歌が上手い人とそうでない人との差が
顕著に現れるのは滑舌です。
滑舌が悪い人は、いくら音程が
合っていようとも
下手に聞こえてしまいます。
歌はリズムやメロディーも大切ですが、
歌詞の意味を伝える必要もあります。
その上、歌詞は
歌の世界観を伝える大切な要素です。
「この歌詞良いなぁ…。」
と感動したことは誰にでもあるでしょう。
しかし、どんなに良い歌詞でも
言葉が伝わらなければ意味がありません。
何を言っているのか分からなければ、
感動することはないでしょう。
個人的に、歌の内容を伝えることは
歌う人の義務だと思います。
そこで、今回は滑舌が悪い原因、
滑舌を良くする練習法をお伝えします。
“滑舌が悪い”2タイプ
普段から滑舌が悪いタイプ
滑舌が悪いとコンプレックスを抱えている人は
このタイプが多いです。
普通に会話していて聞き返されたり、
友だちに滑舌が悪いと指摘される。
このパターンの人は歯並びが悪い、
舌が短いなどの原因が考えられます。
生まれつきの原因ですが、
練習することで改善することができます。
早口言葉などの話す練習をすることで、
舌を鍛えて、全体的に滑舌が良くなります。
歌うときだけ滑舌が悪いタイプ
普段は特に気にならないのに、
歌になると滑舌が悪くなる人もいます。
このパターンの人は
発声が良くないことが原因です。
例えば、喉を閉めて歌っていると
喉周りに余計な力が入ってしまいます。
そのせいで舌を上手く動かすことができず、
滑舌が悪くなってしまう。
この場合は、正しい発声法を身につけることで
リラックスして発音することができます。
滑舌を良くすることのメリット
歌詞をしっかりと伝えることができる
滑舌を良くすることで、
歌詞をしっかりと伝えることができます。
歌の世界観を伝える上で
歌詞は大切な要素です。
また人が感動をするのも、
歌詞によるものが強いでしょう。
歌詞を伝えることは
良い歌を歌うために必須なのです。
歌声が明るい印象になる
滑舌が悪く返事をする人と、
滑舌が良くハキハキと返事をする人。
どちらの人の方が
良い印象を与えられるでしょうか?
滑舌が良いとハキハキした印象が生まれ、
明るい印象を与えることができます。
歌うことに集中できる
意外なことかもしれませんが、
滑舌が良くなると歌が上手くなります。
滑舌が悪いと、
発音することに気を遣ってしまいます。
「しっかり発音しなきゃ…。」
と思いながら歌ってしまう。
そうすると音程やリズムに
全精神を集中させることはできません。
逆に滑舌が良くて、
特に意識しなくても良い発音ができる。
その結果、余裕が生まれて
音程やリズムに集中することができます。
良い声と発音は「口の形と舌の位置」が全て
良い声・発音 = 舌の位置 × 口の開き
まずはこの方程式を
頭の中に叩き込んでください。
上の図は日本語の母音「あ・い・う・え・お」の
正しい口の開きと舌の位置を
図解にしたものです。
縦軸は、口の開きを、横軸は
舌の前後の位置を表しています。
子音はさらに細かく分類されており、
舌の位置だけではなく、歯や
口蓋(口の上側の部分)についての
理想的な動きも決まっています
次に滑舌の悪さが顕著に出る、
分かりやすい子音3種類を紹介します。
私たちはしゃべる時に何気なく
やっていることですが、
口の中では上記のようなことが
繰り広げられています。
もし「自分は、サ行が苦手だ」
「英語の発音がうまくいかない」と
悩んでいる方は、
口の中の形や、どこで発音を
しているのかを分析してみましょう!
母音であるあ〜おの発音が曖昧だと
いくら子音がはっきり発音できても
聞く人に「滑舌が悪い」
という印象を持たれてしまいます。
逆もまた然りです。
自分の苦手な音を知ろう!
