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マイクの設定も録音レベルも整えたのに、録音した歌を聴き返すと「ゴトッ」「ドスッ」という低い音が混ざっている。歌っている最中に足を動かした、机に肘をついた、エアコンが動き出した——そんな心当たりがあるなら、原因はマイクが拾った空気の音ではなく、床や机から伝わった振動かもしれません。
この振動由来のノイズを抑えるための道具がショックマウント(マイクサスペンションホルダー)です。マイクをゴムやゴムひもで宙づりにして、スタンドから伝わる揺れをマイク本体に届きにくくする、とてもシンプルな機材です。ポップガードやリフレクションフィルターと違って地味な存在ですが、宅録では効き目を実感しやすいアイテムのひとつです。
この記事では、ショックマウントが何に効いて何には効かないのか、買ってから「マイクが入らない」「スタンドに付かない」と困らないためのマイク径とネジ規格(3/8インチ・5/8インチ)の見方、そして価格帯別のおすすめを6つ紹介します。紹介する商品はすべて2026年9月時点でAmazonの商品ページを確認したものです。
結論早見表:どのショックマウントを選べばいい?
先に結論だけ知りたい方向けに、タイプ別の目安をまとめました。詳しい理由は本文で解説します。
| こんな人 | 選ぶタイプ | 価格の目安 |
|---|---|---|
| とりあえず振動対策を試したい | 汎用タイプ(対応径を必ず確認) | 1,500〜2,500円前後 |
| ポップガードもまだ持っていない | ポップガード付きセット | 2,000〜3,000円前後 |
| 手持ちマイクの純正品を使いたい | メーカー純正の専用モデル | 3,000〜5,000円前後 |
| マイクアームに付けて長く使いたい | 耐久性重視のメーカー品 | 4,000〜12,000円前後 |
選び方でいちばん大事なのは、値段でも見た目でもなく「自分のマイクの直径に合うか」「自分のスタンドのネジに付くか」の2点です。ここを外すと、どんなに評価が高い製品でも使えません。
ショックマウントとは?振動ノイズを抑える仕組み
ショックマウントは、マイクを直接ホルダーで固定するのではなく、ゴムバンドやエラスティックコード(伸縮するひも)でカゴのように吊る構造をしています。よく見かけるクモの巣のような形は、この「吊る」ための構造です。
マイク、特にコンデンサーマイクは、空気の振動だけでなく本体に直接伝わった振動も音として拾ってしまいます。スタンドの脚が床に接している以上、床の揺れはスタンドの支柱を伝ってマイクまで届きます。マイクとスタンドの間にゴムを挟むことで、この伝わり方を弱めよう、というのがショックマウントの考え方です。
効きやすいノイズ・効きにくいノイズ
期待できるのは、あくまで「物を伝わってくる振動」に由来するノイズです。逆に、空気を伝わってくる音にはほとんど効きません。ここを誤解すると「買ったのに変わらない」となりがちなので、整理しておきます。
- 効きやすい:歌っているときの足踏み・体重移動、机に手や肘が当たる衝撃、椅子のきしみ、床を歩く音、机に置いたPCやエアコン室外機の振動がスタンド経由で伝わるケース
- 効きにくい:エアコンの吹き出し音そのもの、PCのファンの音、部屋の反響(残響)、外を走る車の音、息がマイクに当たる「ポッ」という破裂音
空気を伝わる音を減らしたいなら宅録の防音対策やリフレクションフィルター、息の吹かれ音にはポップガードと、対策する相手によって道具が変わります。ショックマウントはあくまで「振動担当」だと覚えておくと選びやすくなります。
効果は「なくなる」ではなく「減りやすくなる」
大事な前提として、ショックマウントを付けても振動ノイズがゼロになるわけではありません。ゴムで伝わり方を弱めているだけなので、床を強く踏んだり机を叩いたりすれば、それなりに入ります。効果を最大限に引き出すには、机置きのスタンドを床置きのブームスタンドに替える、スタンドの脚の下に厚手のマットを敷く、といった環境側の工夫と組み合わせるのが現実的です。
失敗しないショックマウントの選び方 3つのポイント
①マイクの直径(対応径)を必ず確認する
ショックマウント選びで最初に見るべきは対応するマイクの直径です。商品ページには「直径42〜48mm向け」「48mm-52mmに対応」のように必ず数字が書かれています。手持ちマイクの胴体のいちばん太い部分をメジャーやノギスで測り、その数値が範囲に入っているかを確認してください。
