良い歌声を出す極意は「口の開き方」だった!?

良い歌声を出す極意は「口の開き方」だった!?

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あなたは歌っていて、
口の形を気にしたことはありますか?

ほとんどの人が
口の形を気にしたことはないでしょう。

 

しかし、ボイストレーニングにおいて
口の形はとても大切なものです。

なぜ口の形が大切なのか?
どういうことを意識すれば良いのか?

今回は口の形について
わかりやすくお伝えします。

 

なぜ口の形が大切か?

普段、歌っている時に
口の形を気にすることはないでしょう。

しかし、実際のところ
口の形はとても大切なポイントです。

では、なぜ口の形が
そんなに大切なのでしょうか?

 

それは口の開け方によって
音色と響きが変わるからです。

同じ言葉でも、
言い方によって意味が変わります。

 

「ありがとう」という言葉を
例に挙げて考えてみましょう。

普通に言えば感謝を伝える言葉ですが、
嫌味っぽく言うこともできます。

また礼儀上言っているだけなのか
心から感謝しているのかもわかります。

 

この微妙なニュアンスを作るのが
口の形なのです。

口の形を意識することで、
表現力をより高めることができます。

 

基本的な3つの口の形

縦に開いた状態

口を縦に開くと、
こもっているような声になります。

ちょっと暗い声の印象です。

 

口の中に空間ができるので、
声を響かせることができます。

つまり口を縦に開くと
響きのある声を出しやすくなります。

 

横に開いた状態

一方、口を横に開くと
キンキンした鋭い声になります。

声の印象は明るめです。

 

口の中に空間を作りにくいので
声はあまり響きません。

感情を爆発させたような
叫ぶような歌には合う声でしょう。

 

丸く開いた状態

縦に開いた時と横に開いた時の
ちょうど間の音になります。

声の響きであったり、
トーンも真ん中という感じです。

 

口を縦に開ける

もちろん歌によって
ピッタリ合う口の形は異なります。

ただ一般的に言うと、
口を縦に開けて歌う方が良いです。

 

口を縦に開けないと、
喉が締まって声が出しにくくなります。

呼吸がしにくく、
息が続かなくなってしまう。

口の中に響く空間を作れないので、
声量が小さくなってしまう。

このように口を縦に開かないと
うまくいかないことが増えてしまいます。

 

そこで、歌う時は
口を縦に開けることを意識しましょう。

口を縦に開けると口の中に響く空間ができ、
喉を開きやすくなります。

 

口の形を丸くすると良い

「い」や「え」を発音するとわかりますが、
口が横に開きやすいです。

言葉によっては、
横に開いてしまう音があります。

そういう時は、
横に無理に開いていないか確認しましょう。

 

口を丸く開くことをイメージすることで、
響きや音色が統一されます。

その結果として、
統一感があって安定した歌声が出せます。

まずは鏡を見ながら一曲歌ってみて、
自分の口の形を確認しましょう。

母音ごとに変わる口の形と、響きをそろえるコツ

口の形は「縦・横・丸」の3種類で終わりではなく、実際に歌うときは母音ごとに形が切り替わり続けています。この切り替わりが大きすぎると、フレーズの途中で声の太さや明るさが変わってしまい、聴いていて落ち着かない印象になります。

母音口の形の傾向起こりやすいこと
アいちばん縦に開きやすい開きすぎて他の母音より目立つ
イ横に引っぱられやすい薄く平べったい音になりやすい
ウすぼまって前に出やすい音量が落ちて聞こえにくくなる
エイとアの中間中途半端になり輪郭がぼやける
オ縦に丸くなりやすいこもって聞こえることがある

そろえ方の考え方はシンプルで、いちばん響きが良いと感じる母音の形を基準にして、他の母音をそこへ寄せていくことです。たとえば「ア」で気持ちよく響くなら、「イ」を歌うときも唇を横に引きすぎず、口の中の空間だけは「ア」に近い状態を保ちます。唇の形は母音ごとに変えつつ、奥の空間はできるだけ変えない、という分け方です。

