意外と気にしている人は少ないですが、
歌う時の姿勢はとても大切です。
正しい姿勢で歌ってみると、
とても声が出やすくなることがわかるはず。
歌うために必要な筋肉がちゃんと働き、
声が出しやすくなる正しい姿勢。
今回は、基礎中の基礎である
歌う時の姿勢についてお話します。
正しい姿勢で歌うとどうなるか?
姿勢が変わることで、
何がどう変わるのでしょうか?
姿勢を変えるメリットがないと、
わざわざ姿勢を変えようとは思いません。
そこで、まずは姿勢が変わることで
どうなるのか見てみましょう。
歌う時に必要な筋肉が動かしやすくなる
例えば、猫背の方だと
胸のあたりがカーブしています。
そのせいで肺の形が曲がってしまい、
腹式呼吸しにくくなります。
また頭が前に出ていると、
重い頭を支えるために首周りの筋肉を使います。
声を出す時に無駄な力が入ったり、
必要な力を入れることが出来なくなる。
その状態で声を出そうとすると、
声帯にも負担をかけてしまいます。
声が出しにくいだけでなく、
声が枯れる可能性もかなり上がる。
そうならないために、姿勢を良くして
筋肉をリラックスさせておく必要があるのです。
正しい姿勢をしていると、
歌う時に必要な筋肉が動かしやすいです。
無駄な力みもないため、
必要最低限の力を入れることができます。
声量が多く出るようになったり、
高い声が出しやすかったり。
声が枯れにくく、疲れにくくなるなど
良いこと尽くしなのです。
歌いやすい正しい姿勢のポイント
では、歌いやすい正しい姿勢をするには
どうすればいいのでしょうか?
正しい姿勢にはポイントが2つあります。
リラックスしている
リラックスしていて無駄な力みがないことが
大前提になります。
無駄な力が入っていると、
うまく声をだすことができません。
歌う前にストレッチをしたり、
ウォーミングアップをするなどしましょう。
ウォーミングアップについて、
こちらの記事で詳しく解説しています。
気になる方はぜひチェックしてください!
腰から頭まで一直線上にある
腹式呼吸をするための横隔膜、
空気を取り込むための肺。
そして、空気が通る気管支、
気管、首、喉・・・。
声を出すためには
本当に多くの器官が関わっています。
ホースのような管をイメージしてください。
このホースがねじ曲がって、
途中でつぶれていたらどうでしょうか?
空気が通りにくくなってしまいます。
空気が通りやすくするためには、
ホースがまっすぐになっている必要があります。
そのため、腰から頭までが
一直線になっていることが好ましいです。
身体が一直線になっているかわからない時は
壁を使うとわかりやすいです。
立って気をつけをした状態で
後ろ側をベタッと壁につけましょう。
後ろ全体がくっついている感覚です。
立って歌うときと、座って歌うときの違い
姿勢の解説はたいてい「立って歌う前提」で書かれています。ところが歌ってみたを作る人の多くは、パソコンの前に座って録音しています。立奏と座奏では崩れ方が違うので、自分がふだんどちらで歌っているかを踏まえて調整したほうが早く形になります。
| 立って歌う | 座って歌う(宅録) | |
|---|---|---|
| 主な場面 | カラオケ・ライブ・スタジオ | 自宅録音・弾き語りの一部 |
| 崩れやすいところ | 片足に体重が乗る/腰が反る | 骨盤が後ろに倒れる/背中が丸まる |
| 息の入りやすさ | 体を使いやすい | お腹まわりが縮こまりやすい |
| 気をつける点 | 両足に均等に体重をかける | 浅めに座り、足裏を床につける |
立って歌うときは「両足に均等」から
立って歌うとき、いちばん多い崩れは片足に体重が乗ることです。歌に集中すると、いつの間にか軸足ができて、腰が横に流れます。そうなると上半身も一緒に傾き、せっかくの一直線が崩れます。
