こんにちは、
ボイストレーナーのケイです。
私はいま、
たくさんの人を指導しています。
相手の目標や時間に応じて、
練習のメニューは変えていますが、
みんな等しく、
私の大切な生徒さんです。
その中で、すぐに上手くなる人と
なかなか上手くならない人に分かれます。
センスや才能、意思疎通能力など違うので、
当たり前と言えば、当たり前です。
ただ、私が思うに、
歌が上手くなる人はたくさん失敗しています。
失敗する回数もスピードも
失敗の質も全く違うと思います。
あの有名なエジソンの名言を
思い出してください。
「これは失敗ではない。
上手くいかない方法を一万通り発見しただけだ。」
電球を開発するために
何万回も挑戦したなんてすごいと思います。
人は上手くいかないと
すぐにやめたくなるものです。
それを何万回もやり続けるなんて
冷静に考えてすごいと思いませんか?
しかも一万回失敗したのではなく、
一万通り失敗したのです。
全て失敗の仕方が違ったというのが
さらに驚くべきポイントです。
それぞれの挑戦に意図があって、
意味のある失敗を積んできたのでしょう。
今日は、エジソンの言葉から
失敗について考えようと思います。
失敗は成功の母
失敗は成功の母という言葉も
エジソンが残した名言のひとつです。
私たちの人生は
失敗の連続だと思います。
告白をしてフラれたり、
自転車をこいでてケガをしたり…。
失敗の大小ありますが、
たくさんの失敗をして生きています。
自転車を乗れるようになるだけでも
たくさん転んだ記憶があります。
最初は補助輪をつけて、
自転車に乗る感覚を身につける。
次に補助輪を外して、
後ろを持ってもらいながら漕ぐ。
たくさん転んで、
たくさんケガをしたものです。
私たちの人生は
失敗99成功1くらいでしょうか?
もっと失敗が多いような気もします。
こうやって思うと、
どれだけ失敗しているんだと思います。
人生のほとんどは
失敗だらけだと冷静に思いました。
とは言っても、
それで良いような気もします。
人間は失敗からしか学べないと
思うからです。
今までの人の歴史を見ればわかりますが、
偉人たちはたくさん失敗を積んできました。
全く試行錯誤せずに
歴史的な発明をできた人はいません。
誰もが失敗を積み重ねる中で、
世の真理に近づいてきたのです。
じゃあ失敗をすればいいのかというと
そういうわけではありません。
成功の母にならない
悪い失敗もあると思います。
悪い失敗と良い失敗の違いを
ここでしっかり学んでください。
悪い失敗とは?
同じ失敗を繰り返す
これをすると失敗するとわかっているのに
ついついやってしまう失敗。
私もやりがちですが、
こういうのは悪い失敗です。
例えば夜ふかしをすると、
朝起きれないで寝坊してしまう。
今までの経験で
分かりきっていることです。
それなのにパソコンをしたり、
マンガを読んだりして夜更かししてしまう。
それで朝なかなか起きれず、
遅刻するかギリギリの生活をする。
人は学習して成長できる動物なのに、
全く学習できていないわけで。
これでは好きなことを
好きなだけやっているサルと変わりません。
後悔が残る失敗
また後悔が残る失敗は
悪い失敗と言えるでしょう。
なぜならば、
後悔は人をむしばむからです。
過ぎてしまったことを取り戻すことは
なかなかできません。
いつまでも過去にクヨクヨしていては
今にも未来にも目を向けることはできません。
後悔は人の成長を止めます。
ネガティブな気持ちに支配されて、
動けなくなっていきます。
後悔する失敗は
2つあると思っています。
人に言われるままやった失敗
自分で何か考えたわけでもなく
言われたようにやったこと。
こういう受動的な態度は
自分で責任を持とうとしません。
何かあった時に人のせいにしたり、
言い訳をしたくなるものです。
だから誰かを咎めたり、
やったことを後悔してしまうのです。
自分で納得しなかった失敗
また本心にウソをついて
やったことで失敗した場合。
この場合も
後悔の念が残ります。
「絶対こっちの方が良いと思うのに…。」
「このやり方じゃ失敗しそう…。」
そんな風に思っているのに、
流されてやってしまって失敗した。
そうなると誰もが、
「ほらやっぱり」という気持ちになります。
そして正直になれなかったことを
とても悔やむものです。
良い失敗とは?
