「音程は合っているのに、
なんか上手く聞こえない…。」
そんなとても惜しい歌を
歌っている人がたまにいます。
いくつか原因はありますが、
歌い終え方がとても大切です。
歌い終わりの印象が
強くイメージに残るものです。
歌い終え方が雑になってしまうと、
全体的に雑な印象を抱いてしまいます。
「歌い終え方ってどうすればいいの?」
と疑問に思う方がいるでしょう。
そこで、今回は
歌い終え方を4つに分けて説明します。
1:響きを加えて切る
この響きを加えて切るタイプは
自然に滑らかに歌い終える時に使われます。
そのため、歌の中で
よく使われる歌い終え方でしょう。
「一緒に」の音に余韻を残すためには
語尾の母音も小さく歌うと良いです。
「一緒にぃ」という感じです。
ただ母音を伸ばしすぎると
だらしなくなってしまうので注意です。
2:スパッと切る
このスパッと切るタイプは
言葉を歯切れよく切ることが特徴です。
子どもに話しかけているように
語尾を丁寧に発音することがポイントです。
言葉を切ることで間ができるので、
次のフレーズに注目を集めることができます。
特にアップテンポの曲では
間を作ることがカギになります。
3:まっすぐ伸ばす
このまっすぐ伸ばすタイプは
ビブラートを入れないのが特徴です。
少しずつ音を小さくしていって、
自然にフェードアウトするように歌いましょう。
フェードアウトするように歌うと、
余韻が残り、印象に残りやすくなります。
次のフレーズと間があって、
強調したいところで使いたいところ。
4:ビブラートをかけて伸ばす
このビブラートをかけて伸ばすタイプは
最初はまっすぐ伸ばすのが特徴です。
すぐにビブラートを使うと、
ウザく聴こえます。
余韻がとても残るので、
曲の中で特に大切なところで使われます。
語尾の処理をさらに詳しく知りたい方は、歌の語尾をきれいに歌うコツ|切る・伸ばす・フォール・消え際で具体的な使い分けを解説しています。
4種類をどう使い分けるか、曲の中で決める手順
語尾の処理は、種類を知っただけでは使えるようになりません。実際の曲では「このフレーズにどれを当てるか」を自分で決める必要があります。ここでは、決め方の手順を具体的にしておきます。
- フレーズの終わりに時間があるかを確認する…次の歌い出しまでの間が短いなら、伸ばす系は物理的に入りません。まずここで候補が半分に絞れます。
- そのフレーズが曲の中でどの役割かを見る…話を進める行なのか、聴かせどころなのか。役割によって余韻を残すか、切って前に進めるかが変わります。
- 原曲の処理を確認する…まずは原曲がどう処理しているかを聴き取り、同じことができるかを試します。真似できて初めて、崩す判断ができます。
- 歌詞に印を付ける…歌詞カードに「切る」「伸ばす」などの印を書き込みます。頭の中だけで管理すると、歌っている最中に判断が飛びやすくなります。
| フレーズの場面 | 向きやすい語尾の処理 | 理由 |
|---|---|---|
| Aメロの語り部分 | 響きを加えて切る | 言葉を自然につないで、話しているように聞かせやすいため |
| テンポの速いサビ | スパッと切る | 音が詰まっている中で余韻を作ると、次の歌い出しが遅れやすいため |
| Bメロからサビへ向かう最後の音 | まっすぐ伸ばす | フェードして次の展開に受け渡す形が作りやすいため |
| 曲の山場、間奏前の長い音 | ビブラートをかけて伸ばす | 時間があり、余韻を大きく取れる場所のため |
| 同じ歌詞が繰り返される箇所 | 1回目と2回目で変える | 同じ処理を続けると単調に聞こえやすいため |
最後の行が意外と大切です。同じフレーズを毎回同じように処理すると、上手い下手以前に「平坦」に聞こえやすくなります。1回目は素直に切り、2回目は少し余韻を残す、といった差を付けるだけでも印象が変わるとされています。
語尾でやりがちな失敗と直し方
語尾だけ音量が急に落ちる
フレーズの入りは元気なのに、終わりに向かって声がしぼんでしまうパターンです。多くの場合、息が最後まで残っていないことが関係しています。フレーズの頭で息を使いすぎていないか、そもそも吸う場所が足りているかを見直してみてください。歌詞にブレスの位置を書き込んでおくと、どこで足りなくなっているかが分かりやすくなります。
