「もともと鼻声っぽくて、
すごい気持ち悪い声になってしまう…。」
「話し声は普通だけど、
歌おうとすると鼻声になってしまう…」
歌を歌っていると、
たくさんの悩みが出てくるもの。
そのひとつが鼻声でしょう。
鼻声は違和感を覚える声と言われていて、
変な風に聞こえると思います。
しかし、意外と多くの人が
鼻声になっているという自覚はありません。
友だちに指摘されたり、録音した声を聞いて
初めて鼻声だと気がつくこともしばしば。
そこで、鼻声のチェックの仕方から治し方まで
しっかりとお伝えしたいと思います。
鼻声とは?
一言で鼻声と言っても、
鼻声には2つのタイプがあります。
- 鼻が詰まったような声
- 鼻に抜けたような声
鼻が詰まったような声
一般的に鼻声と言うと、
こちらの声を言っていることが多いです。
風邪をひいた時によくなる
鼻づまりの声です。
鼻が詰まると、息が鼻に抜けなくなり
鼻腔共鳴ができなくなります。
滑舌が悪いように聞こえ、
かなり歯切れの悪い声になります。
鼻に抜けたような声
発声の話で、共鳴という言葉を
よく聞くと思います。
このブログでもよく話していて、
鼻腔共鳴などが良く聞く例でしょう。
声帯で出る音はとても小さいため、
共鳴を使って声を響かせる必要があります。
その中でも重要なのが、
咽喉腔(口のスペース)と鼻腔(鼻のスペース)です。
簡単に言うと、この2つのスペースで
声を響かせて大きくしています。
この響かせる音のバランスが崩れてしまうと、
鼻に抜けたような声になってしまいます。
鼻声になってしまう原因
アレルギー性鼻炎など鼻の病気で、
慢性的に鼻づまりしている方がいます。
この場合は鼻声になってしまうため、
病院で治療する必要があります。
ただ、大抵の場合は
間違った発声法をしていることが原因です。
鼻にほとんど息を通さなかったり、
逆に大量の息を通している。
息のバランスが崩れているため、
鼻声になってしまいます。
鼻声かどうかチェックする方法
まず、ひとつ補足をしておくと
日本語には鼻声になる音があります。
マ行・ナ行・ンは
もともと鼻にかけて出す音です。
鼻声と言われる人は、
全ての音が鼻声になっている人のことです。
それでは、早速
鼻声かどうかチェックしましょう。
「あー」と声を出しながら
鼻をつまんだり、離したりしましょう。
鼻をつまむ前後で声が変わらなければ、
鼻声になっている可能性が高いです。
よくわからない場合は、
録音して聞くとハッキリとわかります。
鼻声の治し方
口と鼻の息の量を調節する
先ほどから言っているように、
息の量がポイントです。
鼻声の人の多くは
口よりも鼻から息が出ています。
鼻と口を手で覆って声を出すことで、
口と鼻の息の量を確認することができます。
鼻声になってしまう人は
鼻の方が息が多く出ているはず。
そこで口の方から多く出るように
息の量を調節しましょう。
口を大きく開ける
また、鼻声になってしまう人は
口をあまり開かない傾向があります。
息が出ることのできる出口が狭ければ、
息は鼻にいってしまう。
口を縦に開けることで、
咽喉腔共鳴を上手く使うことができます。
先に切り分けたい「練習で扱える範囲」
鼻声という言葉はとても広く使われていて、原因も一つではありません。ここで先にはっきりさせておきたいのは、発声の練習で扱えるのは、あくまで発声のしかたに由来する部分だけだということです。
鼻づまりなど体調によって声が変わっている場合、それは練習で対処する話ではありません。この記事も含め、歌の解説記事が扱えるのは体調が普段どおりのときの発声の話に限られます。体調による変化が気になるときは、この記事の内容を試すのではなく、無理に歌わずに様子を見るか、専門の窓口に相談してください。