目安として、宅録で人気のマイクは50mm前後のものが多く、より本格的な大口径モデルは55〜60mm程度になります。マイクによってはケーブルを挿すお尻の部分だけ太い形状もあるので、「どこの直径を測ればいいか分からない」ときは、メーカーが出している純正の専用ショックマウントを選ぶのがいちばん確実です。
また、汎用タイプは「入るけれど、ゆるくてマイクがお辞儀してしまう」という失敗もあります。ゴムの張りが弱いと重いマイクを支えきれないことがあるため、マイクが重い場合は耐荷重の記載も見ておくと安心です。
②ネジ規格(3/8インチ・5/8インチ)の互換性
もうひとつのつまずきポイントがネジのサイズです。マイクスタンドやマイクアームの先端のネジには、大きく2種類あります。
| 規格 | 読み方 | 主な使われ方 |
|---|---|---|
| 3/8インチ | はちぶんのさん / 通称「3分(さんぶ)」 | 日本・欧州のマイクスタンドで一般的 |
| 5/8インチ | はちぶんのご / 通称「5分(ごぶ)」 | 米国系の機材・マイクアームで一般的 |
ショックマウント側の受けネジと、スタンド側のオスネジが合わないと物理的に取り付けられません。ただし、これは「変換アダプター(変換ネジ)」で解決できることがほとんどです。多くの製品には5/8インチ→3/8インチの変換アダプターが最初から付属しており、両方の規格に対応できるようになっています。
チェックの手順はシンプルです。
- 手持ちのマイクスタンド/マイクアームの先端ネジが3/8か5/8かを確認する(取扱説明書か商品ページに記載)
- 買おうとしているショックマウントの対応ネジと、変換アダプターの付属有無を確認する
- 両方が合わない場合は、数百円の変換アダプターを別途用意する
スタンド自体をこれから買う方はマイクスタンドの選び方もあわせて読むと、ネジ規格まで含めて組み合わせを決めやすくなります。
③構造・素材と、ポップガードの有無
吊り方には主に、太めのゴムバンドで支えるタイプと、細いエラスティックコードを張り巡らせるタイプがあります。どちらが優れているというより、ゴムは交換しやすくヘタりにくい傾向、コードは軽量で見た目がすっきりする傾向という違いで捉えると分かりやすいでしょう。いずれもゴム系素材は経年で劣化する消耗品なので、交換パーツが手に入るかどうかも長く使ううえでは判断材料になります。
また、ショックマウントとポップガードが一体になったセット商品もあります。まだポップガードを持っていないなら、別々に買うより安く、取り付け位置も決まっているので設置が楽という利点があります。一方で、ポップガードの位置調整の自由度は独立型のほうが高いため、すでに気に入ったポップガードがある人はショックマウント単体を選ぶほうが無難です。
歌い手向け ショックマウントおすすめ6選
ここからは具体的な製品を紹介します。選定基準は、(1)2026年9月時点でAmazonに在庫があり商品ページを確認できること、(2)対応マイク径がページに明記されていること、(3)予算1,500円台から1万円台まで価格帯が分散していること、の3点です。順位付けではなく、価格の安い順に並べています。価格は変動するため、購入前にリンク先で最新の価格を確認してください。
1. AORO マイクショックマウント(48mm-52mm対応)
まず試してみたい人向けの、汎用サスペンションホルダーです。対応径は48mm〜52mmと明記されており、この範囲に収まるマイクなら幅広く使えます。角度調整に対応し、実売1,800円前後(2026年9月時点・変動あり)と手を出しやすい価格帯です。「ショックマウントが自分の環境で効くのか、まず確かめたい」という段階に向いています。
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2. GRANPRO ショックマウント&ポップガード セット
ショックマウントとポップガードがセットになったモデルです。商品ページにはMPM1000、AT2020、SLシリーズへの対応が記載されており、これらのマイクを使っている、あるいはこれから買う予定の方なら組み合わせを迷わずに済みます。実売2,300円前後(2026年9月時点・変動あり)で、ポップガードまで一度に揃うのがこの価格帯の強みです。
吹かれ音対策と振動対策をまとめて始めたいスターターセット段階の人と相性がいい一本です。
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3. GATOR Frameworks GFW-MIC-SM4248(直径42〜48mm向け)