足は肩幅くらいに開き、両足の裏全体で床を感じられる状態を基準にしてください。かかとだけ、つま先だけに乗っていると、バランスを取るために体のどこかに力が入ります。まっすぐ立とうとしすぎて棒立ちになるのも逆効果なので、膝は突っ張らせず、ほんの少しゆるめておくくらいがちょうどよい状態です。
座って歌うときは「浅めに座る」
宅録で椅子に深く腰かけると、背もたれに寄りかかる形になり、骨盤が後ろへ倒れて背中が丸まります。この状態は、記事の前半で説明した「ホースがつぶれた状態」に近づいてしまいます。
座って歌うときのポイントは次のとおりです。
- 椅子には浅めに座り、背もたれを使わない
- 足裏は両方とも床につける。届かないなら台や本を置く
- 足は組まない。骨盤が左右にねじれます
- キャスター付きの椅子は、歌っている間に少しずつ後ろに下がりやすいので注意する
座奏でも、腰から頭までが一直線という原則は変わりません。変わるのは「その一直線をどこから積み上げるか」で、立奏なら足裏から、座奏なら座面に当たっているお尻の骨からになります。宅録の環境そのものを整えたい人は歌ってみたの録り環境の作り方もあわせてどうぞ。
下から順に見ていく、姿勢のチェックポイント
姿勢は「全体をよくしよう」と考えると、どこを直せばいいのかわからなくなります。下から順番に一つずつ確認していくと、崩れている場所が見つけやすくなります。
足と重心
立奏なら両足に均等、座奏なら足裏が床に着いているか。ここがずれていると、上でいくら整えても土台から傾きます。歌う前に軽く足踏みをして、両足に同じだけ体重が乗る位置を探しておくと決めやすくなります。
骨盤と腰
「胸を張る」と言われて腰を反らせてしまう人は多いです。腰が反ると、お腹まわりが固まって息が入りにくくなります。反るのでも丸めるのでもなく、骨盤が立っている中間の位置を探してください。腰と壁のあいだに手のひらが1枚入るくらいが目安です。
胸と肩
胸は「張る」より「開く」イメージのほうが力みにくくなります。肩を一度耳のほうへ持ち上げて、そのままストンと落とす。落ちたところが、力の抜けた肩の位置です。歌っている最中に肩が上がってきたら、息を吸うときに肩で吸ってしまっているサインなので、その場でもう一度落とします。
首とあご
崩れがいちばん出やすいのが首とあごです。画面の歌詞を見ようとしてあごが上がる、逆に手元の紙を見ようとしてあごが下がる。どちらも喉のあたりが窮屈になり、声が出しにくくなります。
基準はあごが床と平行に近い位置。高い音のときにあごを突き上げる癖がある人は、鏡を見ながら「あごを動かさずに高い音を出す」練習をしてみてください。最初は出しにくく感じますが、慣れると余計な力が減ります。喉まわりの状態については喉を開く方法とコツが参考になります。
手の位置
意外と見落とされるのが手です。マイクを持たないとき、手のやり場がないと肩に力が入ります。軽く体の横に下ろす、片手で軽くお腹に触れておく、どちらでもかまいませんが、腕を組む・後ろで手を組むのは胸や肩が固まりやすいので避けたほうが無難です。
マイクの位置が、姿勢を決めてしまう
宅録で姿勢が崩れる原因の多くは、体の意識ではなくマイクの高さにあります。マイクが低いとあごが下がり、高いとあごが上がる。姿勢を直す前に、マイクの位置を直したほうが早いケースはかなり多いです。
マイクは口の高さに合わせる
基本は「自分がよい姿勢で立った(座った)ときの口の高さ」にマイクを持ってくることです。順番を逆にして、マイクの位置に自分を合わせにいくと、必ずどこかが歪みます。デスク用のアームやスタンドを使っている場合は、歌う姿勢を作ってから高さを合わせ直してください。
画面と歌詞の位置も一緒に決める
録音中に歌詞を見るなら、その画面や紙の位置も姿勢の一部です。マイクは正しい高さなのに、歌詞が机の上にあってずっと下を向いている、というのはよくある形です。歌詞はできるだけ正面、目線の高さに置いてください。