切ったつもりが「ッ」と詰まって聞こえる
スパッと切ろうとして、喉で息を止めてしまっているケースです。息を止めるのではなく息を送るのをやめるという感覚に置き換えると、詰まった感じが減りやすくなります。切ったあとに軽く息が抜ける状態を保つのがひとつの目安です。
ビブラートが最初からかかってしまう
伸ばし始めから揺れてしまうと、狙って掛けているというより不安定に聞こえがちです。「まっすぐ→途中から揺らす」の順番を守るだけで、印象がかなり変わります。メトロノームを鳴らして、何拍目から揺らすかを決めて練習すると再現しやすくなります。
母音が変わってしまう
「〜だから」を伸ばしたときに、最後が「あ」なのか「お」なのか曖昧になる、というものです。伸ばしている間に口の形が動くと起こりやすいので、伸ばし始めの口の形を最後まで保つことを意識してみてください。
録音して語尾をチェックする方法
語尾は自分で歌っている最中にはいちばん確認しづらい部分です。歌い終わった直後は次のフレーズの準備に意識が向いているため、実際にどう処理されたかは録音で確かめるのが確実です。
聴くときは、フレーズ全体ではなく語尾の1秒だけを繰り返し再生するのがおすすめです。チェックする観点は次の4つに絞ると迷いません。
- 音程が最後まで保たれているか(下がって終わっていないか)
- 音量が不自然に落ちていないか
- 切る位置がテンポに対して早すぎ・遅すぎになっていないか
- 息の音や口の音が目立っていないか
4つ目については、MIXの段階である程度扱うこともできますが、録りの時点で目立ちすぎているものは処理しきれないことがあります。処理の流れを知っておくと録り方の判断もしやすくなるので、歌ってみたMIXのやり方もあわせて読んでみてください。
語尾は「何拍分か」を先に決める
4種類のどれを使うかと同じくらい、どこまで伸ばすかで印象は変わります。感覚任せで伸ばしていると同じ曲でも歌うたびに長さが変わり、伴奏から浮いて聞こえます。楽譜どおりでなくて構わないので、自分の中で拍を決めておきます。
| 場面 | 長さの決め方の目安 |
|---|---|
| Aメロの短いフレーズ | 音符の長さぴったりか、やや短め。次の入りを待たせない |
| サビの途中 | 次のフレーズの入りの1拍前までに終える |
| サビの最後・曲の締め | 伴奏の区切りまで。どの拍で消えるかまで決める |
決めるときは、「伸ばす長さ」ではなく「切る位置」で覚えると安定します。「4拍伸ばす」より「3拍目の裏で切る」のほうが、テンポが多少変わっても同じ場所で切れるからです。
決めた位置は、伴奏を流しながらその拍で手を1回たたくだけでも確かめられます。歌わずに手だけで通してみて、伴奏の切れ目と自分のたたく場所が合っていれば、あとは同じ場所で声を止めるだけです。フレーズとフレーズの空白そのものの扱いは歌の「間」の取り方で詳しく扱っています。
曲調によって「基本の語尾」は変わる
4種類は等しく出番があるわけではなく、曲調ごとに使用頻度の高い型があります。迷ったときの初期設定として持っておくと、選ぶのに時間を取られません。
| 曲調 | 出番の多い語尾 |
|---|---|
| アップテンポ・ロック系 | スパッと切る。言葉が前に出て、リズムが立つ |
| バラード系 | まっすぐ伸ばす/ビブラートをかけて伸ばす。余韻を残す |
| アニソン・ボカロ系 | 響きを加えて切る。語数が多いので、短く整えつつ硬くしない |
同じ曲調でも、テンポが速いほど語尾を長く残す余裕は減ります。語数が詰まっている曲では、伸ばすより切るほうが収まりやすいと覚えておくと判断が早くなります。逆にテンポが遅い曲で短く切りすぎると、そこだけ言葉が置き去りになったように聞こえます。
あくまで初期設定なので、1曲の中で同じ型だけを並べれば単調になります。ジャンルごとに設定を切り替える考え方はジャンル別の歌い分け方にまとめました。フォールや息で消す処理まで引き出しを増やしたい場合は歌の語尾をきれいに歌うコツを参照してください。
