Adoさんの「うっせぇわ」が人気となったことで、
感情をぶつけるように迫力ある歌声を出す
がなり声が注目されるようになりました。
がなり声は他の歌い方と比べて認知度が低いので、
正しいがなり声の出し方や練習方法が浸透していません。
そこで、今回は、Adoさんのような
がなり声を上手に出すための練習方法やコツをご紹介いたします。
がなり声とは?
がなり声とは、ガラガラとした音が鳴ることに由来している
シャウト系の声の出し方です。
怒鳴っている時や、大声を出している時の声ががなり声にあたります。
最近の曲ではAdoさんの「うっせぇわ」が代表的で、
痛みや怒り、苦しみを強く表現することができます。
他の発声方法に比べて認知度が低いので、
がなり声の正しい出し方や練習方法が浸透していません。
また、シャウト系の発声ということもあり、
独学で練習しようとすると、喉を痛めてしまう可能性が高いです。
それでは、正しいがなり声の練習方法はどうすれば良いのか?
次の見出しで詳しく解説していきます。
がなり声の出し方や練習方法・コツ
Adoさんの「うっせぇわ」を練習するために
がなり声の出し方を練習しようとしている方が多いですが、
Adoさんが「(中略)私の歌い方は絶対におすすめしません。絶対に喉を痛めます。」と
ツイートしているように喉を痛めやすい発声方法です。
改めて言いますが私の歌い方は絶対におすすめしません。絶対に喉を痛めます。逆にそれが正しいんですがやっぱり正しくないです。(うるさいですし) 誰がお前なんか真似するんだって話ですけどとにかくやめた方がいいです。
— Ado (@ado1024imokenp) 2020年6月9日
がなり声をマスターしたいなら、慎重にステップを踏んで、
この後紹介する正しい練習方法を試すようにしましょう。
がなり声の練習方法・出し方
がなり声を出すためには、仮声帯と呼ばれている喉の口側に位置している、
食べ物や飲み物が気管に入らないようにするフタのような部位を使う必要があります。
通常、この仮声帯は通り声を出すだけでは鳴らすことができません。
しかし、仮声帯を閉じて大量の息を吐き出すことで、
がなり声を出すことができるようになります。
STEP1:仮声帯を閉める
まずは仮声帯を閉める感覚を覚えましょう。
仮声帯を閉じるためには、唾を飲み込んだ時に
喉が閉まる感覚を常に意識できるようにする必要があります。
STEP2:仮声帯を閉めたまま、声を出す
自由に仮声帯を閉じることができるようになったら、
仮声帯を閉じたまま声を出してみましょう。
難しい場合は、咳をしたタイミングで声を出すことで、
がなり声を出す感覚をつかみやすくなります。
STEP3:腹式呼吸を意識して発声する
ガラガラとしたがなり声が出せるようになったら、
腹式呼吸を意識して負担の少ない発声を心がけましょう。
最初はがなり声を出すことに集中すると良いですが、
喉や声帯に負荷の強い発声方法で喉を壊しやすい発声です。
下腹部にある横隔膜を下げてがなり声を出すことで、
より迫力のある歌声を出しやすくなります。
がなり声のコツ
上手ながなり声を出すコツは、喉仏を上げることです。
喉の奥を締めて喉仏を下げることでもがなり声を出すことができますが、
構造的には出にくくなり、思うようながなり声が出にくいです。
上手ながなり声を出すためには、エッジボイスを出しながら
舌の奥を上アゴにつけて動かせるようになりましょう。
曲の中でどこに使うかを先に決める
がなり声は、出せるようになった段階よりも、どこで使うかを決める段階のほうがつまずきやすい技術です。出せるのが嬉しくて全編に入れてしまうと、聴き手にとっては終始同じ質感が続くことになり、かえって印象が平坦になりがちです。使いどころを先に決めておくと、練習の目的もはっきりします。
| 使う場所 | 期待できる働き | 入れすぎたときに起きやすいこと |
|---|---|---|
| フレーズの入り(語頭) | 言葉の出だしに勢いを付けやすい | すべての語頭に付くと、歌詞が聞き取りにくくなる |
| フレーズの終わり(語尾) | 余韻に感情の色を足しやすい | 語尾が毎回同じ形になり、単調に感じられる |