チャレンジしてする失敗
では、逆に
良い失敗とは何でしょうか?
新しいことにチャレンジしてする失敗は
良い失敗と言えるでしょう。
この失敗は
エジソン的には失敗とは言いません。
むしろ成功に
一歩近づいたといえるわけです。
わからないことは
ひとまず挑んでみるに限ります。
百聞は一見にしかず。
やってみないとわからないことが
たくさんあるのです。
挑戦をしてみて、
思うような結果が出なかったとしても
それは確実に糧になっています。
次に繋がる失敗
失敗したとしても、
次に活かせる失敗は良い失敗です。
大抵のことは
なぜ失敗したのかわかるものです。
なぜ失敗したのか考えたり、
他の人のアドバイスをもらえば
失敗した原因を予想できて、
次にどうすればいいか考えることができます。
そうすれば、次に挑戦する時の
参考データになります。
そのような経験と知識が身についていけば、
確実に成功に近づいていきます。
良い失敗をするためには?
感情をできるだけ排除すること
悪い失敗をしてしまうきっかけは
ほとんどが感情です。
「今日は疲れているから
ちょっとだけお布団に入ろう…。」
そんな自分に甘い気持ち。
挑戦することに対する恐怖、
休んでいたいという怠慢。
そんな感情に突き動かされると
悪い失敗をしてしまいます。
逆に、感情を排除できれば
悪い失敗をしにくくなります。
自分がやりたいことが明確になっていれば
頑張ろうと踏ん張ることができます。
失敗を消化すること
プロ野球の野村監督は
こんなことを言っています。
私は『失敗』と書いて『成長』と読むことにしている。
まさに読んで字の如し。失敗を生かせる者はそれを放置するものに勝る。
それが『変化』となって現れる。一流選手、中心となっていく選手はみな修正能力に優れている。
野村克也
この言葉からもわかる通り、
失敗するだけでは成長できません。
なぜ失敗したのか?
次からはどうすればいいか?
そういうことを考えることの方が
よっぽど大切なのです。
つまり、良い失敗をするかどうかは
失敗した後どうするかで決まるのです。
失敗を「次に活かせる形」で残す
失敗が次につながるかどうかは、気持ちの持ちようだけで決まるわけではありません。その失敗が、後から確認できる形で残っているかという地味な条件のほうが効いてきます。頭の中だけで反省すると、翌日には「なんとなく上手くいかなかった」という印象しか残らず、同じところで止まりやすくなります。
歌の練習で残せるものは、大きく分けて3つです。録音そのもの、そのとき何を試したかというメモ、そして聴き返して気づいたことです。すべてを丁寧にやる必要はありません。1回の練習につき数行で足ります。
| 残すもの | やり方の例 | あとで何がわかるか |
|---|---|---|
| 録音 | スマホの録音アプリでよいので、練習の最初と最後に同じフレーズを1回ずつ録る | その日のうちに変化があったかどうか |
| 試したこと | 「口を縦に開けて歌ってみた」など、変えた点を1つだけ書く | 効いた条件と、効かなかった条件 |
| 気づいたこと | 「サビ前の息継ぎが間に合っていない」など、場所と症状をセットで書く | 次に直す候補 |
| 日付と曲名 | 録音のファイル名に入れておく | 同じ曲で、期間をおいてどう変わったか |
ここまで残しておくと、いま自分が「同じ失敗を繰り返している」のか「別の失敗に進んでいる」のかを、自分で判定しやすくなります。良い失敗と悪い失敗の線引きを、気分ではなく記録で行えるようにしておく、という考え方です。
録音を聴き返して「次に直す1点」を決める
録っただけで聴き返さない、というのはとてもよくある止まり方です。自分の声を聴くのが気まずいという理由もありますが、何を聴けばいいのかが決まっていないために、漠然と聴いて気落ちして終わってしまう、というパターンも少なくありません。聴き方をあらかじめ決めておくと、この負担が軽くなります。
3周に分けて、周ごとに役割を決める
