ボイトレのサイトを見てみると、
喉仏の位置について色々と書かれています。
「高音を出す時は喉仏をなるべく上げないで、
下げた状態で歌った方が良い。」
こんな風に書かれているサイトを
よく見かけます。
一方、他のサイトには、
喉仏の位置は気にしなくていいと書いてあります。
サイトによって意見がバラバラなので
初心者の方は困惑するでしょう。
そこで、喉の正しい位置を
身体の仕組みから解説しようと思います。
また、喉仏が高いとダメと言う理由を
知ると理解が深まります。
高い声を出すと喉仏が上がる理由
喉頭のまわりには
発声に関わる筋肉がたくさんあります。
それぞれの筋肉に
それぞれに重要な役割が任されています。
高い声を出す役割を担っている
筋肉もたくさんあります。
高い声を出す筋肉の代表例としては
輪状甲状筋が挙げられます。
輪状甲状筋は音程の調節をしていて、
高い声を出す時によく働きます。
輪状甲状筋が収縮することで、
声帯を引っ張り、高い声が出せます。
ただ、輪状甲状筋を動かすと
一緒に動いてしまう筋肉があります。
それは甲状軟骨と舌骨を繋いでいる
甲状舌骨筋という筋肉です。
この甲状舌骨筋が動くと、
喉仏が上がってしまうのです。
ただ、甲状舌骨筋を動かさずに
高い声を出すことは身体の仕組み上できません。
つまり、高い声を出そうとすれば、
自然に喉仏は上がります。
喉仏の3つの位置
甲状舌骨筋が動くことで、
高い声を出そうとすれば喉仏は上がる。
これは身体の仕組み上、
ごく自然で変えられないことです。
それでは、なぜ喉仏が高いと
ダメだと言われるのでしょうか?
喉仏の位置を3つに分けて、
メリット・デメリットを説明します。
Low(低い位置)
メリット
喉仏が低い位置にあると、
咽頭腔を広い状態で保つことができます。
低い周波数の倍音を含ませることができ、
深みのある豊かな歌声になります。
秋川雅史さんの「千の風になって」を
イメージするとわかりやすいと思います。
また、喉仏が低い位置にあると、
喉まわりがに無駄な力が入りません。
リラックスした状態で歌えるので、
声帯や喉を壊しにくくなります。
デメリット
合唱をやっていた人が
よく悩むポイントがひとつあります。
最近の曲をカラオケで歌っても、
合唱っぽい歌い方になってしまうことです。
深みのある豊かな歌声は
合唱やオペラのような歌声です。
J-POPやボカロを歌うには
あまり向いていない歌声とも言えます。
また喉仏が低い位置にあると
声帯がリラックスした状態になります。
そのため、声帯閉鎖が弱い人には
逆効果になることがあります。
Middle(真ん中の位置)
メリット
普段会話をしている時に
喉仏の位置を気にすることはないでしょう。
それはちょうどいい位置に
喉仏があるということの証拠です。
低い位置と高い位置の間なので、
どちらの良さもあります。
高い声を出しやすい位置であり、
喉を壊しにくい位置と言えるでしょう。
デメリット
真ん中の位置ということは
どっちつかずの位置とも言えます。
喉仏がMiddleにある時の歌声は
インパクトに欠けます。
それに歌が上手い人は
話し声と歌声が全く違います。
話していた時と歌っている時の
ギャップに驚くことも少なくありません。
話し声に近い声で歌うのは
あまり上手く聴こえないでしょう。
High(高い位置)
メリット
喉仏が高い位置にあると、
咽頭腔は狭くなります。
高い周波数の倍音が出て、
明るく透き通った歌声に聴こえます。
また、まっすぐ飛ぶような
ハリのある高い声を出すことができます。
B’zの稲葉さんやワンオクのtakaさんなど
Highの歌声を上手く使っています。
デメリット
喉仏が高い位置にあると、
咽頭腔という共鳴腔を潰してしまいます。
ストレートに歌いたい時は良いですが、
声の響きは乏しくなります。
また声帯に力が入ってしまうので、
喉を壊しやすくなります。
意図的にコントロールできる人でないと
すぐに声を枯らしてしまいます。
喉仏が高い位置にあるということは
喉が閉まっているのとほぼイコールです。
首が絞められた状態で
歌おうとしているような状態です。
だから、初心者の方は
苦しそうな喉絞め声になってしまうのです。
喉仏の位置を確かめる方法
女性の方で意外と多いのが
喉仏の場所がわからないという人です。
確かに男性と違って、
女性は喉仏があまり目立っていません。
そこで、喉仏を確認する方法を
2つ紹介したいと思います。
喉仏の位置がわからないという人は
ぜひやってください。
手で首を触って確認する
あごの下に手を置いて、
下に向かって首をなぞってみましょう。
首を触っている内に
何かある感触がすると思います。
それが喉仏です。
鏡を見て確認する
もし触ってもわからない時は
鏡を見て確認しましょう。
鏡の前に立って、首あたりを見て、
つばをゴクリと飲みましょう。
つばを飲み込む際に
喉仏が上に上がります。
その場所を触ってみると、
何かある感触がすると思います。
喉仏の位置についてのまとめ
個人的な意見ですが、
喉仏の位置はどこでも良いと思います。
低い方が良いとか、高い方が良いとか
固定した方がいいという議論は無意味かと。
それは喉仏の位置によって、
歌いやすさや声質が変わるからです。
喉仏が高い位置で歌うのも、
立派な表現のひとつだと思うからです。
ただ、一番大切なのは
喉仏をコントロールできるかだと思います。
喉仏を柔軟にコントロールできて、
上下に動かせる状態にすることが大切です。
一方で、喉仏を上げることで、
なんとか高い声を出しているのは問題です。
そういう人は喉仏をラクにできるように
練習していくべきだと思います。
喉仏を自由にコントロールする練習法
喉仏を自由にコントロールするためには
喉まわりの筋肉を鍛えることしかありません。
日常生活の中で、喉まわりの筋肉を
使うことはほとんどありません。
そのため、意識的に使わないと
発声に関わる筋肉は鍛えることはできません。
喉まわりの筋肉を鍛える方法は
コチラの記事をご覧ください。