語尾の音程が下がるときは、フレーズの頭を疑う
語尾だけ音程がぶら下がって聞こえるとき、原因が語尾にないことがよくあります。フレーズの頭で息を使いすぎていると最後まで息が残らず、支えが抜けて音が落ちます。語尾の処理をいくら練習しても直らないのは、このパターンです。
確認の手順は簡単です。同じフレーズを、頭の音量を6割くらいに落として歌ってみてください。それで語尾の音程が保たれるなら、語尾の処理ではなく息の配分の問題です。この場合に直すべきは語尾ではなく、どこで息を吸うかと、フレーズの頭をどのくらいの量で入るかのほうになります。
もうひとつ多いのが、伸ばしている間にじわじわ音が下へ寄っていくケースです。伸ばし始めの高さを耳で覚えておき、切る直前の高さが同じかどうかを録音で比べると、どの時点から落ちているかが分かります。途中から落ちているなら息の問題、最初から低いなら音を取る段階の問題と、切り分けられます。
4種類の外側:語尾を「上げる」処理と、意図せず上がってしまう語尾
ここまでの4種類は、語尾を切るか伸ばすかの処理でした。もうひとつ、語尾の終わり際で音を上に跳ね上げる処理があります。地声で歌ってきた語尾を、最後に一瞬だけ裏声(ファルセット)へ返す形で、ヒーカップと呼ばれることもあります。軽さや少し崩した感じを出したいときに使われる処理です。
語尾を上げる処理の練習手順
- まず裏声だけで、短く「ア」と出せるか確かめる。裏声が出にくい場合は、先にファルセットの練習から入るほうが近道です
- 地声で「ア」を伸ばし、最後に裏声の「ア」へ一瞬で移る。音程差は小さくてかまいません
- 移ったらすぐに切る。裏声のまま伸ばすと、返したのか裏返ったのか区別がつきにくくなります
- 実際の歌詞の語尾で試し、録音して狙った場所だけで起きているかを聴く
声帯の使い方を一瞬で切り替える処理なので、喉に力を入れて押し上げるより、息の流れに乗せて軽く返すほうがきれいに聞こえやすいとされています。腹式呼吸で息の支えを最後まで残しておくと、返したあとの音がかすれにくくなります。使う場所は1曲に数か所までにしておくと、くせとして聞こえにくくなります。メロディを崩す処理全般は歌のフェイクの入れ方で扱っています。
狙っていないのに語尾が上がるとき
反対に、意図していないのに語尾が高くなる、裏返ってしまうという悩みもあります。この場合は語尾の処理ではなく、音程のコントロールや声の切り替えの問題として考えます。
| 起きていること | 考えられる原因 | 最初に試すこと |
|---|---|---|
| 語尾だけ音程が少し高くなる | 伸ばしながら息を強めている | 伸ばし始めと同じ息の量で終える |
| 語尾で声がひっくり返る | 地声と裏声の境目あたりの高さで終わっている | キーを1つ動かして同じ箇所を試す |
| 語尾が上がって問いかけのように聞こえる | 話し言葉の語尾上げのくせが歌に出ている | 歌詞を読み上げ、語尾を平らに言う練習をする |
全体的に音が高めにずれる場合は音程が上ずる癖の直し方に、声が裏返りやすい高さの見つけ方は声区・換声点の解説にまとめています。
語尾についてよくある質問
語尾がうまくいかないのは、キーが合っていないから?
可能性はあります。フレーズの最後が自分にとって高すぎる音だと、そこまで余裕を持って歌えず、処理どころではなくなります。語尾だけが毎回崩れる曲がある場合は、キーを動かして同じ箇所を試してみてください。判断の目安は自分に合ったキーの選び方にまとめています。
原曲どおりに真似すべきですか
まずは真似から入るのが分かりやすい方法です。そのうえで、自分の声や解釈に合わせて変えていく形が一般的です。ただし変えるなら理由を持って変えるほうが、聴き手にも意図として伝わりやすくなります。
用語の意味が分からなくなりました
フォール、しゃくり、ブレスなど、語尾まわりでは似た言葉が多く出てきます。整理しておきたい方は歌い手用語辞典で確認してみてください。