そのうえで、体調は普段どおりなのに、歌うと鼻に寄って聞こえるという場合は、口と鼻へ流れる息のバランスや、口の中の空間の作り方が関係していると考えられます。以下はその範囲の話として読んでください。
歌の中で鼻に寄りやすい場面を特定する
「常に鼻声」という人は実はそれほど多くなく、多くの場合は特定の場面だけ鼻に寄っていることがほとんどです。全体を漠然と直そうとするより、どこで起きているかを絞ったほうが手が打ちやすくなります。
| 寄りやすい場面 | 起きていると考えられること | 試してみたいこと |
|---|---|---|
| 高い音に入ったとき | 口の開きが足りず、逃げ道として鼻側に寄っている | 同じフレーズを、音量を落として口を縦に開けたまま歌い直す |
| 小さく静かに歌うとき | 息の量が減り、口側の響きが相対的に弱くなっている | 弱く歌う部分だけを取り出し、口の開きは保ったまま音量だけ下げる |
| フレーズの語尾 | 言い終わりで力が抜け、音の出口が変わっている | 語尾の1音だけを取り出して、単独で発声してみる |
| 「い」「え」の母音のとき | 舌が上がって口の中の空間が狭くなっている | 「あ」で出したときと同じ空間を保ったまま母音だけ変える |
| マ行・ナ行の直後 | 鼻音の状態が次の音まで続いている | 鼻音の次の音を意識して切り替える練習をする |
最後の行は誤解されやすいところです。日本語のマ行・ナ行・ンは、もともと鼻に響かせて出す音です。それ自体は鼻声ではありません。問題になるのは、その状態が次の母音まで引きずられて、全体が同じ響きになってしまう場合です。
録音での確認手順
自分の声は骨を伝わる音が混ざるため、リアルタイムでは判断しづらい部分があります。次の手順で録音して確認すると、場面を特定しやすくなります。
- 1曲を通して録音する(オケありで構いません)
- 聴き返しながら、気になった箇所の時間だけをメモする
- メモした箇所に共通点がないか探す(高さ・音量・母音・歌詞の行)
- 共通点が見つかったら、その条件だけを取り出して短く練習する
- 1週間後に同じ曲をもう一度録り、同じ箇所を聴き比べる
ポイントは3番目です。「全体が鼻声」ではなく「この条件のときだけ」に言い換えられると、練習の的が絞れます。共通点が見つからず全編にわたっている場合は、曲のキーが高すぎないかも一度確認してみてください。無理のあるキーで歌い続けると、逃げ道として響きが偏ることがあります。キーの決め方は自分に合うキーの見つけ方にまとめています。
やりがちな対処と、その見直し方
鼻に寄る声を何とかしようとして、かえって別の問題を作ってしまうことがあります。よくある例を挙げます。
- 鼻をつまんだまま歌い続ける:確認の方法としては有効ですが、練習として続けるものではありません。確認は数秒で切り上げ、そのあとは通常の状態で歌います
- 口を横に大きく開く:横方向に広げると口の中の空間はむしろ狭くなりやすく、狙いと逆になることがあります。縦の開きを意識するほうが目的に合います
- 鼻に息を通さないよう力む:力を入れて塞ごうとすると、喉まわりまで固まりやすくなります。塞ぐのではなく、口側の通り道を広げる方向で考えます
- 声を大きくして押し切る:音量を上げても響きの偏りは変わらないため、疲れるだけになりがちです
- ひとつの響かせ方だけを正解にする:曲によっては鼻寄りの響きが合う場面もあります。消すことより、切り替えられることを目標にしたほうが実用的です
口の中の空間の作り方は口腔共鳴のやり方|舌の位置・軟口蓋・口の開きで具体的に扱っています。響かせる場所そのものの仕組みを整理したい場合は共鳴腔とは?声が響く仕組みと3つの共鳴腔、場面ごとに切り替える考え方は鼻腔・口腔・胸腔共鳴の使い分け方が参考になります。