近づきすぎ・離れすぎに気をつける
マイクに近づこうとして首を前に突き出す姿勢も、体が縮こまる原因になります。距離を詰めたいときは首ではなく体ごと移動する、あるいはマイクの位置を動かすのが基本です。距離と声の乗り方の関係は歌ってみた録音での声量コントロールで詳しく扱っています。
長時間でも崩れないための工夫と、自分でのチェック方法
崩れるのは前提。仕組みで防ぐ
正しい姿勢を「作る」ことより、「保つ」ことのほうが難しいものです。録音を始めて30分もすると、たいていの人は最初の姿勢から崩れています。気合いで保とうとするのではなく、崩れにくい仕組みを作るほうが現実的です。
- 15〜20分ごとに立ち上がる。座奏なら特に有効です。一度立って座り直すと、骨盤の位置がリセットされます。
- テイクの合間に肩を落とす。1テイクごとに肩を上げて落とすだけで、蓄積した力みが減ります。
- 疲れてきたら音量を下げる。崩れた姿勢のまま声を張ると、力みで補う癖がつきます。
- 録音時間を区切って決めておく。「あと1テイク」を繰り返すのが、いちばん姿勢が崩れるパターンです。
疲れてきたときの声は、本人が思っている以上に力んだ音になっています。無理に続けず、日を分けたほうが結果的に良いテイクが残ることも多いです。力を抜く感覚そのものは脱力して歌うコツで扱っています。
鏡は「正面」と「横」の両方から見る
姿勢は、自分の感覚と実際の見え方がずれやすいものです。「まっすぐ立っているつもり」がいちばん危ないので、必ず外から確認してください。
正面の鏡でわかるのは、肩の高さの左右差と、頭が傾いていないかです。一方、猫背やあごの角度、頭が前に出ているかどうかは横から見ないとわかりません。姿見が1枚しかないなら、体を横に向けて首だけ回して確認するか、次の動画撮影で補います。
スマホで真横から動画を撮る
いちばん確実なのは、スマホを真横に置いて1曲まるごと撮ることです。確認するポイントを絞っておくと見やすくなります。
- 歌い出しと歌い終わりで、あごの角度が変わっていないか
- サビで肩が上がっていないか
- 息を吸うときに、上半身が持ち上がっていないか
- 座奏なら、後半で背中が丸まっていないか
音と映像を突き合わせる
動画を撮る一番の利点は、声が乱れた瞬間に体で何が起きていたかがわかることです。うまくいかなかった箇所を映像で見返すと、その直前にあごが上がっていたり、肩がすくんでいたりするのが見つかります。原因が見えれば、次のテイクでの直し方も具体的になります。
録音を聴き返して直していく手順そのものは録音でセルフ添削するやり方にまとめてあります。姿勢のチェックも、この流れに組み込んでしまうのが続けやすい形です。
姿勢の崩れは、歌っている本人の視界からいちばん外れる
鏡を使えば正面の姿は確認できます。ただ、この記事で挙げた片足に体重が乗る癖や、骨盤が後ろへ倒れる癖は、横から見ないと分かりません。しかも姿勢は歌い始めて数十秒たってから崩れていくことが多く、最初のワンフレーズを鏡で見た時点では問題なく映ることもあります。宅録で椅子に座って歌う場合は、曲が進むほど画面に近づいて背中が丸まる、という変化も起こりがちです。
まず試したいのは、スマホを体の横に置いて、1曲を通しで動画に撮ることです。音は一度置いておいて、体の線だけを見返すと変化を見つけやすくなります。
とはいえ「どこをどう直せば楽に声が出るのか」までは、映像だけでは決めきれない部分が残ります。姿勢と発声のつながりを見ながら指摘してもらえる場所として教室という選択肢もあり、対面のレッスンなら横からも後ろからも見てもらえます。オンラインと対面で確認できる範囲は変わるので、ボイトレ教室10校の比較を見てみるで受講形式の違いを確かめてみてください。
























