも「オフボーカルが公開されていない曲」を挙げている構成が共通していました。音源の有無を、練習に入る前の足切り条件として扱っているわけです。
この記事では、音源と権利の確認を選曲の次の工程として案内してきました。順番としては自然ですが、候補を3曲から5曲に絞る時点で一度目を通しておくと、練習を進めたあとで曲を差し替える手間を減らしやすくなります。
候補を絞る段階で見ておきたい3項目
| 見る項目 | 候補出しの段階で分かること |
|---|---|
| 公式のオフボーカルが配布されているか | 配布がない曲は、伴奏を自分で用意するかどうかの判断が先に必要になります |
| キー変更や尺の加工について案内があるか | 自分のキーに動かす前提で選ぶなら、配布ページの記載を先に読んでおくと後戻りが減ります |
| 投稿したい場所で扱える曲か | 投稿先ごとに前提が異なるため、曲を決める前に確認しておくと判断が分かれにくくなります |
それぞれの調べ方はオフボーカル音源の扱い方と歌ってみたと著作権に分けてまとめています。この段階でやることは多くありません。候補リストの横に「音源あり」「なし」「未確認」の3つを書き足しておくだけでも、次の工程に入る順番を決めやすくなります。
テンポは数字ではなく「一息に入る言葉数」で見る
上位記事では、テンポが速すぎる曲を初投稿で避ける項目として挙げているものが複数ありました。ただ、同じ速さでも負荷は一定ではありません。休符が多い曲と、言葉が切れ目なく続く曲とでは、息の使い方がまったく変わります。
候補曲のサビを一度、歌詞を見ながら口に出して読んでみてください。読み切れない箇所があるなら、その曲は自分にとって速い曲です。音域は曲の音域の調べ方で数値にできますが、言葉数の負荷は読んでみるほうが早く分かります。
「未確認」のまま練習に入ったときに起きること
候補の段階で音源を見ていないと、練習が進んだあとで条件に気づくことがあります。歌い込んだ曲を外すのは、時間の問題だけでなく気持ちの面でも負担が大きくなります。逆に、候補が5曲あるうちの1曲を最初に外すのは、まだ何も積み上げていない分だけ楽です。確認の順番を前に倒すことの意味は、ここにあります。
もう一つ、調べた内容をメモに残しておくことをおすすめします。どこで配布を確認したのか、どんな記載があったのかを一行ずつ控えておくと、次の選曲でも同じ作者の曲を調べ直さずに済みます。投稿を続けるほど候補は増えていくので、曲ごとに調べ直すより、自分用の一覧を育てていくほうが手間が少なくなります。
メモの形式は凝らなくてかまいません。曲名、確認した日、見たページ、分かったことの4つが並んでいれば十分です。あとから自分で説明できる状態になっていることのほうが、書式を整えることより役に立ちます。
基準はわかっても、最初の候補がまったく浮かばないこともあります。その場合は歌ってみた初心者向けに選んだボカロ曲7選のように曲数を絞ったリストから、気になる1曲を拾ってみてください。
候補曲が「管理楽曲」かどうかを、選ぶ段階で調べておく
選曲を扱う上位記事を読み比べると、選曲の手順の中にJASRACやNexToneでの確認を入れているものが複数ありました。この記事ではここまで「投稿したい場所で扱える曲か」とだけ書いてきたので、その中身を選曲の作業として補っておきます。
歌ってみたで歌う曲には、作詞・作曲の著作権を管理団体が預かっている曲と、作者が自分で管理している曲があります。どちらに当たるかで、確認する相手が変わります。
| 確認すること | 調べる場所 | 分かったあとの動き |
|---|---|---|
| JASRACが管理している曲か | JASRACの作品データベース「J-WID」 | 投稿先がJASRACの許諾先の一覧に載っているかを見ます |
| NexToneが管理している曲か | NexToneの作品検索データベース | 扱いはNexToneの案内で確認します |
| どちらにも見つからない | 本家動画の概要欄、作者のサイトやSNS | 作者が示している利用条件に従います。条件が見つからなければ候補から外します |
JASRACの公式サイトには「JASRAC管理楽曲を含む動画をアップロード可能なサービス」の一覧があり、YouTubeとニコニコ動画も載っています。一覧のサービスでは、一般のユーザーが個別にJASRACへ利用許諾の手続きをしなくても、管理楽曲を使った動画を投稿できると説明されています。一覧は更新されることがあるので、投稿する前にその時点のページを見ておいてください。
ここで分かるのは、あくまで歌詞とメロディーの扱いです。伴奏の音源をどこまで使ってよいかは、これとは別に配布ページの条件で決まります。管理楽曲だからといって、CDや配信の音源をそのまま使ってよいことにはなりません。
クレジットに書く内容も、候補の段階で控えておく
調べた結果は、投稿するときの概要欄にそのまま使えます。本家動画、作詞・作曲者、音源の配布元を、候補リストのメモに一緒に残しておくと、投稿の直前に探し直す手間が減ります。書き方の型は歌ってみたのクレジット表記の書き方と概要欄の書き方にまとめています。権利の全体像を先に押さえたい場合は歌ってみたと著作権まとめから読んでください。
まとめ
選曲は「自分に合う(音域・声質)」×「見つけてもらえる(旬・定番・ニッチ)」の掛け算です。まずは似合う十八番で1本、そこから旬の曲や季節企画に広げていく——この流れなら、無理なく続けやすくなります。



