母音をそろえる簡単な練習

言葉で理解するより、実際に声に出したほうが早くつかめます。次の手順を試してみてください。

  1. いちばん響きが良いと感じる母音(多くの人は「ア」か「オ」)をひとつ選び、ロングトーンでのばす
  2. のばしたまま、口の奥の形を変えずに唇だけを動かして「アーオーアーオー」と切り替える
  3. 慣れたら「アーイーアーイー」のように、形の差が大きい組み合わせでも試す
  4. 切り替えた瞬間に音量や太さが変わらないかを聴きながら行う

切り替えるたびに音がガタッと変わるなら、唇だけでなく奥の空間まで一緒に動いている合図です。最初はゆっくり、1音ずつ確かめるように動かすのがコツです。

口の中の空間と響きの関係については口腔共鳴のやり方、舌の位置が母音の音色に与える影響については正しい舌の位置とは?で掘り下げています。母音は舌の位置でも音色が変わるため、口の開きだけで解決しないときは舌側を見直すと進むことがあります。

「開けすぎ」で起きること|大きく開ければいいわけではない

口を縦に開くことは大切ですが、開けば開くほど良くなるわけではありません。限界まで開こうとすると、次のようなことが起こりやすくなります。

  • 滑舌が甘くなる:子音は唇や舌が素早く動くことで作られます。口を開いたまま固定してしまうと、その動きが間に合わず、言葉が聞き取りにくくなります
  • 顎に力が入り、喉まで硬くなる:顎を無理に下げると、顎の周りだけでなく首の前側まで一緒に力むことがあります
  • 音色が単調になる:常に最大まで開いていると、曲中で表情を変える余地がなくなります
  • 口が疲れて後半までもたない:1曲を通すと、後半で開きが保てず前半と音色が変わってしまいます

目安としては、指が縦に2本入る程度をひとつの基準にして、そこから曲やフレーズに応じて増減させるくらいで十分なことが多いです。サビでしっかり開き、Aメロでは控えめにする、という使い分けができると表現の幅が広がります。

開きすぎているかどうかの見分け方

自分が開けすぎているかどうかは、次のような点から判断できます。

  • 歌詞を録音で聴いたときに、何を言っているか聞き取りにくい箇所がある
  • 口を開くことに気を取られて、音程やリズムが後回しになっている
  • 開けた瞬間に、声が出るより先に息だけが多く出ている感じがする
  • 1曲歌い終わると口の周りが疲れている

ひとつでも当てはまるなら、いったん開きを半分ほどに戻して歌ってみてください。「開けている感じ」と「実際に響いている状態」は必ずしも一致しません。開きを控えたほうが良く聞こえることも珍しくないので、両方録って比べてみるのが確実です。滑舌が気になるときは外郎売(ういろううり)について解説のような発音練習と組み合わせると、口の動きと言葉の明瞭さを同時に確認できます。

顎の力み|「顎を下げる」より「奥を空ける」

口を開けようとすると、多くの人はまず顎を下に引っぱります。ところがこの動かし方は力みにつながりやすく、開いているのに声が出しにくいという状態を生みます。

力みが起きているサイン

  • 歌ったあとに顎の付け根や耳の前あたりが疲れている
  • 高い音になるほど顎が前に突き出る
  • 口を開けたまま首を左右にゆっくり動かせない
  • 歌っている最中に顎が小刻みに震える

力みをほどく方向

顎を下げるのではなく、奥歯のあたりの空間を上に広げる意識に切り替えてみてください。あくびが出る直前の状態が近く、このとき顎は「引っぱられて下がる」のではなく「力が抜けて落ちる」感覚になります。喉の奥が広がる感覚をつかむ練習は喉を開く方法とコツにまとめてあります。

歌う前に顎の付け根を指で軽く触れながら、口を開けたり閉じたりして、硬くなっていないかを確かめておくのも有効です。歌う前にやるべきウォーミングアップと組み合わせると、練習の入り口として使いやすくなります。

口角の位置で音色の明るさが変わる

ここまで「縦・横・丸」と開きの大きさを見てきましたが、もうひとつ音色に関わるのが口角(唇の両端)の位置です。口の開きが同じでも、口角を少し上げるか、自然な位置に置くか、下げ気味にするかで、声の明るさの印象が変わると説明されることが多いです。

