【努力は平気で嘘をつく!!】質の高い練習をするためには?

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ボイストレーナーを始めてから
たくさんの方を指導してきました。

その中で頑張っているのに、
なかなか結果が出ない人もいます。

 

頑張っているのに上手くならないのは
その人の能力の問題でしょうか?

理解力が乏しいせいで、
実践できていないせいでしょうか?

 

そう切り捨てるのは簡単ですが、
今回はじっくりと考えてみたいと思います。

なぜ必死に努力しても
なかなか上手くならない人がいるのか?

質も高い練習をするためには
どうすれば良いのか?

一緒に考えていきましょう。

 

努力は人を裏切る

努力は裏切らないという言葉を
座右の銘にしている人もいるでしょう。

努力は必ず報われると信じて、
頑張っている人もいるでしょう。

 

それ自体を否定するつもりはありませんが、
本当にそうでしょうか?

どんなに努力しても
結果が出ないことの方が多くないですか?

結果が出なかったのは
努力が足りなかったからでしょうか?

 

ダルビッシュ有さんが
Twitterでこんなことを言っていました。

練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ。

ーダルビッシュ有

 

結果を出している人だからこそ
言葉に重みがあります。

私もダルビッシュ選手と
全く同じ意見です。

 

練習をする上で必要なのは
頭を使って考えることでしょう。

簡潔に言うと、目的意識です。

 

目的意識とは?

目的意識とは「なぜそれをやっているのか」を
明確に分かっていることです。

「何のためにやっているのか」を
明確に意識すること
です。

 

どんな練習をするにしても、
練習をする目的があるはずです。

声量を増やしたいとか、
腹式呼吸を身につけるとか。

その目的を理解した上で、
練習しているかどうかが大切です。

 

目的意識で何が変わるの?

効果が出るようになる

同じことを同じ時間やっても、
上達するスピードは異なります。

この差を作り出すものこそが
目的意識なのです。

 

リップロールをしている2人の人を
例に挙げて考えてみましょう。

 

リップロールは有名なので、
ほとんどの本やサイトに書いてあります。

それで何となく作業として
リップロールをしている人。

リップロールをする理由を知った上で、
音程が取れるようになりたいから練習する。

リップロールをやる目的を
しっかり決めてからやっている人。

 

どちらの方が
歌が上手くなりそうですか?

おそらく後者の方が
上手くなりそうだと思うでしょう。

 

前者はただの作業でしかなく、
後者こそが練習と言えるでしょう。

目的がわかっているからこそ、
やり方を工夫することができるのです。

 

やることが楽しくなる

誰でもそうですが、
作業としてやらされるのは辛いです。

なんでやらないといけないのか
わからないことはやりたくないもの。

 

しかし、得られることを
イメージできたらどうでしょうか?

この練習を続ければ、
今より高い声が出るようになる。

高い声が出なかった歌が
気持ちよく歌えるようになる。

そう思うだけで、
練習にメリハリがつくでしょう。

 

目的意識を持つためには?

目的意識を持つためには
考えることがとても大切です。

「何のためにやっているのか」を
一度立ち止まって考えてみる。

 

すぐに答えられない場合は
その行動は要注意です。

何となくやってしまっていて、
作業化している可能性があります。

その行動をしている目的を
もう一度思い出してみましょう。

目的を「あとで確認できる形」に言い換える

目的意識を持とうと決めても、目的があいまいなままだと結局は作業に戻ってしまいます。ここで効いてくるのが「練習が終わったあとに、達成できたか確認できる形になっているか」という基準です。確認できない目的は、達成感も反省点も残りません。

よくあるあいまいな目的を、確認できる形に置き換えてみます。

あいまいな目的言い換えた目的練習後に確認すること
高い声を出せるようになるサビの一番高いフレーズを、力まずに最後まで歌い切る録音を聴いて、語尾で音程が落ちていないか
音程を良くするAメロの跳躍する2小節だけ、外さずに歌うその2小節だけを繰り返し聴き、ぶら下がりがないか
表現力をつける1番と2番のサビで、音量の付け方を変える聴き比べて、違いが自分でわかるか
リズム感を良くする手拍子を入れながら1コーラス通し、ズレたところを記録するズレた箇所が前回と同じか、減っているか
息が続くようにする決めたブレス位置どおりに1コーラス歌う録音でブレス位置が計画と一致しているか