| サビの最初の1音 | 場面が切り替わったことを示しやすい | サビ全体に広げると、後半で保ちにくくなる |
| 落ちサビ・最後の一節 | 曲の締めくくりに強さを出しやすい | 他の場所でも使っていると、対比が弱まる |
「使わない場所」から先に決める
使う場所を選ぶより、使わない場所をあらかじめ決めてしまうほうが管理しやすいことがあります。たとえば「Aメロでは使わない」と決めておけば、サビで入れたときの差が自然に生まれます。歌詞の意味が伝わることを優先したい箇所も、使わない場所として先に外しておくと迷いません。
楽譜や歌詞カードに、使う予定の箇所だけ印を付けておく方法もおすすめです。録音した後で聴き返し、印のない場所にも入っていたら、それは無意識に増えているサインだと考えられます。
歌詞の意味と合っているかを確かめる
使いどころを決めるときは、音の勢いだけでなく、その箇所の歌詞が何を言っているかも見てください。強い質感が合う言葉もあれば、静かに聞かせたい言葉もあります。言葉の内容と質感がちぐはぐだと、聴き手には不自然に感じられやすいとされています。決めた箇所を歌詞だけ声に出して読み、その勢いで読める言葉かどうかを試してみると判断しやすくなります。
練習量の決め方
負担のかかりやすい発声なので、時間ではなく回数と区切りで管理するほうが安全です。「今日は何分やる」ではなく「この1フレーズを何回」と決めておくと、気づかないうちに伸びていくことを防ぎやすくなります。
組み立ての考え方
- 普段の練習の中では、後半ではなく前半に置きます。疲れてから試すと、力任せになりやすいためです
- 連続では行わず、通常の発声を挟みます。挟んだときに普段どおりの声が出るかが、続けてよいかの目安になります
- 1回の練習で扱うのは、実際に曲で使う予定の箇所だけに絞ります
- 声にかすれや違和感が出たら、その日はそこで終わりにします。翌日に持ち越さないほうが立て直しやすくなります
練習日そのものの配分に迷う場合は、ボイストレーニングの練習頻度や間隔で休養日の置き方を確認してみてください。なお、痛みや声の出にくさが続く場合は、練習の工夫で解決しようとせず、専門の医療機関に相談してください。
録音するときの注意
がなり声は音量の変化が大きくなりやすく、録音では音が割れてしまうことがあります。普段の設定のまま録ると、いちばん確認したい箇所だけが歪んで判断できない、ということが起こりがちです。録音レベルの決め方は録音レベル・ゲインの設定にまとめているので、練習の記録を残す前に一度確認しておくと確実です。
録音を聴くときは、いきなり全体を評価せず、まず狙った箇所に入っているかだけを確認します。次に、その前後の言葉が聞き取れるかを見ます。この2点が満たされていれば、質感の細かい部分はあとから詰められます。順番を逆にすると、質感ばかりを気にして量が増えてしまいがちです。
うまく出ないときの切り分け
出ない原因はいくつかに分かれます。やみくもに強く出そうとすると負担だけが増えるので、まず状態を分類してみてください。
| いまの状態 | 考えられること | 試してみること |
|---|---|---|
| 音が鳴らず、息だけが出る | 喉の奥が閉じきっていない | 咳払いに近い短い音から始め、鳴る形を確かめる |
| 鳴るが、すぐ普通の声に戻る | 息の量が続いていない | 長く伸ばそうとせず、短い音を回数で重ねる |
| 音は出るが、喉が締まる感じが強い | 力で押し出そうとしている | 音量を落とし、小さい音のまま同じ質感が出るかを試す |
| 単音では出るが、歌の中で出ない | 歌のテンポに動作が間に合っていない | その1フレーズを遅い速さで区切って練習する |
| 日によって出たり出なかったりする | 体調や前日の使い方の影響を受けている | 出にくい日は無理に試さず、通常の発声に切り替える |
3つ目の「小さい音で試す」は、切り分けとして使いやすい方法です。音量を下げても質感が出るなら、必要なのは力ではなく形のほうだと判断できます。関連する技術として、エッジボイスを歌の中で使う練習のほうから入ると、感覚をつかむ手がかりになる場合があります。
がなりの隣にあるシャウト
