歌うことが好きな方の中には、歌の技術を磨いて
歌うまや有名な歌い手になりたいと思う人もいるでしょう。
しかし、ボイストレーニング教室に通いたくても、
時間や金銭面でなかなか難しいという方もいます。
そもそも、歌が上手くなるには、
どんなトレーニングしていけば良いのでしょうか。
さまざまな要素やトレーニングがありますが、
その中のひとつに腹式呼吸があります。
音程を安定させたり、声を太くしたりするためには、
腹式呼吸が重要と言われています。
腹式呼吸については下記記事で解説していますので、
気になる方はあわせてチェックしてください!
今回紹介するペットボトルを使ったボイトレ法は
腹式呼吸で深く吸う感覚を確かめやすい方法です。
ペットボトル練習法を実践して、
メリハリのある歌声を手に入れましょう!
ペットボトルを使ったボイトレの効果
腹式呼吸をマスターしやすい
先ほど話したように、歌う上で腹式呼吸は非常に重要です。
一方で「腹式呼吸ってどう練習すれば良いかわからない…。」
「歌っている時に、自分ができているかどうかわからない…。」
という方も多いでしょう。
今回紹介するペットボトルを使ったボイトレは
腹式呼吸の感覚をつかむ手がかりになりやすい方法です。
後ほどやり方を解説しますが、簡単に言うと
ペットボトルをくわえてへこませるというボイトレ法です。
ペットボトルをへこませるほどの空気を吸い込むためには、
深く息を吸うことが必要になります。
多く深く息を吸うためには、腹式呼吸の方が良いので、
効率的に腹式呼吸をマスターしやすいのです。
もちろん、腹式呼吸のコツをつかむと、
ペットボトルを使わなくとも実践できるようになります。
肺活量がアップする
腹式呼吸の感覚をつかみやすいだけでなく、
このボイトレ法は横隔膜周辺の筋肉強化にもつながります。
横隔膜を動かす筋肉が鍛えられると肺が大きく膨らむため、
息をたくさん取り込む感覚もつかみやすくなるとされています。
肺活量が増えると、ロングトーンを安定して発声できることや
歌にあわせて歌声の種類を変えるなどもしやすくなります。
肺活量を増やすメリットやその他の練習法は以下の記事で解説しています。
ペットボトルを使ったボイトレのやり方
STEP1:空のペットボトルを用意する
まずは空のペットボトルを用意しましょう。
500ミリリットルから2リットルまでいくつか種類がありますが、
初めて実践する方は500ミリリットルからスタートすると安心です。
容量が大きいほど多くの肺活量を必要とするため、
少しずつサイズアップしていくと良いでしょう。
500ミリリットルでも不安を感じる場合は、
つぶせるタイプの容器を選ぶのがおすすめです。
炭酸のペットボトルは硬いことが多いので、
最初は避けた方が良いです。
STEP2:息をゆっくり大きく吐ききる
キャップを開けた空のペットボトルを持って、
まずは息を吐きましょう。
これ以上息を吐き出せないというところまで
しっかりと息を吐き切ります。
STEP3:ペットボトルをくわえて息を吸う
息を吐ききったら、ペットボトルをくわえて
ペットボトルの中の空気を吸いましょう。
腹式呼吸が上手くできていると、
ペットボトルがべこべこ潰れると思います。
「これ以上へこまない」と思えるくらいまで吸えた方は、
容器のサイズを上げて実践するのもおすすめです。
思うようにへこまなかった場合は、
腹式呼吸を練習した後に再挑戦してみましょう。
ペットボトルを使ったボイトレの注意点
腹式呼吸を意識する
注意点としては、ペットボトルをへこませることではなく
正しく腹式呼吸を意識して実践することです。
音も出て結構楽しくなるのですが、あくまで自然な呼吸として
力まないことや腹式呼吸の練習ということ意識しましょう!