スタンドやアクセサリーで知られるGATOR Frameworksのユニバーサル・ショックマウントです。直径42〜48mm向けと対応径がはっきり分かれているのがこのシリーズの特徴で、自分のマイクに合うほうを選べます。実売3,900円前後(2026年9月時点・変動あり)、国内正規品として販売されています。
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4. オーディオテクニカ AT8458a
オーディオテクニカ純正のショックマウントで、商品ページに対応製品としてAT2020・AT2035・AT2050・AT2040が明記されています。宅録で定番のAT2020系を使っているなら、径やネジで悩む必要がないのが最大の利点です。実売3,700円前後(2026年9月時点・変動あり)。
コンデンサーマイクだけでなくダイナミックマイク用としても案内されているモデルです。マイク選びから見直したい方はコンデンサーマイクの選び方もあわせてどうぞ。
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5. GATOR Frameworks GFW-MIC-SM5560(直径55〜60mm向け)
上で紹介したGATORの、直径55〜60mm向けの大口径モデルです。胴体が太めの大口径コンデンサーマイクを使っている場合、42〜48mm向けでは入らないので、こちらを選ぶことになります。実売4,400円前後(2026年9月時点・変動あり)。
「自分のマイクがどちらか分からない」という場合は、必ず先に胴体の直径を測ってから注文してください。
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6. RODE PSM1 / RODE SM6
マイクメーカーRODEの純正ショックマウントです。PSM1はRODEのProcaster/Podcasterといった放送用マイク向けとして案内されているモデルで、実売7,700円前後(2026年9月時点・変動あり)。SM6はサイズがH21×W13.3×D21cm、重量682gとしっかりした作りで、実売11,000円前後(2026年9月時点・変動あり)です。
価格は上がりますが、対応マイクがはっきりしている純正品は「合わなかった」という失敗が起きにくいのが利点です。RODE製マイクを使っている、あるいは買い替えを検討している方は候補に入ります。
買ったあとに効果を引き出す使い方
ショックマウントは付けて終わりではありません。次の点を意識すると、振動由来のノイズをさらに抑えやすくなります。
- マイクケーブルをピンと張らない:ケーブルが張っていると、そこを伝って振動がマイクに戻ってきます。少したるませて、ケーブルの重みでマイクが傾かない程度に固定しましょう
- マイクを机置きから床置きに変える:机は手や肘の振動が伝わりやすい場所です。ブームスタンドで床から立てるだけで状況が変わることがあります
- スタンドの脚の下にマットを敷く:厚手のラグやジョイントマットを1枚挟むだけでも、床から伝わる揺れが弱まります
- ゴムのヘタりを定期的に確認する:マイクが下を向いてきたら交換のサインです
- 録音前にテイクを1本録って確認する:足を動かしながら1フレーズ歌って再生し、どの動作でノイズが出るかを把握しておくと本番で避けられます
録音時のノイズ対策全般については録音レベル(ゲイン)設定の記事もあわせて読むと、ゲインを上げすぎたことで振動音まで目立ってしまう、という別の原因にも気づけます。ゲインを下げても声が細くならないようにしたい方は、「マイクに乗る声」の作り方も参考にしてください。
まとめ
ショックマウントは、足音・机の揺れ・機器の振動といった「物を伝わってくるノイズ」を抑えやすくするための機材です。空気を伝わる音や部屋の反響には効かないので、ポップガードやリフレクションフィルター、防音対策と役割を分けて考えると失敗しません。
選ぶときのポイントは、あらためて次の3つです。
- マイクの直径が対応範囲に入っているか(測ってから買う)
- ネジ規格(3/8インチ・5/8インチ)がスタンドと合うか、変換アダプターは付属するか
- ポップガードを持っていないならセット品、純正が用意されているマイクなら純正品
1,800円前後から試せる機材なので、「録音した歌に低いゴトゴト音が入る」という悩みがあるなら、優先度は高めです。まずは手持ちマイクの直径を測るところから始めてみてください。



