喉に負担がかかりやすい表現という点では、シャウトも同じ扱いが要ります。簡単なシャウトの出し方では、シャウトを二つのタイプに分けたうえで、練習法と、やる前に知っておきたい注意点を扱っています。
がなり・シャウト・デスボイス・しゃがれ声は何が違うのか
まとめて「歪んだ声」として扱われがちですが、曲の中での役割は別物です。どれを目指しているのかがはっきりしないまま練習すると、出したい音と練習内容がずれたままになります。
| 呼び方 | 音の特徴と、曲の中での役割 |
|---|---|
| がなり | メロディーの音程を保ったまま、声にざらついた成分を足す。歌詞が聞き取れる状態が前提 |
| シャウト | 音程よりも勢いを優先して張り上げる。言葉の内容より熱量を届ける場面で使う |
| デスボイス | 歪んだ音そのものを鳴らす。ジャンルの様式が前提で、メロディーからは離れる |
| しゃがれ声・ハスキー | 一時的に足す加工ではなく、その人の地声が持っている質感に近い |
「うっせぇわ」で耳に残るのは、音程が保たれたまま声がざらつくタイプで、表のうちのがなりにあたります。ざらついた質感そのものを声の持ち味にしたいなら、目指す先はハスキーボイスの出し方の基本と練習方法のほうかもしれません。どこを目指すかで、練習の入口が変わります。
がなりの「濃さ」を段階で持っておく
出せるようになった直後は、濃さを一段階しか持っていない状態になりがちです。全部を同じ濃さで入れると、曲全体がかえって平坦に聞こえます。同じフレーズを濃さを変えて録っておくと、曲に当てるときに選べるようになります。
| 濃さ | 使いどころの例 |
|---|---|
| 薄い | 言葉の頭にだけざらつきを置く。Aメロで感情の予兆を出したいとき |
| 中くらい | フレーズの入りから抜けまで通す。サビの前半など |
| 濃い | 1曲に数か所まで。落ちサビ明けや最後の一節 |
濃さの幅を広げたいとき、がなりそのものをいじるより土台になる地声の硬さ・太さを動かすほうが早い場合があります。考え方は声の太さを変えるコツにまとめています。
聴き比べの材料は、Adoさん以外にも広く挙げられています。ONE OK ROCK「完全感覚Dreamer」、クリスティーナ・アギレラ「Fighter」、みきとP feat.鏡音リン「ロキ」あたりは複数の解説で名前が挙がる曲です。どこに、どのくらいの濃さで入れているかを数えながら聴くと、自分の曲に当てるときの基準ができます。
練習に入る前の順番と、切り上げる基準
負担のかかりやすい発声なので、いきなりがなりから始めない組み立てにしておきます。普通の声で数フレーズ歌って体と声が動く状態を作ってから入るほうが、無理のない範囲に収まりやすくなります。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 首・肩・あごの力を抜く。座ったままでも構わない |
| 2 | 普通の声で曲を2〜3フレーズ歌う |
| 3 | その日に扱う箇所だけをがなりで通す |
| 4 | 普通の声に戻して同じ箇所を歌い、声の出方を確かめる |
最後の4番目を入れておくと、その日にどれだけ負担をかけたかを自分で把握しやすくなります。手元に飲み物を置いて、区切りごとに口を湿らせるくらいの間を取ってください。違和感が出たら、その日はそこで切り上げます。翌日以降も続くようであれば、必要に応じて専門機関に相談する判断も持っておきましょう。「正しくやれば負担がない」と言い切れる発声ではないので、短く区切って様子を見ながら進めるのが現実的です。
なお、がなりを入れる量そのものは曲のジャンルでも変わります。ロック系とバラード系で設定をどう変えるかはジャンル別の歌い分け方で扱っています。
まとめ
がなり声の出し方は、以下の3ステップで練習しましょう!
- 仮声帯を閉める
- 仮声帯を閉めたまま、声を出す
- 腹式呼吸を意識して発声する
がなり声は認知度が低い歌唱方法なので、
正しい声の出し方や歌い方などがあまり浸透していません。
また、シャウト系の発声方法ということもあり、
独学でがなり声を出そうとすると喉を痛めてしまう可能性が高いので、
今回ご紹介した正しい歌い方やコツをぜひ試してみてください!






