酸欠に注意する
このボイトレ法は息を大きく吸って吐くものになるので
酸欠にはくれぐれも気をつけましょう。
まずは無理をしないレベルからはじめ、
段々とレベルアップしていくことが好ましいです。
また、少しでも頭がクラクラするなど酸欠の症状が見られたら
すぐに練習をやめて、安静にしてください。
ペットボトル練習を「1回分」に組み立てる
やり方そのものは単純ですが、実際にやってみると「何回やればいいのか」「毎日やっていいのか」で手が止まりやすい練習です。回数を決めずに気が向いたときだけ吸っていると、続けても変化に気づけません。1回分の流れを先に決めておくと、後から振り返りやすくなります。
| 段階 | やること | 目安 | 見ておくこと |
|---|---|---|---|
| 前 | 肩を回し、姿勢を整えてから普通に呼吸する | 30秒ほど | 肩や首に力が入っていないか |
| 1セット目 | 吐き切る→くわえて吸う→口を離して吐く | 2〜3回 | へこみ方より、力んでいないか |
| 合間 | ボトルを置いて、普通の呼吸に戻す | 30秒以上 | 頭がふらつく感じがないか |
| 2セット目 | 同じ内容をもう一度 | 2〜3回 | 1セット目と感じ方が変わったか |
| 後 | ボトルを使わずに同じ吸い方を再現してみる | 2〜3回 | 道具なしでも同じ感覚が出せるか |
大事なのは最後の段階です。この練習の目的はボトルをへこませることではなく、道具がなくても同じ吸い方ができる状態に近づくことです。ボトルを置いた直後に同じ動きをなぞっておくと、感覚が残っているうちに歌のほうへ持っていきやすくなります。
回数を増やすより、間隔をあけるほうが扱いやすい
連続で何度も吸うと、息が苦しくなるだけで動きの確認になりません。1回のセット数を増やすより、合間をしっかり取って短く区切るほうが、体の状態を落ち着いて観察できます。合間に普通の呼吸へ戻す時間を入れておくのも、この練習を続けるうえで現実的なやり方です。
「うまくいっている」と「やり過ぎ」を切り分ける
既存の解説にもあるとおり、この練習は息を大きく出し入れするものです。だからこそ、途中で出てくるサインを見分けられるようにしておくと安心して続けられます。次の表は、練習中や直後に起きやすいことと、その場でどう扱うかを整理したものです。
| 起きていること | 考えられること | その場での対応 |
|---|---|---|
| ボトルがほとんどへこまない | 吐き切れていない/口の端から空気が漏れている | 吸う前に吐く側を長めにとり、口の閉じ方を確かめる |
| 肩が上がり、首すじに力が入る | 吸うことに力を使いすぎている | いったん中止し、姿勢を戻してから回数を減らす |
| 頭がふらつく、視界が白っぽくなる | 短時間に息を出し入れしすぎている | すぐにやめて座り、普通の呼吸に戻るまで休む |
| あごや口のまわりが疲れる | くわえる力が強すぎる | 軽く当てる程度に持ち替え、ボトルは手で支える |
| 翌日もだるさが残る | 1回あたりの量が多い | 次回はセット数を半分にして様子を見る |
この練習に限らず、体を使う練習は「もっとできる」と感じているところで終えるほうが続きます。なお、練習と関係なく違和感や痛みが続く場合や、休んでも治まらない場合は、自己判断で練習を重ねずに医療機関に相談してください。歌の練習全般で無理をしない目安については歌うと喉が痛い人は…原因と対策を徹底解説もあわせて読んでみてください。
ボトル選びと、道具としての扱い
口をつけて使う道具なので、選び方と管理は分けて考えておきたいところです。容量の話は既存の章にあるとおりですが、それ以外にも扱いやすさを左右する点があります。
- 形……表面に凹凸の少ないものは変形が見た目でわかりやすく、状態を判断しやすくなります
- 口の広さ……広すぎると空気が漏れやすく、狭すぎるとくわえる力が必要になります
- 硬さ……硬い容器は変形しにくいため、動きを目で確かめる用途には向きません
- 状態……一度へこんだまま戻らなくなったものは、同じ条件で比べられなくなるので交換します
衛生面では、使うたびに中を洗って乾かす、他の人と共用しない、飲みかけの容器を使い回さない、という基本的なところを押さえておけば十分です。練習用と割り切って1本を決めておくと管理が楽になります。
この練習が向いている場面、向いていない場面
ボトルを使う方法は、吸う側の感覚をつかむための入口として位置づけると使いどころがはっきりします。逆に、歌っている最中の息のコントロールや、フレーズの中で息が足りなくなる問題は、この練習だけでは扱いきれません。目的別に、次のように使い分けると迷いにくくなります。
- 吸う感覚がまだつかめない段階……この記事の方法から入る
- お腹の動きそのものを確かめたい……お腹から声を出す感覚をつかむ方法とコツ
- やってみたけれどできている気がしない……腹式呼吸ができない原因とコツ
- 歌の中で使えるようにしたい……正しい腹式呼吸を身につけよう
道具を使う練習は感覚が出やすい反面、道具に頼ったままになりやすい面もあります。数回続けて感覚が出てきたら、早めにボトルなしの練習と歌へつなげていくのが、遠回りにならない進め方です。
やり方のバリエーションと、負荷の違い
ペットボトルを使った練習として紹介されているのは、「くわえて吸い、へこませる」方法だけではありません。解説によって、吐く側を使うもの、息を細く吹きかけるもの、水を入れるものなど、いくつかの形があります。同じ道具でも負荷がかかる側が違うため、目的に合わせて選ぶと迷いにくくなります。