滑舌が良い・悪いという表現は
正しくありません。
というのも、どんな人にも
得意な音と苦手な音が存在します。
苦手な人が多い言葉で言うと、
サ行やガ行が挙げられます。
「サ」が「シャ」になってしまう。
ガ行を発音しようとすると、
言葉が詰まってしまう。
自分の苦手な音を知ることが
滑舌を良くする第一歩なのです。
自分の苦手な音を知るためには
50音を5回ずつ連続して口に出す
ようにしましょう。
「あ、あ、あ、あ、あ」
という感じです。
自分が苦手な音になると、
スピードが遅くなったり、噛みます。
できる限り早く声に出すことがコツです。
この方法は効果を実感するのに
時間がかかりますが、
回数を重ねていくうちに
「タ行は舌を意識すると発音しやすい」
「サ行は歯からしっかり空気を出すと良い」など
出しやすい発声をどのようにして出すか
自分の身体の感覚で覚えることが
できるようになります。
滑舌を良くする練習法
簡単!割り箸を使って表情筋を鍛える
滑舌を良くする上で、表情筋を
柔軟に使えるか同どうかはかなり重要です。
割り箸があれば簡単にできるものですので
是非トライしてみてください。
舌を歯の裏側に添えて
発音するのがポイントです。
- 割っていない状態の割り箸を2本用意する
- 割り箸の太い側を奥歯で軽く噛む。
このとき対面から見て割り箸は「ハ」の字を描いている - この状態で「らたなかさ」と言う
声楽のプロが伝授!舌筋トレーニング
前述した通り、滑舌は舌の位置が
とても重要になります。
しっかりコントロールできるように
舌の筋肉のトレーニングをしておきましょう。
- トレーニング中は口を閉じたままにする
- 舌を下クチビルと下ハグキの間に差し込む
- 舌の先に力を入れ、右端から左端にゆっくり移動する
- 左端まで移動したら、そのまま力をゆるめずに右端に戻る
- 以上の動きを三往復
- 三往復終わったら、そのまま舌を上クチビルと上ハグキの間に移動する
- さきほどと同じ動きを三往復
劇団四季がやってる!「母音法」
あの劇団四季が取り入れている
「母音法」です。
発声は一音一音の母音をはっきりさせる意識で。
口にする言葉はどんなものでもかまいません。
- 母音だけで話す
例:「よろしくお願いします」→「おおいうおえあいいあう」 - もとの言葉になおす
- 1と2をくりかえす
声優志望者もやってる早口言葉
早口言葉はいかにも
滑舌がよくなりそうですが、
オススメしたいのが声優志望者も
実践している『「び」のつく美少年』
最初はゆっくり正確に読めるように、
慣れてきたらスピードをあげるようにします。
ビュッフェで 美人に ビールをつぐ 美少年
ビルの屋上で ビスケットをかじる 美少年
ビキニ姿で ビーチを走る 美少年
便せんを びりびりにやぶく 美少年
ビーズ細工のビワを ビンに詰める 美少年
貧乏でも ビーバーを飼っている 美少年
びくびくしながら 美術品を扱う 美少年
ビヤガーデンの ビラを配る 美少年
出典:声優・俳優・アナウンサーのための滑舌練習帳
また、サ行が苦手な人も多いと思うので
下記の早口言葉も紹介したいと思います。
サメをサイクリングに誘ってみたいサイ
サバをくわえて逆立ちしたままサーフボードに乗っているサイ
出典:声優・俳優・アナウンサーのための滑舌練習帳
思い切り笑顔で笑う
あなたができる最大限の笑顔で、
思いっきり笑ってみましょう。
(恥ずかしいと思うので
誰も見ていないところで、
鏡を用意してやってみましょう)
滑舌には舌の筋肉だけが
重要だと考えている方がいますが、
口周りの筋肉も滑舌に大きく影響します。
正しい発声には言葉に適した
口の形が必要なので、
口周りがうまくコントロール
できていないと、
いくら舌を動かしても改善は難しいです。
顔の筋肉を鍛えるためにも、
人に見られると恥ずかしいぐらい、
顔をくしゃくしゃにして笑ってみましょう。
しばらくすると顔の筋肉が熱くなり、
キープすることに疲れてきます。
ちゃんと顔周りの筋肉が
動いていることを実感して、
これを何度か繰り返してください。