聞き取りやすさの問題と混同しない
「声が届かない」「歌詞が聞き取れない」という悩みは、響きの偏りとは別の要因で起きていることもあります。子音の立て方や語尾の扱いが原因であれば、響きをいくら調整しても改善しにくい部分です。こちらに心当たりがある場合は抜ける声の作り方と練習方法のほうで、症状別の切り分けを扱っています。
「鼻腔共鳴」と「鼻声」を混同しない
鼻声について調べると、かならずといっていいほど鼻腔共鳴という言葉が出てきます。ただ、この二つは同じものではありません。鼻腔共鳴は言葉が前に飛んで聞こえる状態、鼻声は響きが鼻の側に偏って言葉がこもって聞こえる状態で、聞き手が受ける印象はほとんど逆向きです。
ここを取り違えると、練習の方向がずれます。「鼻に響かせればいい」と考えて鼻側の意識をさらに強めると、偏りが大きくなって余計にこもって聞こえることがあります。響きは鼻だけで作るものではなく、口の中の空間と分け合っているという前提で考えると整理しやすくなります。
ハミングで響きの位置を確かめる
口を軽く閉じて「んー」と伸ばすと、鼻の奥や顔の前側に振動を感じます。その振動を残したまま、口を開いて「んー」から「まー」へつなげてみてください。口を開いた瞬間に振動が消えてしまうか、逆に鼻側だけに残り続けるかで、いまの響きの寄り方が分かります。振動が口の前側にも広がったまま言葉になれば、狙いたい状態に近づいています。
感覚がつかみにくいときは、共鳴できているか確かめる方法|響いている声のセルフチェックの手順もあわせて試してみてください。
口の奥の高さと、舌の置きどころを見直す
鼻に息が抜けすぎて聞こえるとき、口の奥の天井が下がったままになっていることがあります。軽くあくびをしかけたときの、口の奥が持ち上がる感覚を覚えておき、歌い出しの直前にその形をいったん作ってから声を出すと、抜け方の印象が変わることがあります。
あわせて舌の位置も確かめます。舌先が下の前歯の裏に軽く触れ、舌の後ろ側が盛り上がっていない状態が基準です。舌の付け根に力が入ると口の中の空間が狭くなり、行き場をなくした息が鼻側に回りやすくなります。「い」「え」のときだけ鼻に寄ると感じている人は、この一点を直すだけで聞こえ方が変わることがあります。あくびの形そのものは喉を開く方法とコツ|あくびの喉でラクに響かせる練習で細かく扱っています。
話し声と歌声を録音して並べて聞く
「話すときは普通なのに、歌うと鼻に寄る」という自覚を持っている人は多いのですが、どこがどれくらい違うのかを実際に並べて確かめた人はあまりいません。同じ短い文章を、ふだんの話し声で一度、歌うときの声で一度、続けて録音してみてください。差が出る場所はだいたい決まっています。
| 聞き比べる場所 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 母音を伸ばし始めた瞬間 | 声を出した最初から鼻に寄っているか |
| フレーズの語尾 | 切りぎわだけ鼻に落ちていないか |
| 音が上がる直前 | 高さを取りにいくときに寄っているか |
| 「い」「え」を含む言葉 | 特定の母音だけで起きていないか |
四つのうちどれか一つに偏っているなら、練習はその場面だけに絞れます。逆に全部で同じように寄るなら、口の奥の高さと舌の位置から見直したほうが早いことが多いです。録音そのもので響きが伝わりにくくなっている可能性については、録音だと声が響かない理由|共鳴をマイクに残す歌い方と距離も参考になります。
なお、体調が普段どおりでないと感じる状態が続くときは、練習で押し切ろうとせず、必要に応じて専門機関に相談してください。ここで扱ったのは、体調に変わりがないのに歌うときだけ鼻に寄って聞こえる場合の話です。