| やり方 | 手順の概要 | 負荷がかかる側 | 目的の例 |
|---|---|---|---|
| 吸ってへこませる | 吐き切ってからくわえ、中の空気を吸う(この記事の基本形) | 吸う側 | 深く吸う感覚をつかむ |
| 吐いて元に戻す | へこんだボトルをくわえたまま、息を吐き込んで形を戻す | 吐く側 | 吐く息を一定の量で出す感覚をつかむ |
| 飲み口を鳴らす | 飲み口に軽く口を当て、細い息を吹きかけて音を出す | 吐く側(弱め) | 細く長い息を保つ |
| 水とストローを使う | 水を少し入れ、差したストローから泡を立てながら声を出す | 声を出しながら吐く側 | 息と声を合わせる |
「吐いて元に戻す」は、吸う版と交互に行う形で紹介されることが多いやり方です。吸う版だけだと吸うことに力が偏りやすいので、吐く側を組み合わせると息の出し入れを両方確かめられます。水とストローを使うやり方は発声練習としての性格が強いため、手順や水深の目安はストローを使った発声練習の記事でまとめています。
負荷を左右する「穴の大きさ」と「隙間」
負荷の大きさは、容量や硬さだけでなく、空気が通る穴の大きさでも変わります。飲み口の口径が広いものは空気が一度に動きやすく、口径が小さいものほど少しずつしか通らないため、同じ量を出し入れするのに時間がかかります。キャップや容器に小さな穴を開け、その穴から空気を出し入れするやり方を紹介している例もありますが、穴が小さいほど抵抗は強くなるので、最初は大きめの穴から試すほうが無理がありません。自分で穴を開けるときは、刃物や千枚通しでけがをしないよう注意し、切り口に口が触れない位置にしてください。
もうひとつ見落としやすいのが、唇と飲み口の隙間です。隙間があると空気が漏れて負荷が下がり、へこまない理由を「呼吸筋が足りない」と取り違えやすくなります。へこみ方を前回と比べるときは、ボトルとくわえ方をそろえてから比べるようにしましょう。
水を入れる・穴を開けるときの衛生面
空のボトルを使うときの基本的な扱いは前の章のとおりですが、水を入れたり穴を開けたりすると、気をつけたい点が増えます。
- 水を使うやり方では、水は練習のたびに入れ替え、入れたまま置いておかない
- 穴を開けた容器や細いストローは中まで洗いにくいので、長く使い回さず早めに交換する
- 甘い飲み物が入っていた容器は残りやにおいが出やすいので、練習用には水やお茶の容器を選ぶ
- 練習用のボトルは飲み物用と分けて置き、うっかり飲み物用に戻さない
負荷を上げたくなったときは、容量・硬さ・穴の大きさのうち、一度に変えるのはひとつだけにしておくと、どの変更が合っていたのかを判断しやすくなります。深い呼吸を使う練習全体の組み立ては肺活量を鍛えるトレーニング法でも紹介しています。
ボトルで吸う練習と、歌の中の息継ぎの違い
ボトルを使った練習は、時間をかけて深く吸う動きを確かめるものです。一方、歌の中の息継ぎ(ブレス)は、フレーズとフレーズの短いすき間で行います。同じ「吸う」でも条件がかなり違うため、ボトルで感覚が出てきたら、その違いを意識して歌へ移していくと迷いにくくなります。
| 比べる点 | ボトル練習 | 歌の中の息継ぎ |
|---|---|---|
| 吸う時間 | 数秒かけてゆっくり吸える | 休符や言葉の切れ目の、短い間で吸う |
| 吸う量 | 吸えるところまで吸う | 次のフレーズに足りる分だけ吸う |
| 姿勢 | 止まった状態で整えられる | 歌いながら、姿勢を崩さずに吸う |
| 音 | ボトルがへこむ音がしてもよい | 吸う音が目立ちすぎないほうが聴きやすい |
| 目的 | 深く吸う動きそのものを確かめる | 次のフレーズを苦しくならずに歌い切る |
表のとおり、歌の中では「たくさん吸う」より「必要な分を短い時間で吸う」ことが求められます。吸いすぎると、かえって次のフレーズの入りで息を持て余すこともあります。
移すときは、いきなり曲で試すより、ボトルを置いて「短く吸って、数を数えながら吐く」を数回はさむと段階を踏めます。曲の中でどこで吸うかの決め方は歌の息継ぎ・ブレスのコツ、吸う音が気になる場合はブレスノイズを消すコツを参考にしてください。
背筋を伸ばした姿勢で行う
呼吸の練習は、背筋を伸ばした姿勢で行うよう案内されることが多いです。ボトルをくわえると、あごが前に出たり、のぞき込むように背中が丸まったりしやすくなります。ボトルは手で口の高さまで持ち上げ、目線を正面に保ったまま行いましょう。立っても座っても構いませんが、ふだん歌うときと同じ姿勢にそろえておくと、感覚を歌へ持ち込みやすくなります。
へこみ具合を、声量や筋力の目安にしない
ボトルがどれだけへこむかは、くわえ方の隙間や容器の硬さでも変わります。そのため、へこみ具合をそのまま声量の大きさや呼吸の筋力の目安として扱うのは避けたほうが無難です。声量は息の量だけで決まるものではなく、声の出し方や響かせ方も関わるとされています。ボトルは「吸う動きを確かめる道具」と割り切り、歌の変化は録音して聴き比べるなど、歌そのもので確かめるようにしましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?
身近なものを使って、腹式呼吸の感覚を掴み、
息を深く吸う練習にもなるボイトレ法でした。
ぜひ実践してみてください!
また、その他に身近なものを使ったボイトレ法として
ストローを使ったボイトレ法も紹介しています。
良かったらこちらの練習法もやってみてください!
