思いっきり笑うことは、口周りの
筋肉を鍛える上で効果的な方法です。
外でもトイレなどで簡単に
できるので、ぜひ毎日の練習に
取り入れてみてください。
天井に向かって思いっきり舌を出す「舌トレーニング」
天井に向かって思いっきり
舌を出す練習法です。
具体的な方法は、以下の通りです。
- 顔の正面と天井が平行になるように天井を向く
- 舌を天井に向けて思いっきり突き出す
- 数秒後、舌を戻して正面を向き直す
- 1~3を数回繰り替えす(無理のないように)
舌の筋肉と言われてもなかなか
イメージしにくいかもしれませんが、
意識的に鍛えるようにしておきましょう。
仰向けでゆっくり腹式呼吸
仰向けでゆっくり腹式呼吸をするのも、
滑舌改善に効果が出やすいです。
呼吸も滑舌に影響があると言われていて、
胸式呼吸よりも腹式呼吸のほうが
声量が一定になり、
滑舌が良くなるケースがあります。
仰向けで呼吸をしている状態は
自然と腹式呼吸になっているので、
お腹に手を当てて、
ちゃんと上下していることを確認してみてください。
慣れてくれば座った状態で、
以下のようなトレーニングを繰り返します。
1. 背筋を伸ばす
2. 鼻から息を吸う
3. 腹部に手を当てて、膨らみを実感する
4. 口から息を吐く
タングトリル
舌と息の量のコントロールを
同時に鍛えることができるのが
タングトリルです。
上あごに舌先を付け、一定量の息を吐き続けて
「トゥルルルル」と舌を振動させる技術です。
やり方について詳しくは
下記の記事を参照してみてください
滑舌が改善しない原因
舌の筋肉が弱い
良い滑舌には、舌のコントロールが重要です。
滑舌が悪い方は舌の筋肉が弱く、
うまくコントロール
できていない可能性が高いです。
特に、日本語は他の言語と比べて
口や舌の動きが少ないため、
日本人の多くは舌を動かす力が
不足していると言われています。
舌の筋肉が緩んでいるか、
簡単にチェックする方法があります。
それは、口を閉じた時の舌の位置です。
上の前歯の少し後ろに舌が
くっついているのが正常です。
もし舌が下の歯の裏や、
上の歯と下の歯の真ん中などにある場合、
舌の筋肉が衰えているかもしれません。
上記に該当する方は
舌の筋肉のトレーニングを
行うようにしてください。
口の開け方が悪い
舌だけでなく、口の開け方も
滑舌に影響します。
口が上手く開いていないと、
声がくぐもって相手に伝わりません。
口の動きには、表情筋が大きく関係します。
普段あまり会話をしない方、口角が下がっている方は、
表情筋が衰えやすいため要注意です。
表情筋のトレーニングを
中心にするようにしてください。
呼吸が浅い
呼吸が浅い状態も、
滑舌の悪さに影響します。
声は吐く息と合わせて発するものなので、
息が少ないと口や舌に
パワーが伝わりづらいです。
口呼吸をしていると呼吸が
浅くなりやすいので、
意識して鼻で息を吸うようにしてみてください。
またリラックスができていない状態だと、
緊張により無意識に息の量が少なくなりやすいです。
声を出す時は落ち着いて呼吸を整えて、
深く息を吐くことを意識しましょう。
姿勢が悪い
一見、全く関係なさそうに見える姿勢も
滑舌に関わってきます。
猫背などで姿勢が乱れていると、
空気の通りが悪くなり、声が出づらいです。
また首が前に出ていると
口がうまく開かなくなるため、
正しい形状を保てなくなります。
身体に一本芯が通っているかのように
キレイな姿勢を心がけましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
発声のメカニズム、
滑舌を良くする練習方法と
改善しない原因が分かったかと思います。
この記事の最初にも書きましたが、
歌が上手い人とそうでない人との差が
顕著に現れるのは滑舌です。
有名な歌い手さんとそうでない人の
歌を聴き比べてみてください。
有名な人は子音、母音ともに非常に
クリアに聞くことができ、
滑舌が悪い人は一人もいません。
それぐらい滑舌は重要な要素です。
今回紹介した練習を行い、
滑舌を良くしましょう!