ボイストレーニングの勉強をしていると、
輪状甲状筋という言葉を耳にします。
輪状甲状筋とは
どういう筋肉なのでしょうか?
輪状甲状筋は高音を出すために
とても重要な筋肉です。
歌が上手くなりたいと思うなら、
絶対に鍛えなければいけない筋肉と言えます。
ということで、今回の記事で
輪状甲状筋の役割や鍛え方を説明します。
歌が上手くなりたい、歌い手をやりたい人は
最後までしっかり読んでください。
輪状甲状筋とは?
輪状甲状筋は、喉周りの筋肉の中で
音程の変化を担当している筋肉のことで、
下記の赤く塗られた部分に位置しています。
喉近辺を横から見た図
人体の仕組みとして
声帯が伸び縮みすることによって、
音程を変化させています。
声帯が強く引っ張られると高い声が
声帯が緩く引っ張られると低い声が出ます。
これはギターなどの弦楽器を
イメージしていただけると良いと思います。
弦が緩んだ状態だと低い音が、
弦がぴんと張った状態だと高い音がでます。
これと同じ原理です。
では、この声帯をどのように
伸び縮みさせているのでしょうか?
次項で詳しく説明していきます。
声のピッチ(音程)が変わる原理
喉の仕組みについてザッと解説します。
喉は大きく分けて、
2つの軟骨からできています。
上にある軟骨を甲状軟骨と言い、
下にある軟骨を輪状軟骨と言います。
そして、もうひとつ重要な軟骨が
輪状軟骨の一番上の後ろ側にあります。
披裂軟骨と呼ばれる軟骨で、
先端が声帯とくっついています。
披裂軟骨は固定されているので、
輪状甲状筋が縮むと甲状軟骨を含む全体が傾き
声帯が伸びたり、緩んだりします。
高い声を出す時は薄く引き伸ばされ、
低い声を出す時は緩んでいます。
声帯が伸びたり、緩んだりすることが
声のピッチが変わる原理だったのです。
輪状甲状筋を鍛えるメリット
高い声が出しやすくなる(音域が広がる)
輪状甲状筋を鍛えると
声帯を引っ張る力が強くなるので、
高い声が出しやすくなります。
ただ、鍛えれば鍛えるほど
輪状甲状筋が縮むサイズには限界があるので
どこまでも高い声が出る
というわけではありません。
輪状甲状筋を鍛えても高音が出しにくい、
今以上の高音が出にくい場合は
声帯閉鎖を鍛えてみるなど
別の方法を試してみましょう。
音痴が治る
音痴で悩んでいる人の中には
そもそも出したい音程に届いていない人もいます。
輪状甲状筋を鍛えることで
高い声を出しやすくなり、
今まで届かなかった音程に届くようになり、
音痴が治る、といったケースがあるのです。
ロングトーンが上手くなる
ロングトーンを音をブラさずに
出し続けるためには
音程を一定に保ち続けるために
声帯の張りをキープし続けることが重要です。
そのためには声帯を引っ張り続けることが
必要になるため、輪状甲状筋を
鍛えることが必要なのです。
輪状甲状筋を鍛えることで、
ロングトーンが上手くなります。
力強い高音発声の上達につながる
輪状甲状筋を鍛えることで
力強い発声を出しやすくなります。
その最たる例として
ヘッドボイスとミックスボイスが
出しやすくなったという例も存在します。
どちらかの発声が出しにくい、
なかなか習得できなかったという人は
今回の練習を機に再トライしてみては
いかがでしょうか?
輪状甲状筋の鍛え方
ファルセットを出す
発声に関わる筋肉は
発声でしか鍛えることができません。
だからこそ、ほとんどの人は
輪状甲状筋が発達していないのです。
輪状甲状筋を鍛えるためには
裏声を出すことが一番効果的です。
それも息漏れのある裏声、
いわゆるファルセットという声です。
というのも、ファルセットは
輪状甲状筋のみを狙って鍛えることができ、
それ以外の筋肉を緩めた状態で
出すことができる発声だからです。
フクロウの鳴き声をイメージすると
わかりやすいと思います。
「ホーホー」という風に
ファルセットを出しましょう。
「ファルセットって何?」
という方はコチラの記事をご覧ください。
地声と裏声を交互に出す
地声と裏声を交互に出すことで
輪状甲状筋を伸ばす、縮めるを繰り返すことができ、
筋肉トレーニングと同様の効果を
得ることができます。
筋肉は伸ばし続けるだけでなく、
伸ばしたり縮ませたりを繰り返すことが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
たまに歌でほぼ使うことはないであろう
超高音域を発声できる人がいますが、
あれは輪状甲状筋が
相当強いことが想定されます。
高音が出しにくい、音域を広げたいと思う方は
ぜひ、輪状甲状筋を鍛えてみてください。