右の列がある目的は、練習の終わりに「できた・できなかった」を自分で言えます。この確認が入るかどうかが、同じ時間を使っても差になりやすい部分だと考えられます。なお、ここで挙げた言い換えは例であって、どれをやるべきという話ではありません。自分が今つまずいている箇所に合わせて作り直してください。息の配分に関する目的を立てたい方は歌う時に腹式呼吸は意識しなくていい?の切り分けが手がかりになります。

1回の練習を組み立てる

目的が決まったら、次はその日の練習の中身です。行き当たりばったりで歌い続けるより、大まかな型を持っておくと、目的から外れにくくなります。時間配分は目安なので、自分の使える時間に合わせて縮めたり伸ばしたりして構いません。

  1. 準備(5〜10分程度)——いきなり本気で歌わず、軽く声を出して体を慣らします
  2. 課題を1つだけ扱う(15〜20分程度)——その日決めた目的に関係する箇所だけを取り出して練習します
  3. 通しで歌う(1〜2回)——部分練習の成果が曲の中で使えるかを確認します
  4. 録音を聴く(5分程度)——歌いっぱなしにせず、必ず聴く時間を取ります
  5. 記録する(2〜3分)——できたこと・次回に持ち越すことを1行ずつ書きます

この型でいちばん省略されやすいのが4番と5番です。歌っている時間だけを練習だと考えると、聴く時間と書く時間が無駄に思えてしまいます。しかし、確認と記録がないと、次の練習でまた同じところから始めることになりがちです。

2番の「課題を1つだけ」も重要です。あれもこれもと欲張ると、結局どれも中途半端になり、しかも何が効いたのかがわからなくなります。1回の練習で変える要素を1つに絞っておくと、変化と原因を結びつけやすくなります。

練習が「作業」に戻っていないかを見張る

目的意識は、一度持てば続くというものではありません。同じメニューを繰り返しているうちに、いつのまにか手が勝手に動くだけの状態に戻っていることがあります。次のような状態が出てきたら、いったん立ち止まる合図と考えてよいでしょう。

  • 今日の練習で何を確認したのか、終わったあとに思い出せない
  • メニューの順番だけは覚えているが、それぞれの理由が説明できない
  • 録音を撮っているが、ほとんど聴き返していない
  • 先週と今週で、書いた課題がまったく同じ文言になっている
  • うまくいかない箇所を飛ばして、歌える部分だけを繰り返している

最後の項目は特に起こりやすい現象です。歌える部分は気持ちよく歌えるので、時間がそちらに吸い寄せられていきます。練習時間が長いのに変化が乏しいと感じるときは、まず時間の中身がどこに使われているかを見てみるとよいでしょう。同世代の歌い手がどれくらい練習しているのかが気になる方は、歌の練習時間に関する調査の結果と、その読み解きも参考になります。

記録は短くていい

記録というと大げさに聞こえますが、1回3行で十分です。「今日の目的」「できたこと」「次回やること」。これだけでも、週の終わりに見返したときに流れが見えます。録音ファイルと一緒に日付で管理しておくと、あとから聴き比べもしやすくなります。ファイルの整理方法は歌い手のための録音データ管理・バックアップ術にまとめています。

また、練習メニューそのものの引き出しが少ないと、目的に合うやり方を選べません。順番としては、先に目的を決めてからメニューを探しに行くほうが選びやすくなります。メニューを先に決めてしまうと、そのメニューでできることに目的のほうを合わせることになりがちです。

独学でつまずきやすいところ

ここまでの手順は一人でも回せますが、独学には構造的に難しい部分が残ります。立てた目的そのものが妥当かどうかを、自分では判定しづらいという点です。「音程を良くする」つもりで練習していたのに、実際の課題はリズムだった、というようなズレは自分では気づきにくいものです。

対処としては、録音を時間を空けて聴く、曲を知らない人に聴いてもらう、といった方法があります。それでも判断がつかないときや、練習の方向を一度整理したいときは、外部の視点を短期間だけ入れるという選択肢もあります。ボイトレ教室の比較記事では体験レッスンの内容や料金の考え方を並べていますので、検討材料として見ておくと判断しやすくなるかもしれません。通うことが前提という話ではなく、あくまで「客観的な確認をどこで得るか」の選択肢のひとつです。

なお、目的意識を持とうとするあまり、完璧な計画ができるまで練習を始められなくなる方もいます。計画そのものが目的化してしまう状態については、完璧主義者は歌が上手くならない!?で扱っていますので、心当たりのある方はそちらもあわせてご覧ください。



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