口角の位置音色の傾向合わせやすい場面やりすぎたときに起きやすいこと
軽く上げる明るく前に出る印象になりやすいアップテンポの曲、明るいサビ唇が横に引かれ、平たい音に近づく
自然な位置癖が少なく、母音ごとの差が出にくい練習の基準、語るようなAメロ意識しないと開き自体が小さくなりやすい
下げ気味落ち着いた、やや暗めの印象になりやすいバラード、低めの音域こもって歌詞が聞き取りにくくなる

口角を上げるときは、唇を横に引っぱるのではなく、頬の高い位置(鼻の横あたり)を少し持ち上げる感覚にするのがポイントです。笑顔を作ろうとして唇だけを横に引くと、前の節で触れた「横に開いた状態」に戻ってしまいます。鏡で見て上の前歯が少し見える程度を目安にし、作った笑顔で顔全体がこわばっていないかも確かめてください。

どの位置が正しいというより、曲の雰囲気に合わせて使い分ける要素と考えると扱いやすくなります。同じフレーズを「自然な位置」「上げる」「下げ気味」の3通りで録って聞き比べると、自分の声でどのくらい変わるのかがつかめます。

音の高さによって開きの量を変える

口の開きは、1曲の中でずっと同じでなくてかまいません。一般に、高い音ほど開きが必要になりやすく、低い音では開きすぎないほうが声がまとまりやすいとされています。高い音を狭い口のまま出そうとすると、喉や顎で押し上げる形になりやすいためです。

音域開きの目安気をつけること
低い音控えめ(会話より少し大きい程度)開きすぎると息が多く混ざり、音がぼやけやすい
中くらいの音指2本程度を基準に言葉の聞き取りやすさを優先する
高い音基準より少し大きめに、縦方向へ顎を突き出さず、奥歯のあたりを広げる

練習では、ロングトーンで低い音からゆっくり上がりながら、音が上がるにつれて口を少しずつ縦に開いていく動きを試してみてください。音の高さと口の開きが連動してくると、高い音に入った瞬間に顔だけが急に力む感覚が出にくくなります。高い音で母音の形そのものを少し寄せる方法は母音を揃えるコツ、高い音での響きの位置の移し方は高音がラクになる共鳴の使い方で扱っています。

話すときの口の大きさのまま歌わない

日本語は、口をあまり大きく動かさなくても話せる言語だと言われます。普段の会話と同じ開き方で歌うと、全体的に開きが足りず、こもった印象になりやすいのはこのためです。一方で、開きを増やすと今度は子音が甘くなりやすいので、言葉の輪郭が気になる方は滑舌が良くならない原因と改善する方法で口と舌の動かし方もあわせて確認しておくと安心です。

鏡と録音、それぞれで確認できることが違う

口の開け方は自分では見えないぶん、確認方法を持っておくことが上達の近道になります。ただし、鏡と録音では見えるものが違います。

確認方法わかることわからないこと
鏡開き方の大きさ、左右の偏り、顎の突き出し実際にどう聞こえているか
録音音色の変化、母音のばらつき、こもり具合どんな形で歌っていたか
動画形と音の対応関係細かい口の中の状態

おすすめは、スマートフォンで自分の顔を映しながら歌を録画する方法です。あとから見返すと「この音色が気になる箇所では口が横に引けている」というように、形と音を結びつけて確認できます。録音を聴き返して直す手順は録音でセルフ添削するやり方が参考になります。

マイクの前では口の開きが音に出やすい

カラオケや練習室と違い、宅録ではマイクが口のすぐ近くにあります。そのため、口の開きの違いが音量や音色の変化としてそのまま記録されます。とくに次の点は録音で気づきやすいポイントです。

  • 口を大きく開けたときに、顔ごと前後に動いてマイクとの距離が変わり、音量が波打つ
  • 口を閉じ気味にした箇所だけこもって聞こえる
  • 口の開閉に伴う口の中の音(リップノイズ)が拾われる

録音でのマイクとの距離の取り方は「マイクに乗る声」の作り方、口まわりのノイズ対策はリップノイズが起こる原因と改善方法で扱っています。歌うときの口の形は、上手く聞こえるかどうかだけでなく、録音したときに扱いやすい音になるかにも関わってきます。鏡で形を、録音で結果を、両方から確認していくのが遠回りのようで確実です。



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