- 1周目は通しで、止めずに聴きます。メモも取らず、「どこが気になったか」だけを覚えておきます
- 2周目は気になった箇所で止めて、その秒数と症状を書き出します(例:0分48秒・語尾が下がりきらない)
- 3周目は書き出した箇所だけを繰り返し聴き、原因の候補を1つずつ当てはめて確かめます
1周目から細かくメモを取ろうとすると、粗探しの作業になってしまい、曲全体の印象がつかめなくなります。全体の印象をつかむ周と、部分を分析する周を分けるのがポイントです。
直す1点は「次の練習で試せる大きさ」に切る
書き出してみると、気になる箇所はたいてい5個も10個も出てきます。ここで全部直そうとすると手が止まります。次に取り組む1点は、次の条件で絞ると決めやすくなります。
- 曲全体への影響が大きい(繰り返し出てくる箇所、サビなど聴かれやすい箇所)
- 直せたかどうかを自分で判定できる(録音で違いが聴き取れる)
- 1回の練習で試せる大きさになっている(「表現力を上げる」ではなく「Aメロの語尾を伸ばしきる」)
「歌が上手くなりたい」は目標としては正しいのですが、単位が大きすぎて、失敗したのか成功したのかを判定できません。判定できない挑戦は、本人が頑張っていても次につながりにくくなってしまいます。
同じところでつまずくときの切り分け
何度も同じ場所で引っかかるとき、根気の問題ではなく、原因の見立てがずれていることがあります。よくある症状と、次に試す候補を整理しました。当たりをつけるための目安であり、必ず当てはまるものではありません。
| 症状 | 考えられること | 次に試すこと |
|---|---|---|
| 毎回まったく同じ箇所でつまずく | その箇所だけ、通し練習の中に埋もれて練習量が足りていない | 曲を通さず、その数小節だけを繰り返す時間を別に取る |
| テイクを重ねるほど悪くなる | 疲れ、あるいは「今度こそ」という力みが増えている | 本命のテイクを早い段階に置く。1日の回数の上限を先に決めておく |
| 録音だと自分の歌が別物に聞こえる | 歌っている最中の聞こえ方と、録音の聞こえ方の差 | 判断の基準を録音側に寄せる。歌いながらの手応えは参考程度にする |
| 直したはずが、別の曲で再発する | その曲での通し方を覚えただけの状態になっている | 同じ課題を含む別の曲でも試し、再現するかを確認する |
| そもそも何が悪いのか自分でわからない | 比べる相手がなく、判断の基準を持てていない | お手本と自分の録音を、短い区間で交互に聴き比べる |
歌い出しのように、つまずく場所がはっきり決まっている場合は、その部分だけを取り出した練習に切り替えるほうが早いことがあります。歌い出しの入り方については歌い出しの音程・タイミングを外さないコツと練習法で扱っています。
振り返りのメモは1行で足りる
失敗を消化する、というと大げさに聞こえますが、実際に必要な作業はごく短いものです。練習の終わりに、次の3つだけを書き残しておく形をおすすめします。
- 今日変えたこと(1つだけ)
- その結果どうだったか(良くなった/変わらない/悪くなった)
- 次にやること(1つだけ)
大事なのは、一度に変える条件を1つに絞ることです。口の開き方と息の量とマイクとの距離を同時に変えると、良くなっても悪くなっても、どれが効いたのかがわかりません。変数を1つずつ動かすほうが、遠回りに見えて結果的に判断が早くなります。
また、録音の条件そのものが毎回ばらついていると、歌の変化なのか設定の変化なのかが区別できなくなります。入力レベルなどの録音条件を固定しておく考え方は録音レベル(ゲイン)の設定方法にまとめています。
そして、振り返りが十分にできていても、作品を世に出す段階でつまずくことがあります。投稿の前で手が止まってしまう場合は、失敗の質の話とは別の対処が必要です。そちらは歌ってみたを投稿するのが恥ずかしい・怖い人へを参考にしてください。活動全体の進め方を整理したい場合は歌い手の始め方ロードマップもあわせてどうぞ。























